143、おすすめ本『子ども虐待と貧困』(峯本耕治、ほか5名)
この本は6人の方が書かれたものですが、その中で第3章を書かれた峯本耕治さんの箇所を紹介します。峯本さんは弁護士で、子ども虐待防止について研究されています。
①長年にわたって少年事件の弁護士・付添人を務め、近年は、教育委員会のサポートチームやスクールソーシャルワーカーのスーパーバイザーとして、非行や問題行動ケースをはじめとする多数の学校不適応のケースに関わってきたが、そのほとんどが小学校段階での学習面のドロップアウトをともなっている。ドロップアウト感を持った子どもは、学校での「居場所」を失いやすくなる。自尊感情・自己肯定感も低くなり、教師への信頼感も失いやすい。
②ドロップ感を持たせないようにするため、具体的に次のような取り組みが必要になると思われる。
・集団教育と個別教育のバランスを維持しながら、個々の子どもへの個別指導・配慮を可能にする適正規模の少人数学級の実現
・保護者、地域の人的資源の活用等を含めた、個々の子どもへの個別指導・配慮を可能にする、教員のためのサポート体制の整備
・学習面で特別な配慮を必要とする子どもへの補充的な学習指導体制の整備
③学校が、明確な目的意識を持って、子どもの発達保障、社会的自立を育てる教育を提供していく必要があると思われる。具体的には次のようなサービスである。
・教職員が、教科指導、生徒指導、クラス運営等のあらゆる教育場面において、「将来の社会的自立のために子どもが身につけておく必要があると思われる能力・スキルを育てる」ことを明確に意識した教育・指導を行う
・メディアリテラシー(見つけた情報を適切に評価・活用する能力)、対人スキル、食事や栄養に関する知識、金銭管理の知識、消費者としての基本的知識などのさまざまなスキルを身につけるためのトレーニングの導入
『子ども虐待と貧困』(峯本耕治、ほか5名・明石書店)より




