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西の村、集落へ行く

 みんな集まって朝ごはんを食べるのが我が家の決まり。

起きてダイニングにきたら美味しい匂いがしているのだから直ぐに席に着く。勿論みんなが集まるまで手をつけないでおくんだけど弟ライクが、つまみ食いをして母親リリィに怒られていたのを見てフィルメイアさんは、失笑している。

妹のルルが、スープを運んできて配り終えたら席に座り全員がテーブルに揃う。

今日の朝食は、少し硬いパンと昨日の鶏肉というかガルーダの肉でできた蒸し焼きと唐揚げがあるし沢山の野菜そして、具だくさんのコンソメスープも非常に美味しい。


食事も終わりフィルメイアさんは自分の武具を装備している。

私も弟も簡単な武具だけど装備して町の警備室に向かわなくては

「ライク 早く仕度しないと遅れるよ」

もたもたしている弟に声をかけると返答が返ってくる。

「お姉様、待ってください」

「フィルメイアさんは、1度騎士団の所に行くんですか?」

「ええ、今日の行動予定を確認しなくては行けないからね」

「騎士団の人達はどこにいるんですか?」

「宿から出たら近くの……」

フィルメイアさんは外に出て町の中心にある高台を指差す。

「あの高台の所ですか? なら自警団の警備室もあそこですよ」

「それなら、一緒にいけるね」

とフィルメイアさんが笑顔で言うもんだから私も爽やかな笑顔で答える。意味深な事は流す方が良いもんね。

「ですね。でもライクが来ない」

フィルメイアさんが、クスクスと笑っていた時に弟はやってきて

「フィルメイアさん、お待たせしました。さぁ行きましょう」

「私も待ってたんだけど!」

「お姉様も、お待たせしました」

ついで感が凄いんだけど遅刻しそうなので

「お母様、ルル行ってきます」

弟も挨拶をして家をでる。

フィルメイアさんもお邪魔しましたと言ってたよ。


 高台の下にある警備室に着くと外には、5人ほどのフルプレートを着たいかにも【騎士】がいる。

「おはようございます」

とお互いに挨拶をしたら警備室に入った。

警備室は、すし詰め状態にならないくらい今は、騎士5人にフィルメイアさん、私と弟に既にいたライアンさんと自警団の大人2人の合計12人がいる。

長机を中心にみんなが囲んでいてこの町周辺の詳細が、載っている地図を見ている。

ちなみに、私と弟は部屋の隅にいる。

団長のライアンさんが、話し出して大人2人とフィルメイアさんを始めとする騎士団が頷く。

「フィルメイアさん ここで、間違いないんですね?」

「ええ、ここで間違いないわ」

「おい、ここに村や集落なんてあったか?」

「俺は、聞いたことねぇぞ」

「俺もねぇな」

ライアンさんの問い掛けに町の警備する大人2人がそう答える。

私も聞いたことないし母親も言ってたよね。


 少しの間全員黙っていたら騎士の1人が

「ライアン殿、我々だと土地勘が無いため出来たらこの町の方を同行して貰えないだろうか?」

他の騎士達も頷いている。あれフィルメイアさんも頷いていると思ったらライアンさんに言ってきたのは隊長らしく、ちょっと30歳越えてそうな位の老け顔した人だった。

「隊長殿、この町は少し大きくて守備は今いる【戦士】で手一杯なんです」

ライアンさんが、そう言っているが何故か私をじぃっと見ている。目をそらそうと下を向くんだけどこういう時絶対私の名前が、話にあがる。まだカワイイ8歳なのにカワイイんだよ。

も思ったら案の定言ってくるかなぁと思ってたら思いがけない人から声が出た。

「隊長、出来たらそこにいるゼフィをお願いします」

フィルメイアさんが、私を名指しにしていた。

おぃー、私は穏やかに過ごしたいんですよと心の中で呟きながら現状に引いている。

聞いたことが無いって言っている村に行くなんて完全にトラブル起きるって言っているような物でしょ。

少し見られないように動こうとすると弟が、私の服の袖を引っ張って戻されたので弟を睨み付けると笑顔で返される。しかもライアンさんも私をみてる。

「ライアン殿、どなたか是非お願いする。危険な目に合わぬようにするが、危険になったらいち速く逃げて貰うが」

他の騎士も頷いている。

「やはり、こういう時は素早いゼフィか……」

私は結構足に自信があるのは当たり前なんだけど少し前に調子づいて町の戦士全員に駆け足で勝っちゃったんだよね。それが今になって後悔する時がくるとは……

断ろうかと思って少し前のめりになったとたん

「ゼフィ、よろしく頼むぞ。危険だったら一目散に逃げろよ」

ライアンさんの言葉で行くことが決まってしまった。マジかぁーってこの場に倒れたいぐらいショックだよ。


 この町から西の方にある村か集落に向かう為に町の門に集まってたら弟が私に声かけてくる。

「お姉様、フィルメイアさんと騎士団の邪魔しちゃダメですよ」

「しないわよ。静かにいるから大丈夫」

「ゼフィなら大丈夫。ライクくん頑張ってね」

「はい、頑張ります」

フィルメイアさんの声掛けられて裏声になる弟。姉への敬意が最近というかモンスター倒してから薄れてきたような気がする。

「よし、出発するぞ。ゼフィ殿緊張なさらずにな」

隊長さんの心掛けでひと安心。

草原を越えて西の山間に向かう。

どこまで続いているか解らないけど街道があるから何かあるのだろう。

1台の幌馬車に私とフィルメイアさんが乗り行者が手綱を握る。

隊長さんを含めた騎士達は、それぞれの馬に騎乗して町を出て街道沿いに進んで行く。




―――――――――――――――――――




 太陽が、真上にあるかのように上り気温が1番高い状況だけどこの地域の気候は何故か暑くもなく寒くもなくちょうど良いんだけどね。

時々現れるワイルドボア等の猪や牛のモンスターを倒してはお肉を拝借して母親から借りたアイテムバッグに入れていく。

帰ったらお肉パーティーしてくれたりして、なんて考えちゃうとヨダレが……

「ゼフィは、西の村どう思う?」

「どう思うと言われてもあるのかどうかだよ」

「ゼフィの町の人は知らないって言ってるけどね。税金が徴収されて無かったり書簡送っても返信ないしと解らない事だらけで」

フィルメイアさんも困りぎみで話してくれてるが私は、ぽかんとしている。そりゃ着かないと解らないからね。


少し日が傾いて着たけど良く良く考えてたら今日中に着くわけが無いって、隊長さんが後3日ぐらい掛かると言ってた。

今日は、夜営をするためここに停まって準備に取り掛かるが、慣れているみたいで直ぐにテントが、出来上がっていた。

騎士の1人と私が、モンスターを解体する。解体した新鮮なお肉は直ぐにアイテムバッグへ入れて保存する。

料理は、勿論私の担当になったよ。

「フィルメイアさん、手伝ってほし―――」

「ちょっと、ゼフィ殿。フィルメイアは、忙しそうだから遅くても良いから1人でお願いしたい」

フィルメイアさんに協力求めようとしたら隊長さんが、血相かえて作業を放り投げて私の所にきたんだよね。

「隊長。私空いてますよ」

「フィルメイア、武器の手入れや馬の世話とかしたか?」

「はい。終わって――――」

「まだまだ。これは?」

隊長さんが、必死こいてやる必要が無いけど作業を探して仕事を与えている。もしかしてフィルメイアさん……

ここから先は、言っちゃぁダメだよね。

多分出来ないタイプなのかな。

見張りは騎士さん交代でやるため私は、テントの中で熟睡。

子供だもんね、時々髪を撫でられたりしてたのは誰が、してたのかは薄々判っているので気にしないでおく。




 そんな事が、3日続いたけど私、必要だったのかな?

だって……ね。街道をひたすら普通に、本当に普通に進んだだけだよ。

山間に入るけど盗賊や危険な者は、現れず例の村なのか集落なのか不明の場所が見えてくるはず。

「そろそろ、見えてくるぞ」

隊長さんが、声をだしてみんなに知らせる。

馬車の荷台から建物が見えて幌から外に顔を出して眺めてみる。

「人気が無いね」

「そうですね。」

フィルメイアさんも外が気になってたのか外を見ているけど、私に乗り掛かるように後ろから肩に手を乗せ言ってきた。

「フィルメイアさん、重たいよ」

「えっ! そんなに最近まともな食事頂いたから……」

「鎧ですよ、鎧 しかも硬くて痛い」

「あっそうだよね」

フィルメイアさんは、何か勘違いしたのか笑顔で照れてるけど鎧が、邪魔で柔らかみも感じ無いから。

あっ、そうじゃなくてそっちじゃないよ私はと私自身に訴えかける。


 山間に入っていて見えてきた村より集落と言った方が、良く家も数えられる程しか建ってない。

その家も殆ど朽ち果てていて空き家になってそう。

集落全体に生活感が、感じられないのは雰囲気から掴めるのだけれど。

「ここに誰か、おらぬか?」

隊長さんが大きい声で集落に、問いかけるように言ってる。

私達は馬車や馬を停めて落ち着かせている。

「人が居ないですね。しかも地面が乾燥しているし」

騎士の1人が、みんなに聴こえるように言ったら

壊れたバケツや農具等が所々転がっているんだよね。

「各手分けして家の中を確認してこい」

隊長さんが、騎士達に指示をしてみんな動く。

私は、フィルメイアさんと行動して1軒目の扉をノックする。

トントン

「どなたか、居ますか?王都から来ました騎士団ですけど」

『…………』

返事がない……ただの……

フィルメイアさんが扉を開いて中を覗くけど誰も居なかった。

ただの……空き家だった。


 騎士達は、集落の入り口馬車が有るところに集まって。

「どうだったか?」

隊長の確認に騎士達みんな一致で空き家状態だったと答えていた。

「どうなっているんだ?救援を求めて来てたのではないか」

救援?何かあったのかな。

「この感じ救援の書簡が、届く前よりももっと前に朽ち果てているようにしか見えないぞ」

隊長さんが、そう言うと騎士達は頷いていた。

日が落ちてきたので集落の端で夜営の準備に取り掛かる騎士達。

フィルメイアさんが、そっと私に近寄ってきて

「ゼフィ、何か感じないの?」

「何にも感じないよ。誰も生き物もいないね」

そぅ策敵スキル等で確認しているけど本当に何も居ない。

「そぅなのね。なんだか不気味で……」

「どうして?」

「書簡が届いて20日しか経ってないのしかも正体不明のモンスターが時々現れて家畜を荒らすと」

「正体不明のモンスターね」

20日で、こんな状態にはならないな。

これは、イヤな予感しかしないしトラブルに巻き込まれるのは嫌なんだよね。


 日が落ちて焚き火を囲い食事を取っている私達。

今日のご飯も母親や妹のようには美味しく出来ないけど【料理人】のジョブでご飯を作ったら騎士達に絶賛された。

隊長さんも喜んでたけど家庭の味は、ジョブとかではどうやっても出せないんだよね。

美味しく食事をしていると完全に空は暗くなり星や月の輝きが見えてくる。正に夜と言ってもいいかな。夜だね。


ガヤガヤ!!


「おい?」

隊長さんが、集落に指を指してみんな同じ方向を見る。


いままで朽ち果てていた建物がキレイな家へと変わりひび割れて乾燥していた地面が緑色の芝生と潤った地面へと変わる。

「人の気配がする」

騎士の1人がそう言うと建物の窓から灯りがこぼれている。


 だから来たくなかったんだよね。

代々、わかると思うけど……うん、まぁ、そう言うことだよね。

と騎士達をキョロキョロみるけど

「なんだ、隠れてたのか?」

「どういうことだ?」

あれ?騎士達はわかってないの?

「ゼフィ、魔法とかで見せてた幻術なのかな?」

フィルメイアさんまで何を言っているの?

「そうか、正体不明のモンスターから守る為に日中は、魔法で守っているのか!!」

おーーい隊長さんも。

これ、私が説明しても戦いとかは【騎士】の方が上だから【戦士】の私は何言っても聞き入れてくれないよね。


この集落全体が、正体不明のモンスターで正にアンデットの集落。

アンデットの宝箱やーーーなんて、正気に戻しておかないと……。


策敵スキルで人の居る位置は、全部敵を指しているからね。

読んでいただきありがとうございます。

昨日投稿出来ずすみません。


沢山のブックマークと評価を頂いて励みにこれからも頑張っていきますので何卒応援よろしくお願いします。


評価は最新話の下にあります。

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