聖都に着いて美味ー!後、うらやまちい
今日は朝からバタバタと母リリィ=アルフヴィダントが右往左往している。
それはそうだ、いまから私と父アルガと共に聖都に行くから。
聖都に行くと言えば、どこの田舎町でも少し都会的な街でも小綺麗にして行くのが普通。品祖な格好で行くと冷たい目線があるらしい。
そんな所に【ジョブシステム】を授かりにいくんだ。
父親は、行く準備をしている。馬車に荷物を積んでいる。
格好も綺麗にしていて直ぐにでも出れそうなんだけど、私の服が決まらない。
既にファッションショー状態になってる。
近くで楽しそうに、弟ライクと妹ルルが見てる。
身も心も女になっているんだけど記憶の奥底に元男ゼフの意識がある。
服なんてどうでも良いんじゃないかと思うのはゼフの微かな記憶がそうさせるのかな。
そんな事考えていると母親が、ニコッと笑顔になって服をだしてきた。
着てみたけど、着てみたけど、これ?
サイズはぴったりでも、ちょっと肩幅が大きいかな。
青いブレザーのような服に、白いズボン?
私は女の子ですけどこの服どうみても男物じゃない?
と思ってたら、兄ゲイルがきて
「それ、俺が5歳の時ジョブを貰いに行ったときの、やつだね」
結果、兄のお下がりになってしまった。
母親が、やってしまったぁーって言いながら服を探している。
「おい!もうすぐ出るぞ!!」
父親が、私が着替えていた部屋に来たとたん私の服装を見て口をあんぐりしてる。
「そっ それゲイルの時の!!」
って言った瞬間、母親が父親にポコポコ叩く。
はい、そこ、いちゃつかない。
「時間がない。ゼフィそれでいいか?」
「良いよ。早くいこうよ」
この姿、幼女の姿で聖都に行くのは、初だけど格好よりも早くジョブシステムが欲しい。 それしか頭に無かった
父親と一緒に馬車に乗り込む、貸し切りみたいだな。
「ゼフィちゃん、はぐれないようにパパの手を繋いでね」
「ゼフィ!! どんなジョブか楽しみにしてる。 父親と一緒いろよ」
母親の心配は、わかるけど。兄の心配は珍しい。本当に珍しい。
「お姉ちゃん! ジョブ楽しみだよ。 お土産お願い」
「おみやげ!! おみやげ!!」
弟と妹は心配すらなく、ただお土産を楽しみにしてるんだろう。現金なやつらだ。
この町も聖都に近いと言っても半日はかかるが、のどかで落ち着きのある町。 地面は土なのだが主の道は舗装整備され馬車が通っても少ししか揺れない。 田舎町と都会の田舎より町並だな。
よく兄と木登りしてたりしたな。
兄が、本格的に父親と訓練し始めたら遊ぶのを止めていた。
その時には弟と妹一緒に追いかけっこしたりしてた。
そんな町なんだけど、別れではないので感慨に浸るわけではない。ただ田舎なのだ。
だんだん町が、遠くなり小さく見える。
遠くには山、山脈が見え雪は無いが青々とした樹々が生い茂っている。散歩日和的な雰囲気だな。
「ゼフィは、やはり家事などのジョブがいいのか?」
父親が、おもむろに聞いてきたが
「ええ、もちろんですよ。 お母様のお手伝いをしたいと」
「この前の剣の稽古、良い太刀筋していたんだがなぁ。リリィを助けてくれるのもありがたいしなぁ」
この前、剣で軽く打ち合いを、した。そりゃ剣にまつわるジョブを持っているんだよ。威力や効果は、発揮出来なくても動きとかはだいたい覚えてる。密かに動きは練習してたんだよ。
街道を通っているので多くの旅人、もしくは冒険者に会ったり行商人や馬車とすれ違ったりして、出会う人が多くなっていく。
だんだん聖都に近づいているのがわかるな。
聖都の外壁が見えてくる。 デカイし高い!! そうか子供の背の高さだからこう感じるのか!?
前世の記録だとそんなに高いとは、と思ったらあんまり書いててないな。見ても感じてもない。そりゃわからんわ。バカらしくなって。
「アハハハハ」
「おい?ゼフィどうした!?」
ヤバいやっちゃいましたな。
時々ゼフィは、突然笑うというのが家族内で言われてる。
病気だと思われたらいけないやつだ。
「いやぁ、お父様。 外壁が高いにビックリして笑ってしまいました」
入場の為の順番待ちをしている。
入るために審査が必要で、申請書かパスポートなど証明書が有れば早く入れるんだけど。スムーズに進んでいくな。
そして、今外壁の門にて受付をしている。
やっと通れた。まぁ不審者じゃないので通れるのは当たり前か。
特にジョブを授かる人がいれば通れやすいと行者は言ってた。
そんなもんなんだな。日も落ちてきて、辺りは街灯が点き始めてきてる。
馬車は停留所で停まり父親が、荷物を降ろして
「ゼフィこれもって」
おいおいただジョブシステムを授かるだけなのにこの荷物の量いる?
「よいしょっ!!直ぐに貰えるわけじゃないからな、すぐ貰えるんだったら荷物少ないのにな。」
「予約とかないの?」
「あるけどこれからだよ。現地で予約しかないんだと。とにかく先ずは宿に行くか。」
荷物をもって宿に向かう。 聖都について直ぐにとれるわけじゃないのか。 もどかしいかな。
宿につき店主が登場。
「いらっしゃい。アルフヴィダント様ですか?」
父親が挨拶を店主にしてその後店主が続けて話してきた。
「こちらがお部屋の鍵です。荷物は小間使いに持っていかせます」
「それじゃぁお願いします。」
部屋に入り一息、ベッドに飛び込み
「あぁー」
疲れたよ。ゴロゴロしたかったんだよな。
「ふわふわぁー布団は、至福の時だよー」
「何を言ってるんだ。リリィが干してくれた方が最高だぞ」
うちの布団がふわふわだけどここの布団も捨てがたいぞ。
「明日、神殿に行くから準備をしとけよ。」
「お父様、了解です。」
明日の着ていく服を出しておく。でも直ぐに授かるかはわからないのでメインは着ていかない。
「ゼフィ、ご飯でも食べにいくか?」
「ええ、私腹減ったわー」
「女の子なんだからもっと上品に……」
「えへへ、お父様行きましょ。 美味しい所お願いね」
前世は、男なのでたまに男口調が出てしまう。
「確か、目の前の店が美味しかったんだよな」
兄さんの時に知ったらしい。楽しみにしているけどワシ、ボク舌肥えとるよ。
厚焼きの肉が美味しい!!ソースと肉の旨味がベスト。野菜も新鮮でシャキシャキ。スープも美味しい。
「ゼフィ、美味しいか?」
うんうん、頷く。美味しくて声を出せない。
明日早く神殿に行くからお腹いっぱいは食べられないんだけど、普通同じ年頃の子供が沢山いるかなーと思ったらこのお店には、私しかいない。
もしかしたら明日で貰えちゃうかも。
だから、食べる。美味しすぎて沢山食べちゃうよ。
部屋について体を洗い、明日の身支度してぐっすり睡眠。
夢でもさっきのご飯たべたいなと。そんな事思いつつ熟睡ですな。
コツコツ……
やはりと察知!!上半身をゆっくりと起こして扉に忍び足で向かう父親に言う。
「おとうさま、どちらに?」
ゆっくり言ったら気づいてなかったのか父親が、ビックリしたよ。
「ゼフィ起こしちゃったかい? トイレだよトイレ」
うんなわけあるかい!!
男だったら一緒に行きたいよ
「花街ですか?もしかして、もしかしてですけど?」
花街とは、遊女屋が集まっている所なんだが
「いや違うよ。本当にトイレだよ。ゼフィも寝ないと」
「私、お父様が戻ってくるまで起きてますよ」
父親が、残念そうな顔をしたのは言うまでもない。
「でも、私を連れていってくれると、お母様には黙っておきますよ」
女であろうと花街の女の人は、情報通なのだ。お父様みたいな人から偉い人まで相手をするんだから色んな話をもっている。
女じゃなかったら……。今はこう思う。
『くやしい。うらましい』
朝になり気持ちよく起きる私。
「ふっ はぁー よく寝た」
「ゼフィ、仕度しろよ」
「はい!!」
神殿でジョブシステムを授かるぞ。
結局お父様は諦めました。私は行きたかったのに!!
更新が遅れてしまいました。
すみません。
読んでいただいてありがとうございます。
次こそジョブシステム授かる所にいきます。