道中にて 2
フィッテを喋らせたいのに何故かオッドが喋ってしまう。何故だ...
「一人分の食料しかないからなぁ...村寄らないとダメだよなぁ」
そう言いつつ背中に抱えた獣人の少女フィッテに意識をやる。
「だいたい連れてきたのはいいけどどうするべきかなぁ...寄った村に置いていくのはちょっと気が引けるしこのまま連れていくか...でもなぁ女の子の扱いなんか分からんぞ俺は」
そう言いつつもオッドはフィッテを連れていくことに内心では迷いつつもほぼ確定事項としていた。オッドは優しいのだ、いや
「断れないだけ...ははっ、あんな啖呵切って王様から逃げてきたのに結局また自分で面倒を抱えてやんの...馬鹿だなぁ」
「そんなことない」
困惑した。独り言を呟いていたら返事があったのだから。とまぁ言っても返事がどこから来たのかなんて今なら考えなくても分かる。
「起きたか。フィッテだったか?何があったんだ?お前みたいな年の子があんな所でそんな状態なんて普通じゃないだろ。まぁ普通ではないけどよくあることではあるが...」
「おじさん。フィッテは子供じゃないもう8歳になったの。」
「悪い悪い。もう立派な女性なんだな、で何回も聞いてるけどなんであんなところに?」
「フィッテが住んでた村はね多分盗賊に襲われたの。夜眠ってたらね村に鐘が鳴り響いてねお母さんがね私を抱えて逃げたんだけど間に合わなかったの。盗賊に追いつかれそうになった時にねフィッテを林に隠してお母さんは連れていかれたの。」
またか...最初の予想こそ外れたけどよくある話じゃないか...あれだけ消したのにあの手はいくらでも湧くなぁ
「そうかそれは辛かったな、だがまぁもう安心さ。なんてったって俺は最強らしいからな」
「なにそれ」
そう言ったフィッテは笑っていた。まだ会って1日も経ってないがやっと笑ってくれた。
「なぁフィッテそういやお前の村はここら辺なのか?と言ってもお前が気絶してる間...日も落ち始めてるし4時間くらいか?歩きっぱなしだが。」
「わかんないフィッテは村から出たこと無かったし何日も逃げたつもりだったけどどれくらい進んだかわかんない」
そっか......
そう言ってオッドは意識を前方にやる。あぁやっちまった、ただそう思った。
目の前には小さな村が見えた。道には人の死骸らしきものとソレを作り出したであろう人間も視界に入っていた。