婚約破棄されて天才大魔導師様の助手になりました
※ミランダの実家についての記述を修正しました。
※誤字修正しました。
※一人称の揺れがあったので修正しました。
物語の中で気になった点や誤字の報告などありがとうございます。助かります。
「先生、私、明日でこの王立魔導学校を退学することとなりました」
「……はぁ?」
魔導棟5階の実験室で怪しげな液体を操作していた「先生」が、私の言葉に胡乱げな顔をした。
実験台の上には実験器具や謎の液体が散乱して、室内が変な匂いに満たされている。
また換気もしないで……。
この先生は本当に、魔導の事になると周りが見えなくなる。
貴族令嬢たる私に世話をさせるなんて良い度胸だと思いながら、私は机を整理し窓を開けて回った。
「こんにちは、アンブローズ先生。ベイルマンです。そしてこちらが我がクラス分の提出物です」
「ん、あぁ、そこ置いとけ。後で適当に見るから」
「はい。では失礼します」
「おう、気をつけて戻れよ……って違う! 今何か衝撃的な告白をしなかったか?」
「エメラルダ女史が最近年下のホストにどハマりしているという話ですか?」
「あの説教ババァが!?」
エメラルダ女史というのは法律学の先生で、厳格で口煩い所がある。
男子生徒がよくそのあだ名を使っているけれど、同僚の教師までそう呼ぶのはいささか問題なのではないだろうか。
「それは確かに衝撃的だが、違う。お前がさっき、退学がどうとか……」
「先生、お手元の液体が何やら反応していますよ」
「うお、ヤバっ」
先生の手の中のビーカーが金色に輝いている。ボコボコ泡が吹き出てかなり危険な状態だった。
アンブローズ先生はビーカーを置き、風魔法でいくらかビーカーの温度を下げてから何かを取りに棚へ向かう。そしてその最上段の瓶を取ろうとする。
……届かない。
背伸びをしても届かない。
「……お取りしましょうか?」
ジルベスタ・アンブローズ先生はその中身は天才大魔導師であるものの、容姿は10代前半程度の少年、いや、美少年だった。
精巧に造られたアンティークドールのような美しく可憐な容姿で、背丈なんかは私の胸くらいまでしかない。
彼はその尊大な態度とは裏腹な愛らしい見た目で主に女子生徒からの人気が高い先生で、今年度『養いたい先生ランキング』では堂々の1位を獲得していた。
「頼む。……ったく、不便なもんだぜ子供の姿ってのは」
「今まで何となく流してきましたが、どうして先生はそんなお姿を?」
「言ってなかったか? ここに来る前にちょっと不老不死目指しててな。その実験の副作用で若返っちまったんだよ」
「ちょっと」「不老不死」目指してて?
聞き間違い?
「俺は今代最高の大魔導師なんて呼ばれちゃいるが魔導の真髄はまだまだ遠い。俺がそこに行き着くまでにあと1500年はかかる計算なんだ。だからほら、それまで生きてなくちゃならねぇだろ?」
聞き間違いではなかった。むしろ聞き間違いであって欲しかった。
不老不死って、そんなちょっとそこまでレベルで目指すものだったかしら?
「あー、あれは馬鹿やったなぁ。どうしてあの時に投与を止めて置かなかったのか過去の自分に問いただしたい。あの霊薬の毒性が強いことはあらかじめ分かってたってのに俺は馬鹿か! 何のためにデータを取ったんだ!」
「確かに先生は、テンションが上がると希望的観測で突っ走る所がありますね」
「割と良い方向に働くことも多いんだけどなー。でも流石にこと不老不死ともなると、そう上手くは行かなかったって訳だ」
「では実験は失敗ですか?」
「あぁ。まだ寿命を1000の大台に載せることは出来なかった。この体はもって後500年ってとこだな。それまでに次の研究を完成させねぇと」
「先生のお話はちょっと……荒唐無稽に過ぎますね」
そもそも先生は人里離れた森の奥で1人魔導の研究をしていたところ、その才能を買われて学園の教師にスカウトされたらしい。
嘘か本当かは知らないが、各国が先生の頭脳を手に入れようと競ってお金を出し合っているとか。
先生が著した魔導理論の書物は数知れず、世界の魔法の水準を1人で1000年引き上げたと言われている。
天才は凡人には理解できない。そういう事だろうか。
しかし、私の言葉にアンブローズ先生はけらけらと笑う。
「常識なんて捨てろ。そんなもんはクソだ。魔導師に必要なのは固定観念に縛られない自由な脳みそで、逆に言えば、それ以外は何もいらない」
「そう言われましても……」
「俺はお前には見込みがあると思ってんだぜ?」
「光栄です」
「お前が書いてる『転移魔法と異空間魔法の魔法陣の類似点と相違点についての研究』の論文だって、俺には無い発想が——」
そこでハッと気がつく先生。
「退学って何だよ!? 論文はどうなる!」
「やっと本題ですか」
「お前が別の話を持ち込むからだろうが」
少し話が長くなりそうなので、私は準備室へお茶を淹れに向かった。
***
紅茶が入って実験室へ戻ると実験器具は既に片付けられていた。先生が机に足を乗っけて座ったお行儀の悪い姿勢で私を待っている。
「それで? 一体何がどうなってそんな事になったんだ」
「本当に何もご存知ないのですか? 今学園は私たちの噂で持ちきりですが」
「世俗のことに割く脳みそは俺には無い。無駄だ」
つまり何も知らないと言うことらしい。流石すぎる。
「……ではご説明申し上げます。あれは木漏れ日うららかなある春の午後のことでした」
昨日、私が学食の窓際の席で庭を眺めながらお茶を楽しんでいると、そこへ側近やご学友を引き連れたヴィンセント殿下がやって来た。
6人の男子生徒と、その中で守られるようにして立つ女子生徒。お顔を存じ上げなかったのでおそらく我が家とは関わりの薄い、家格の低いお家の方だろう。
自慢ではあるが、我がベイルマン侯爵家は商業で幅を利かせているため顔が広いのだ。
もちろん歴史ある貴族であるベイルマン家は土地収入と城の文官としての給料で生計を立てていた。
しかし三代前の当主様が名のある商家の娘である曾祖母様と恋愛結婚し、そこから商業にも手を伸ばしたという経緯で、貴族でありながら商家という矛盾するような肩書きを持つ我が家である。
話が逸れた。
殿下は言った。私が彼女に低俗な嫌がらせを働いていると。彼女は体の痣を見せ、私に暴力を受けたと証言した。
そして殿下は彼女に真実の愛とやらを感じており、私との婚約を破棄したいと仰ったのだった。
「語り口がウゼぇ」
「つまらない話なので少しでも情緒豊かにしようと思いまして」
「それで? 婚約の破棄うんぬんはともかく、それでどうやって退学って話になるんだよ」
「明日、ダンスパーティーがあるでしょう」
王立魔導学園では一学期の終わり、夏季休業に入る前に生徒全員参加の大きな夜会がある。
みんながめかし込んでこぞって集い、別れを惜しみ友情を深める会で、つまりは子供の社交場だ。
「そこで全校生徒の前で行いを認めて謝罪をすれば、今回の件は大ごとにはせず、不問にしてくださると殿下は仰いました。そうしなければ私の地位は全て剥奪すると」
「いや、もう十分に大ごとだろ」
「ですがやっていない罪を認めるなどという不誠実な事は出来ません。明日、私は堂々とパーティに出席し、終わったらそのまま学校を追放されようと思います。私が栄誉あるこの学園に通えるのは、ベイルマン侯爵家の娘という立場あってこそですから」
「ふぅん、そういう訳か……」
私は両手をきゅっと握りしめる。
担任でこそないが、この学園で過ごして2年、私はアンブローズ先生と多くの時間を共にした。
奔放なところはあるが面倒見は良く頼りになる先生で、私は彼を慕っていたのだと思う。
その彼にこんなつまらない身の上話をしてしまうことが恥ずかしい。
本当ならこの程度、侯爵家の娘として自力でなんとかしなくてはならなかったのに。
「……何しおらしく反省なんかしてるんだお前は」
「反省なんかしてるんだと言われましても……反省はします。今回のことでは私は全て後手に回ってしまい、良いようにやられた形ですから」
「そんな事はどうでも良い。お前は一体どうしたいんだ。ここで俺と魔法について話してるお前はいつも目を輝かせてたぜ。この学園を追い出されて、それで良いのかよ」
「良くはありません。しかし、もう詰みです。投了です。私にできる事は……」
「もうできる事はねぇってか。お利口さんだなお前は。使えるものは何でも使えよ」
「使えるもの? 何ですかそれは」
「俺とのコネとか、色々あるだろう」
「先生が……?」
「その、『こいつが一体何の役に立つんだ』みたいな視線をやめろ。傷つくだろうが」
「そんな繊細な心はお持ちでないでしょう」
「そんなの分からんだろう」
そう言って拗ねる先生を見て、思わず笑ってしまう。
何故、こんなシリアスな話の流れからこう持っていけるのかしらこの人は。
それに、どうしてこんなに、親しげに、今までと変わらず私に話しかけてくれるのだろう。
「先生はお聞きにならないのですか? 私が何故女子生徒をいじめたのかとか」
「聞いて欲しいのか?」
「いえ、聞かれてもお答えできる事はないのですが……」
だってそんな事やっていないし。そもそも、あのお昼の時に彼女とは初対面だ。
でもアンブローズ先生の前に事情を話しに尋ねた先生方は皆そう聞いてきた。
あんなに真面目な生徒だった貴女が何故、と。
「別に嫌がらせだとか、そんな事は問題じゃない。俺だって邪魔な奴は蹴落として来たがな、誰も俺を責められない。何でか分かるか?」
「子供を虐めてるみたいになるからですか?」
「バカかお前は。違う。俺が天才だからだ。この天才性と実績が俺の正しさを証明する。俺は今世紀最高の大天才だ。だから正しい。正しさなんて後から付いて来るんだよ。別に、お前がそいつを邪魔に思って消そうとしたんならそれでも良い」
「はぁ……」
「問題は、俺が助手として育てた優秀な生徒がそんな事のために学問を奪われることだ!」
「そこですか」
「お前の魔導にかける熱意とセンスには眼を見張る物があった。発想が新しいしな。卒業後に助手として連れ帰る予定だったのに、ヴィンセントは全く何て事をしてくれたんだ」
「初耳です先生」
私の婚約すらよく知らなかった人が、私の行く末について勝手に決めないで欲しい。
「でも、その口ぶりだと冤罪なのか?」
「そのはずです。少なくとも私には覚えがありません」
「なら話が早い。嘘にはどこか綻びがあるもんだ。行くぞ」
「えっ?」
先生はいつのまにか空にしたティーカップを机に置くと、立ち上がった。
***
先生の迷いのない足取りについて行くと何故か中庭に到着した。噴水の前で、殿下達御一行が歓談している。
「何故殿下がここにいると知っていたんですか?」
「あん? 知るかそんなの。魔力を探ったに決まってんだろ」
「そんな精密な魔力探知は王国魔導師でも難しいと思いますけど……」
常識を軽く飛び越えて行くのはやめて欲しい。ご本人はよくても、私がついていけない。先生といると驚きの連続だ。
「これはこれは、アンブローズ先生と……ミランダじゃないか。何の用だい、ミランダ・ベイルマン。一足先に謝罪に来たのかい? 先生に付き添ってもらって?」
「…………」
答えられない。私も何故先生が殿下の元へ来たのか分からないからだ。
「ヴィンセント、お前に用は無い。それが件の女子生徒か?」
殿下を押しのけて先生が言う。周りの男子生徒に囲まれるようにして、噴水の縁に例の彼女が座っていた。
きらめくふわふわの金髪に、青空のような澄んだ瞳、そして白肌に、バラ色の唇。花の妖精のように可憐なその姿に、チクチクと針に刺されるような感覚が私を襲う。
私なんて重い茶髪だし、その上直毛だし、目の色だって同じ色で、地味にも程がある。優しくて可愛い女の子じゃ全然ないし。
そりゃあ真実の愛も目覚めちゃうって話だ。
不安げにこちらを窺う彼女を見て、私はこっそりため息をついた。
すると先生はずかずか彼女に近づいて行って、ぐいとその袖をめくり上げた。
「傷は?」
「きゃあっ!」
普通、男性がそんな事をしたら大問題になるというのに、子供の姿というのは得だ。彼女も驚きはしたがそれ程不快ではないようだ。
露わになった彼女の白い肌の上に青あざが浮かんでいる。前に見た時と変わらず痛々しい光景だ。
それは彼女曰く、「私が雇った人間に乱暴された」傷らしい。
「何をする、アンブローズ!」
「アンブローズ先生、だ」
「……アンブローズ先生、何をなさるのですか……」
「ふんふん、こりゃ杜撰な……つーかお前、何か変だな。魔術……いや、魔法薬か?」
「っ、嫌! 離して!」
彼女が急に顔色を変え、先生の手を振り払った。
「ヘレン、大丈夫か?」
「はい、殿下……でも私、怖いです……」
「安心しろ、俺が守る」
まるで騎士のように彼女の前に立つ殿下。私には、一度もそんなことはしてくださらなかったのに、と恨み節のような言葉が湧いてくる。
いやいや、それは流石に重過ぎる。反省しよう。
「ミランダ、まさかまだ往生際悪くシラを切るつもりなのかい? 教師まで巻き込んで、君はどこまで見苦しいんだ」
「うっ……」
「アンブローズ先生、彼女の言うことを信じないでください。彼女はあるまじきことに、保身の為の嘘を重ねているのです」
「ほう」
先生の方をちらりと窺うと、彼は読めない表情で殿下を見据えていた。
「ミランダ、明日、全ての間違いを認めて謝罪すれば俺たちは君を許す。そこから君の新たな歩みが始まるんだ。苦しいだろうが、それでも耐えて、君は君の弱さを捨てなくてはならないのだよ」
殿下は片方の手で例の彼女——ヘレン嬢の肩を抱き、冷たい目で私を見下ろす。
殿下に体を寄せて嬉しそうに微笑む彼女の姿がやけに癇に障った。
「人に説教たぁ偉くなったもんだな、王子様。行くぞベイルマン。用は済んだ」
「…………」
「おい」
力強く腕を引かれてハッと我に帰る。先生は反応の鈍い私に苛立ったように、どんどん歩いて行く。
殿下に挨拶をする暇もなく、私は校舎の陰まで連れていかれた。
「お前、顔色悪いぞ」
「すみません……」
「これ飲め。あとこれ、これとこれと、これも」
色取り取りの瓶が差し出される。
先生のローブは異空間に繋がっているのだろうか? 次々と物が出てくる。
「何ですか、これ」
「ポーションの一種だ。これが解呪、これが対毒、これが対精神異常、これが魔力の回復、これが……」
「結構です。少し休めば治ります」
「そうか…………いや、そうだな。そりゃそうか」
気分的な問題なので、そこまでしてもらう必要はない。
……もしかして心配してくれたのかしら? 心配の方法は、やや斜め上だけど……。
「少し、座ってもいいですか?」
殿下の前から立ち去って、何だか気が抜けてしまった。体に上手く力が入らなくて、先生の返事を聞く前に壁に寄りかかって腰を下ろす。
「何ていうか……口にするのも恥ずかしいですが、人に好かれる能力とか、愛されるような魅力だとか、そういうものが私には足りなかったんだと思います。私はそういう点で彼女に大きく負けたんです」
「負けたってお前なぁ」
「……私、これでも殿下のこと、少しは好きだったんです。将来あの方の足を引っ張ることがないよう、沢山勉強して……魔導理論については、そのうち興味の方が強くなって行きましたけど」
真面目に努力することが正しいと思って来たし、その通りにして来た。
一体どこで間違えたのだろう。私は、何に躓いたのだろう。分からない。
5歳の時に婚約が成立し、それからずっと殿下を見て来た。彼とは恋愛関係にこそ無くても、良い友人であれたと思う。
でも、彼の心を得ることは叶わなかった。
「殿下はああいう、守ってあげたくなるような、可愛らしくてどこか儚げな、そういう女の子が好きなんだと思います。私はそうはなれません。ベイルマン侯爵家の長女としてのプライドを、今更捨てられません。今更、弱々しく振舞って男性に寄りかかるようなことは、私には出来ませんから……」
「優等生」のプライドがこんな時でも邪魔をする。
昔から侯爵家の娘はかくあるべしと繰り返し言われて来た。私もそれを正しいと思っていた。
殿下の婚約者の候補には私より家格が高く、美しい方が沢山いた。彼女らを差し置いて選ばれた私を嫌う方も沢山いた。
目の敵にされ、恨まれ、疎まれる日々で、誰にも弱みを見せないように、どんな時でも毅然として、淑女たり得るように。
それが間違いだったと、殿下はそう言うのだろうか。
「バカかお前は」
「……え?」
「お前がヴィンセントに頼れなかったのは単にあいつが甲斐性なしだからだろう。女が余計なこと考えてんじゃねぇ。お前が人生かけて積み上げたものに対してそんなふうに言わせる時点で、あいつの器なんかたかが知れてんだよ」
「でも、私が……」
「証明しろ、ベイルマン。お前の正しさを。誰にも否定できないように。俺がその場を用意してやる」
「アンブローズ先生……?」
先生が、その端正な顔に自信に満ちた笑みを浮かべる。
「信じろ。今お前の前にいるのは誰だ?」
「だ、誰でしょう」
「今世紀最高の大魔導師様だろうが! そこはノって来いよ!」
「すみません!」
素で分かりませんでした。
でも先生の自信に満ちた言葉を聞いていると、不思議と心が落ち着く自分がいる。
何と言うか、この人がいれば本当に何でも大丈夫な気がしてくるのだ。
「……これが甲斐性って奴ですか?」
「ばーか」
そう言って先生は私の頭を撫でた。少年の細い手が、何だかとても大きく、暖かく感じられる。
「……教師としてこれはまずいか? いや、このくらいは……」
「訴えれば勝てますね」
「お前、誰のせいだと……まぁ、そんだけ軽口が叩ければ十分か」
撫でくり撫でくり。
先生の手がぐしゃぐしゃと私の髪をかき混ぜた。流石にはたき落した。
「そういえば、ヴィンセントヴィンセントって気安く呼びますけど、いくら先生と言えど王太子殿下にその態度はまずいんじゃありませんか?」
「さぁなぁ、他の奴は知らねぇが、あいつは俺に文句なんか言えねぇよ」
「何故です?」
先生がにやりと黒い笑顔を浮かべる。
「俺はここにくる前は、ほんの少しだけあいつに魔法を教えてたんだ。その時に大分しごいてやったからなぁ。あいつには俺に逆らえるほどの度胸は無いだろう」
殿下、お可哀想……。
私は初めて彼に同情した。
***
翌日。空が薄紫に色づき始めた夕暮れ時、ダンスパーティーの会場である大講堂の前で、私は大きく息を吸った。
髪はきちんと結い上げて、お気に入りの白いドレスを着て、以前お母様に貰った首飾りをつけた。気合十分だ。
大丈夫、大丈夫。
「大丈夫……」
「何が大丈夫なんだ?」
「うわっ!」
「『うわっ』て何だよ。俺を傷つける気か」
そこにはアンブローズ先生がいた。普段の無骨なローブ姿では無く、可愛らしく正装している。見た目だけは天使級だ。
「1人かよ、情けねぇなぁ」
「煩いですね……先生だって1人じゃないですか。恐ろしく長生きしててもエスコートする女性はいないんですか? やっぱり性格ですよ」
「憎まれ口だけは減らねぇなお前は」
痛いところを突かれて、つい八つ当たりしてしまった。
「ほら」
「何ですか、この手は?」
「仕方ねぇから可愛い生徒のために俺が一肌脱いでやるって言ってんだよ。分かれ」
「つまり、先生が私をエスコートしてくださると……」
「文句あんのか」
「文句と言いますか……その、身長が……いえ、何でもありません」
「しっかり文句があるんじゃねぇか」
早くしろ、と手を引かれて会場の扉へ進む。
他の生徒とかち合うのが嫌で、私は遅れて会場へやって来た。だから本来なら先生とも会うはずがない。
「……待っててくださったんですか?」
私の問いは、開いた扉から溢れ出した喧騒にかき消された。
「待っていたよ、ミランダ。…………と、アンブローズ先生、な、何故?」
会場の中央、シャンデリアの真下で殿下が立っている。そしてその隣には、当然のようにヘレン嬢がいた。
「ベイルマン、言ってやれ。ヴィンセントに言いたいことがあんだろ?」
「は、はい」
先生に背中を押され、私は一歩前に進み出る。
全校生徒が私に注目している。
足に力が入らない。息が苦しくて、頭が真っ白になりそうだ。
でも。
私の後ろで、先生が立っている。見るまでもなくきっと今もあの不敵な笑みを浮かべているんだろう。
「さぁ、ミランダ。潔く謝罪するんだ。俺も、君に思いやりのないことをしてしまったかもしれない。君がそうなった原因は俺にもあるのかもしれない。君が謝ってくれたら俺も謝るよ。そうして水に流そう」
そう思うと、殿下の言葉も驚くほど私の心を揺らさなかった。
「…………いいえ、殿下」
「何?」
「王家に仕える貴族の一員として、そして私のプライドにかけて、虚偽の謝罪はいたしません。どうぞ、如何様にもお裁きくださいませ」
「なっ……何故だ? 自ら、更生のチャンスを潰す気かい? それでこの先、どうしようっていうんだ」
「私は殿下より婚約を破棄された身。そこまで気にして頂く必要はございません。どうかそちらの女性とお幸せに」
先生がばしばし私の背中を叩く。
「よく言った! よく言ったぜミランダ!」
「痛い痛い、痛いです先生」
するとその時、重々しく鐘の音が響いた。
学園の時計塔が鳴らす門限の時間を知らせる鐘だけれど、まるで今だけは全ての終わりを告げているみたいだった。
「俺は努力が全て報われるだとかは言わねぇが、だがミランダ、お前の自分の足で立とうとするその姿勢は好きだ。だからこの俺が報いてやる」
「報いる……?」
「夢の終わりさ」
先生が私の前に出る。
私は言いたいことは言ったので、もう何もすべき事はない。大人しく背景に徹することにした。
「ヘレン嬢、傷を出せ」
「…………何故、傷を?」
先生の不躾な申し出にヘレン嬢が眉をひそめる。
「何も問題が無いなら見せれんだろ?」
「で、殿下……」
「……ヘレン、見せてやれ」
ヘレン嬢が殿下に頼るも、助け舟は来なかったらしい。殿下がアンブローズ先生に頭が上がらないというのは結構本当っぽい。
渋々と行った感じで、ヘレン嬢が上着で隠していた痣を晒す。
「ベイルマン、この傷を見てどう思う」
「……どうもこうも、相変わらず痛々しい患部だな、という感想しか……」
「そうかそうか、相変わらずか」
私が他人事みたいな感想を言ったからか、殿下とヘレン嬢の視線が痛い。
「おかしいだろう。もう初めて傷を見てから2日が経ってんだぜ? なんで変わんねーんだよ。健康な10代の肉体が、その程度の傷をいつまでも残しとく訳がねぇだろ」
「………あら? いや、でも、私の勘違いかも……昨日も見ていますし、変化に気がつかなかった、のかも?」
「いいや、お前の感想は正しい。この痣は変化してねぇんだ。何故なら、これは内出血による変色じゃなく、幻術の魔法でそれっぽく見せてるだけの偽物だからな」
ええっ。と会場が騒めく。
しかし無実の罪を着せられている私としてはそのくらいは予想していたけど、でもこれはおかしいと思うのだが。
「そんなはずはない! 俺がこの手で手当てをした時、ヘレンは傷に触れられて痛がって……」
「演技に決まってんだろうがアホかテメーは」
「そ、そうかミランダ! 君、金か何かでアンブローズ先生を抱き込んで……」
「あん?」
「ひっ」
先生が怖いのなら余計なことを言わなければ良いのに……。
「納得いかねぇって顔だなベイルマン」
「……だって、傷に偽装しようとしたら、毎日少しずつ治っていくように幻術を掛け直すものじゃありませんか? それをしないのは、あまりにもお粗末っていうか……そんな杜撰な、思いつきみたいなやり方でこんな事を仕出かすでしょうか?」
「うん、俺もそう思う。だから、何らかのアクシデントで魔法がかけ直せなくなったんじゃねぇかなぁ」
「アクシデント?」
先生が一言喋るごとに青白くなっていくヘレン嬢を横目に、私は先生に言う。
「こいつが使ってた幻術の術式はお前ら生徒レベルが組めるもんじゃねぇ。解析された時用にダミーまで入ってるし、プロのやり口だな。つまり、ヘレン嬢はこの幻術の魔法を誰かしらに依頼したんだろう」
「じゃあ……お金がなくなって、次の依頼が出来なくなったとか?」
「流石にそこまでアホじゃねぇだろ。単に、かけられた魔法が解けなくなっちまったんだよ」
「魔法が解けなくなった? そんな馬鹿なこと、ある訳がない。先生と言えど間違う事はあるようですね。これは俺たちに対する甚だしい侮辱だ。どうやって償ってもらおうかね」
「ベイルマン、魔法に不具合が起こるのはどんな時だ?」
丸っと無視された殿下が私を親の仇のように睨んでいる。
怖いです。
イケメンが台無しだ。
「えーっと……まずは、魔法の使用者と対象者の魔法のレベルが大きく違う場合でしょうか。それは特に、使用者の方が対象者より劣る場合ですが、今回はプロと学園生徒という事ですし、違いますよね?」
「そうだな。他には?」
「後は……魔法を使用した場所の磁場や魔力の流れが乱れている場合……もプロは場所くらい見極めますし、魔法を解くだけなら学園内で行えるのでそれはありませんね」
学園があるのはこの国で最も魔力が安定した場所だ。
「他には……対象者に既に他の魔法がかけられている場合でしょうか? 特に魔法陣を用いるような複雑な術式の場合、魔術干渉を起こして不発になったり、意図しない効果が現れる事例があると聞きます。ですがこれも、相手がプロなら事前にチェックくらい……」
「いや、それで正解だ。流石だぜ優等生、授業中俺がぽろっと喋った事をここまで覚えてるとはな」
「でも……」
「まぁ魔術を生業にしてる魔導師がその程度の備えをしなかったとは思えねぇが、そこはこの女が意図的に隠したんだよ」
「ヘレン嬢が? 一体何故?」
「それは説明するより実際に見せた方が早いな」
先生がその手をヘレン嬢にかざす。急激に場の魔力が高まっていくのを感じた。
「《混沌に眠る虚の女神よ、その光なき眼を借りて、全ての虚飾を棄て去らん》」
「嫌ぁっ!」
先生の詠唱が始まるや否や、ヘレン嬢が出口を目指して脱兎のごとく駆け出して行く。
しかし扉にたどり着く前に、輝く魔法陣が彼女を包んだ。
「やだ……あ……っ」
まばゆい閃光が辺りを包み、思わずぎゅっと眼を瞑る。そして再び開くと、
「あ…………あぁ……」
そこには見知らぬ女子生徒が立っていた。
さっきまでヘレン嬢がいた場所に、彼女が着ていた制服を着た、しかし似ても似つかぬ女子生徒。
金糸のような髪はくすんだ灰色に、空色の瞳は私と同じ暗い茶色に、肌は少し日焼けして、所々にそばかすが浮かんでいて、ほっそりしていたヘレン嬢とは違い小太りになっていた。
「だ、誰だ!?」
「誰だ、はねぇんじゃねぇの? お前が真実の愛とやらを誓った相手だろうが」
「な……俺はへ、ヘレンと」
「だから、そのヘレンちゃんが姿を変えてたんだよ。変身の魔法薬を使ってな。つまり幻術の魔法はこの魔法薬と魔術干渉を起こして解けなくなっちまってたってことだ。見栄なのか何なのかは知らねぇが、魔法薬の事は依頼した魔導師に隠してたんだろう」
魔法薬というのは魔導師が作った魔力を帯びた薬の事で、服用する事で効果を発揮する。対象者が魔力を使う必要がないので、魔法を知らない子供でも使える代物だ。
ちなみに回復などに用いられるポーションも魔法薬の一種だ。
「注意して見ていりゃ、不自然さくらいには気づけた筈だ」
「ぐっ…………」
「落第点だぜヴィンセント。先生は悲しいよ」
殿下は下を向いて沈黙した。
「……でも、魔術の重ねがけが危険であることは幼子でも知る常識ですよ先生。まさか魔法薬なら大丈夫なんて安易な考えをした訳でもないでしょうし、やはり不自然では……」
「これ以上は追い討ちをかけてやるなよ。ヘレンは俺の授業でも赤点ギリギリだったからなぁ」
成績は魔法薬ではどうにもならなかったらしい。
しかし、彼女はどうしてこんな事を。
確かに、魔法が解けた彼女は今までの妖精のような美しさは無いけれど、醜いわけでもない。普通の、どこにでもいる女の子という感じだ。
魔法を使って自分の姿を偽ってしまうくらい、殿下が好きだったということだろうか。
「……で、殿下。私に真実の愛を誓うと、そう言ってくださいましたよね……?」
「それは…………」
そこで私の方を見ないでよ。どうにもできませんよ。
「お幸せに……」
「ミランダ! まだ、まだ俺と君の婚約は正式には破棄されていない! やはり俺には君しか……」
「いや、もう破棄は成立してる」
「どういうことですか先生?」
「さっき、しゅぱっと王城へ行って話を通して来た」
「しゅぱっ、というのは?」
「だから、転移魔法で」
簡単に言ってくれる。転移魔法というのは想像するほど簡単なものではないのだ。
事前に大掛かりな準備を必要とする大規模魔術なのに、それをいとも簡単に……。
じとっと先生を見ていると、先生がにこっと笑って私の頭を撫でた。撫でたというか、背が足りないので軽く叩いたという方が正しい。
そして相変わらず顔だけは可愛らしい。
「ふふん」
「……何ですかこの手は? 教師としてあるまじきセクハラでは?」
「そういうのはもういーんだよ。俺もう教師じゃねぇし」
「え?」
「辞表出したから、パーティが終わったら受理されんだろ。金もそこそこ溜まったし、新しく助手も出来たし、これで研究の本格再開だ! いやぁ、腕が鳴るぜ」
「私は先生の助手になるとは……」
「は? なるんだよ。何のために俺がここまでしてやったと思ってる。それに言ったろ? お前の為に舞台を用意してやるって」
「それは、このダンスパーティの事では?」
「ばか、違ぇよ。俺が用意するのがこんなチャチなもんな訳ねぇだろ。あの時のは、俺の助手になって歴史に名を刻ませてやるって意味だよ」
「それは何とも壮大な話ですね……」
まぁ確かに、先生の名前は既に教科書に載っちゃったりしているのだけど。
「嫌か?」
「……いいえ、今回のことでは大変お世話になりました。その恩もお返ししなくてはいけませんから、助手として雇ってくださるなら、それ以上のことはありません」
「うんうん。じゃ、行くか」
「行くって……」
足元が輝き始め、魔法陣が展開する。
えっ、まさか転移魔法?
「ミランダ! 待って!」
追いすがる殿下が見える。その姿は何とも情けなくて、何だか、すっと最後の憑き物が落ちた気がした。
そこで視界は途切れた。
***
「ベイルマン! 早く別のビーカー持ってこい! これ以上は持たねぇ!」
「先生が適当に片付けるから棚が……っ!」
爆発音がして、振り返ると先生がススだらけになっていた。
「けほっ……くそ、また失敗か」
「すみません……」
「いや、計算上はもっと安定する筈なんだ。どこが間違ってんだ? 最初から見直すしかねぇか……」
「それなら1つ、気になった点があるのですが……」
国の外れ、国境にまたがる深い森の奥に、アンブローズ先生がかつて使っていたというアトリエはあった。
「魔法陣のここの回路が、ほらこう……重複していませんか?」
「は? だってこれは……いや、んん? 待てよ……」
先生は積み上げた書物をかき分けて目当ての資料を見つけ出し、それを乱暴にめくる。
「だーっ! ダメだっ! 流石に四徹目だと目が霞んで読めねぇ! 休憩するぞ!」
「はい、お茶を淹れますね」
アトリエの窓を全開にして換気し、キッチンへ向かう。
いつのまにか日が昇っていたらしく、急に室内が明るくなった。
紅茶と、甘いものもつけよう。疲れた時は甘味に限る。
先生の好きな紅茶も丁度昨日仕入れられたので、これできっとご機嫌を直してくれる事だろう。
私が学園を離れてからもう一ヶ月が経った。
先生に連れられて急いで出てきてしまったけれど、追って荷物や中途退学の書類などを学園が送付してくれ、今の所特に問題はない。
実家の方も、手紙で事情を説明して先生に弟子入りしたと告げたら、多少の反対はあったが結局は納得してくれた。
特に、転移魔法の簡易化に成功したら商品の輸送に貢献できる、という文句が効いたのだと思う。商業に染まって来ている我が家は利に聡い。
あと国内外問わず有名なジルベスタ・アンブローズの名も効いたのだと思う。
あと、学園とは別口に、分厚い封筒も届いた。エメラルダ・グロッグ、つまりはエメラルダ女史からの個人的な荷物だ。
中には法律学の分厚い教科書類とプリントが入っていて、それは私が学べなかった残り2年分の教材だった。これで自学しろということらしい。分からないことがあればグロッグ家に直接来いとの手紙もあった。
その手紙は自室の壁に貼り付けて保管している。厳格な先生だったけれど、生徒思いの公正な方でもあった。心の師とお呼びしたい。
「おい、見ろこれ」
先生に呼ばれて紅茶を持って戻ると、先生は新聞を広げていた。今日の朝刊らしい。
「何ですか? 『ヴィンセント殿下、結婚』……『お相手はヘレン・アドニス子爵令嬢』……って、まぁ殿下、ちゃんと誓いをお守りになったんですね」
「あいつは思考が偏りがちなだけで悪い奴じゃねぇからなぁ。責任取ったんだろ」
「まぁ殿下の婚約は解消され、ヘレンさんも嘘が無くなって、これはこれで真実の愛なんですかね」
「確かに」
先生は紅茶に口をつけ、それからわずかに口元を緩めた。お口に合ったらしい。
「そうだお前、この前街に行った時、変な男共に絡まれたんだって?」
「えっ、何故それを?」
言ってないのに。
「風の噂だよ」
「風の噂って、ここ何日も引きこもってるくせに何を……」
「だから、風の精霊に聞いたんだ」
「さらっと反則技を使わないでください」
もちろん精霊には人間のような言語体系は無い。それを理解して会話するって、最早何をどうしたらそうなるのか全く想像がつかない。
「何で俺に言わねぇんだよ。そういうのは言うだろ、普通。しつこく付きまとわれたらどうする」
「平気です。これでも侯爵令嬢ですから護身術は一通り身につけています。その時だってこう、腕を捻り上げて……」
実演して見せると、丸めた紙でぽこんと頭を叩かれた。
「アホか、根に持った奴らが集団で襲って来たり妙な魔術を使って来たりしたらどうする。お前に対処できんのか?」
「何とかします」
「何とかって?」
「…………何とかは何とかです」
「変な意地を張るな。それで大怪我したらどうする」
何とかは何とかだ。私だって少しは戦えるし、前より魔術の腕も上がった。
それに、こんな下らないことで先生のお手を煩わせたくもない。
「先生には……殿下とのことでも、大変お世話になりました。今はその恩返しがしたいのに、更にお世話になる訳にはいきません。自分でできることは自分でします。そこまで気にかけて頂く必要は」
「大馬鹿かてめーは。前にも言ったがな、使えるものは何でも使えよ。俺は今世紀最高の天才大魔導師様だぜ? お前1人に頼られるくらい、迷惑でもなんでもねぇんだよ」
頼もしい……。
この人とずっと一緒にいたら駄目になりそうだ。頼もしすぎて。
「つーかガキが遠慮なんかしてんじゃねぇよ」
「が、ガキって、私はもう今年で20歳ですよ」
「ガキだろうが」
「そりゃあ先生に比べたらそうですけど……」
むしろこの人の言う大人って何歳?
「……じゃあ、頼っても良いですか」
「ん? 何だよ急にしおらしくなったりして」
「煩いですよ。…………今度、買い物に付いて来てください」
「最初から素直にそう言や良いんだよ。全く俺の助手は意地っ張りで困るぜ」
「私だって片付けが下手でズボラな先生にはいつも困ってますけどね」
「それは……まぁ、アレだよ。誰にでも向き不向きがだな……」
あ、先生のティーカップが空になっている。
私は妙な言い訳をする先生を尻目にキッチンへ向かう。
「おい無視すんなよ」
「中身のあるお話なら無視しませんけどね」
憎まれ口を叩きながらもこっそり笑う。先生とこういう軽口の応酬をするのが私は実は好きだったりするのだ。
今の生活は楽しい。
前のように使用人に世話をしてもらうことはないし、生活の質も落ちたけれど、尊敬する恩師に直接指導してもらえるし、何より自分の力で好きなことに取り組むことが楽しい。
婚約破棄されて天才大魔導師様の助手になったけど、人生万事塞翁が馬というか、幸福というのはどこに転がっているか分からないものである。
キャラ設定です。読まなくても全く問題ありません。
ミランダ・ベイルマン
19歳♀
ベイルマン侯爵家長女。
甘え下手のしっかり者。
今まで甘えられる大人がいなかったので、今は反動で先生リスペクトが激しい。
ジルベスタ・アンブローズ
?歳♂
実験中の事故で、12歳の姿のまま成長が止まっている。
実績に裏打ちされた自信家でナルシスト。
最近は新しく出来た助手を構いまくっている。
頼られるのが好き。
ヴィンセント
21歳♂
視野が狭い正義漢。
ヘレン・アドニス
18歳♀
外見のコンプレックスが激しい。
エメラルダ・グロッグ
教師としては優秀で、厳しいけど良い先生。
でもプライベートはあんまり上手くいかない。独身。
入れ込んでたホストと最近連絡が取れない。
ここまでお読みいただいて、ありがとうございました。