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鶏の唐揚げ

「おかあさま すごい です。」

「ええ、こんな大きな鳥久しぶりだわ。教えがいもあるわね。」

妹ルルが、ガルーダを解体し母親リリィがやり方を教えている。

「ゼフィちゃん良く捕れたわね。フィルメイアさんが捕ってくれたのかしら?」

「これはっ―――」

母親の問いかけにフィルメイアさんは本当の事を話そうとしたら

「フィルメイアさんスゴいんですよ。ガルーダなんてあっさり倒しちゃって」

私はフィルメイアさんの声を欠き消すかの様に可愛い声で言う。

「そうよね。さすが【聖騎士】だわねぇ。」

「ちがぃ――――」

「そうですよ。私【戦士】だから猪とかしか捕れなかった。」

またまたフィルメイアさんの声を欠き消して今度は残念そうな声で話す。

絶対に私がやったと主張したそうなフィルメイアさんだが、私は断固拒否をするぞ。

そぉーっとフィルメイアさんを見ると苦笑いしているような顔をしているけど、多分私は、してやったりみたいな顔をしているだろう。


ガルーダの解体が終わり、私と妹は捕ってきたモンスターの素材は倉庫にしまい、母親は肉をマジックバッグに保管している。

「さぁ、ご飯を作りましょう。ルル、手伝って。」

「はい おかあさま」

「ゼフィちゃんの目が今日は鶏の唐揚げと言っているから」

「お母様、流石です。」

当たってた事にも感動で喜んで倉庫から出てきたんだけど中庭には誰も居なかった。

さみしい……


私とフィルメイアさんは、ご飯が出来るまで武器と防具の手入れをする。そうしたら、弟ライクが私たちの後ろでチョロチョロ見ている。

「ライク、どうしたの?」

「いや、お姉様 何でもないんです。」

「だったら……そうだライク」

「なんですか?」

「武具の手入れしたの?してないなら一緒にやる?」

「してないですけど、今日は何もしてないし」

「ライクくん、刃こぼれとか確認するだけでもした方がいいよ」

フィルメイアさんの助言に弟は、元気よく頷く。

おいおい、姉の誘いには載らずにフィルメイアさんには載るのかい。美人お姉さんには弱いよな。


私は皮の胸当ての汚れた部分を拭きとり皮に油を塗り状態を良くしておく。

私の隣には弟が割り込んできてフィルメイアさんと話をしながらものすごい笑顔で武器の手入れをしている。

一切私の方を見ない弟。決して拗ねてないもーん。拗ねてない。


良い薫りが、台所から流れてくる。

ギュッゥゥゥゥ

私のお腹がないちゃったよ。そりゃ美味しい薫りなんだもんね。

そうしたら弟が

「お姉様……」

なに?その残念そうな目をしてくれてる。

「あーっ、明日はビシバシやろっかなぁー、ねぇライク?」

「お姉様、お腹すきますよねぇー。ぼくもお腹の虫なりそうだなぁ」

私は頷くき、フィルメイアさんが

「この薫りは、今の状態だとキツいわね。」

確かに、帰ってきてから何も食べてない。狩の途中でも何も食べてないような気がする。

そんな事思っていると、


「出来たわよー」

「できました」

私たちはすぐに立ち上がりダイニングに向かおうとしたら弟は、いち速く私の肩に手を掛けて立ち上がり向かった。

「ラーイークー!」

「お姉様なんですか?」

「私の肩をつかって立ち上がりやがったなぁ」

「えっ?そんな事してないですよ。」

「ゼフィ、まぁまぁ」

「ゼフィちゃん 怒らずに食事が美味しくなくなるよ。ライクちゃん見てたよ あれはいけないわ。謝りなさい。」

「お母様、わかりました。お姉様ごめんなさい。」

「うんうん。よろしい」

「ゼフィちゃん よろしいって!」

フィルメイアさんは私をなだめてくれたが、姉弟喧嘩の仲裁はやはり親が入った方が早いね。


「うん、まぁーい。お母様美味しいです。」

「唐揚げ美味しいです。」

私の後に弟が感想を食べながら述べるが、先に言ったもん勝ちだよね。

「そうそうフィルメイアさん」

「なんですか?」

「ゼフィちゃんね。ずっと前に私の作った料理食べて泣いたのよ。思い出しちゃうわ。」

「お母様!!」

「そんな事があったんですか?どんな料理だったんですか?」

「これよ、これ」


恥ずかしい話が始まっちゃったよ。母親が指した料理は、まさに今食卓に出ている唐揚げだ。

「ゼフィちゃん、これ食べながらボロボロ泣いちゃったのよ。あのときは本当に困ったわ。」

「ゼフィなんで泣いたの?」

私はスルーさせて頂く。口に唐揚げを含み噛んでいるアピールして言わないようにする。

「ゼフィちゃん、私の作った料理が美味しすぎて感動しちゃったんだって」

母親が笑いながらフィルメイアさんに喋っているよ。

実は私もわからないが多分前世の時食べた味に似ていると思ったよ。あのときは本当に懐かしく忘れたくない味を思い出した感じがしたんだよね。


そんな楽しい食事の団らんの中、急に


ドンッ


フィルメイアさんがテーブルに手をついて席から立ち上がる。

トイレかな?と私は思ってたら違ったみたいだよ。


「お母様!!」

「あっ、はい」

母親が、突然フィルメイアさんの言葉にビックリして掬ってたスープがテーブルに(こぼ)れてる。

「ごめんなさい。今拭くから……」

「いえ、突然すみません。」


思いが積もって突然立ち上がってしまったと、その思ってた事を話す。


「お母様、ゼフィを私にください。」

ブッフォ!! ガッシャーーン! ガタッ!!


テーブルの各方面から衝撃を受けた音が沢山聴こえ見てみると、弟は吹き出し、母親は持っていたスープを落として 妹は、妹は、何にも起きてない。音がしたんだけどなぁ?と妹を見ると凄い険しい顔してる。何で?


「フィルメイアさん……それは……出来ないで……」

「いえ、私にくだ――――」

うろたえてる母親にフィルメイアさんはもう一度言おうとしたら気付いて顔が赤くなる。

「あーっ、すみません。違います。くださいと言うのは騎士団にくださいと言う意味でして……」

「そっ、そうですよねぇ。あははは。」

「ゼフィを私にください!!」


「……」

「…………」

「………………」


あら、母親も弟も妹も今度は固まったよ。

この手の免疫が、全く無いんだろう。母親にとって娘を嫁に的な言葉を女性から言われるとはね。


「ち、違います。違わないんですが、ゼフィを私の騎士団の団員として……」

みんな、膠着(こうちゃく)状態から脱して母親が改めて

「ですよねぇ。フィルメイアさん、ごめんなさいね。」

「いいえ、あっダメですか?何故です?」

断られたことに疑問を持ちフィルメイアさんが母親に少し近づくがその理由を告げる。

「ゼフィちゃんは、まだ8歳です。しかもフィルメイアさんがいるとはいえ1人で王都に行かせるにはあまりにも危険です。それに私自身で勝手に決めることは出来ないわ。父親であるアルガに相談し決めて無くては。」


「ゼフィを危険な目にはさせません」

「フィルメイアさん、騎士団に入ると言うことは戦うって事で既に危険なの。しかもまだゼフィは【騎士】にも成っていないのに【戦士】1人が騎士団に入るって成れば周りがどんな目をしてくるか、貴女も【聖騎士】という仕事上ゼフィちゃんを1人にさせてしまう時が必ずあるわ。その時誰が守ってくれますか?独りぼっちになって寂しさに耐えれなかったらと思うと……」

母親の話に鎮まり返っている。


「そうですね。私がいつも起きてから寝るまで一緒にいれば」

あっこの人、話を聞かない人?と思ってたら ガタッ

妹が睨み付けるかのような険しい顔してる。

「フィルメイアさん?あのぉー。聞いてました?」

「お母様の言っていた事はしっかり聞いてます。」

「改めてですけど、フィルメイアさん。お断りします。」

「安心してください。ゼフィを1人にしてさみしい思いをさせません。私が守ります。」

「父親が居ないので勝手に決められないので今日の所はお断りさせて頂いて」

「そうでした。そうですよね。わかりました。」

納得したみたいでフィルメイアさんは席に座る。


妹も見てみると険しい顔が、いつもの顔に戻り黙々とご飯を食べているのを見てたら

ドッン!

また?と思ってたけどフィルメイアさんは立ってない。みんな弟の方を見ているよ。

「お母様、自分が行きます。」

弟が言ってきたけど母親がすぐさま諭す。

「ライクちゃん、貴方は昨日モンスターを倒したのが初めてでしょ。まだ【戦士】として……父親に聴かなくてもこれは答えれます。ライクちゃん、今はダメです。もっと力を付けて」

弟はその言葉を聞いてすんなりと席に座る。

妹は、黙々と食べている。弟の時は険しい顔しなかったな。何でだい?いつもマイウェイなんだけどな。


私は、この静かな空気の中質問をする。

「フィルメイアさんは明日予定は?」

「明日は騎士団全員でここより西にある村に行く予定です。」

「西に村なんてある?」

母親も弟も首を傾げるかのような顔をしているけど

「任務にもらった地図によると村か集落があるんだけどね。」

「んー、交流か交易がないのかもね。全く聴かないわ。」

母親もそう言っている。

ちょっと気持ち悪いような不気味な事を感じ取ってしまい。

「早く食事終わらせましょう。」

母親のその一言で空気が変わり美味しく食事を済ませ楽しく過ごした。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ご飯を食べたら歯を磨くのは当たり前。

私とフィルメイアさんは洗面所にて、ハブラシという木の枝を細工した歯ブラシで歯を磨く。このハブラシの枝を適当な長さに切って皮を剥くと中から洗浄成文が出てきて歯の汚れが取れるという優れもの。

王都や都会に行けばもっと良いのが有るらしいけどこれで充分だ。

「体洗うにはお風呂とかあるの?」

「お風呂は無いけど、あそこにある浴室で洗うよ。」

一般的な浴室では、お湯がはってある樽に桶で掬って体を流して布で体を洗うんだよね。高貴な家になるとお風呂があるんだけど。


「狭いから1人1人になるけど、フィルメイアさん先にどうぞ。終わったら教えて。」

と私は笑顔満載で案内しつつお願いする。


もぅ既に母親と妹、弟は寝ている。私たちは武具の手入れをしていて遅い時間になってしまった。

体も洗い汗を流してキレイさっぱりに寝室に行く。

そんなに部屋数は少ないので弟と妹は母親の寝室で寝ている。私は、王都に行ってる兄の部屋を使ってフィルメイアさんと一緒に寝るんだよね。


そぉーっと別の所で寝ようしたら

「ゼフィ、一緒に寝よ。約束だからね。」

「ええ、」

手を繋がれて一緒にベッドに入るけど、フィルメイアさん忘れて無かったんだ。

今朝みたいな事は起きませんようにと願いつつ布団の中は、ぬくぬくで今日天気よかったから干したのかと思うぐらい温かい。


もぅ既にフィルメイアさんはスー スー と息しながら寝てる。

私もだんだん睡魔に襲われ瞼が重たくなり目の前が真っ暗になっていった。





おっ 重いぃ……

うっ うーん、

私の上に何かいる。

こいつ キマイラ?と思ってたら オルトロス?

モンスターが廻る廻る変わる。何とか逃げようともがくが逃げれない。

うぎゃぁぁ!!潰される!!


私は目を開ける。

「はぁ はぁ ヤバい。」

ハッと起きて覚えてたのがフィルメイアさん100人に乗っかられてた事。

そりゃ重いわ。と思いつつも目が覚めて今の状況を確認中。


窓にはカーテンが閉めてあるけど隙間から光が射し込んでいて太陽が登って朝を迎えている。


フィルメイアさん、絶対に私を抱き枕代わりにしてるような気がしてならない。

何故なら、私の背中に腕を回し片方の腕は、私の首の下を通って背中に回ってる。

フィルメイアさんの片足は私の太ももの辺りに乗っけて挟んでいる。

身動きとれないかと思ってたらフィルメイアさんの腕を動かせたのでゆっくり動かす。


そぉーっと動かして抜け出そうとしたら

ザッて音がしてまた背中に腕が回る。


フィルメイアさんはスースー寝てるから起こさずに再び腕を動かそうとしたら

「ヒィッ」

変な声出ちゃったよ。

フィルメイアさんの、腕を持ち上げた時に指先が私の背中をなぞる。

ゾッゾッゾッてくすぐったいけど我慢して腕を動かしフィルメイアさんの挟さんできている足からも脱出。


ドダッ!


出来たと思ったらベッドから転げ落ちる。

ギリギリだったのかな。

立ち上がろうとして上を見上げたら……


般若がいる!!

ものすごく眉間にしわ寄せて睨みつけてくるが良く見ると

「おねえさま ふしだら です。」

妹のルルが、ドーンと立って私を見下げ睨んでた。


「おねえさま せいざ」

咄嗟に言われて何故か正座をしてしまうと妹が私の耳に顔を近づけて


「こんど まさぐって あげる フゥッ」

ゾクッとする。

まさぐって私何されるの?

と言うか最後に耳に息を吹き掛けてきたよ。


考えるだけでゾクッとする。


「フィルメイアさん あさです おきてください」

起こしに来てたのか

「うーん、ルルちゃん。おはようございます。」

「おはよう ございます ちょうしょく できてますので」

妹は無表情で部屋を出ていく所を見てたら部屋を出るとき一瞬だけど目が光ったかのように睨んでたよ。


「ゼフィ、おはよう。何で正座しているの?」

「あははは」


笑って誤魔化すしか無いのかな。


読んでいただきありがとうございます。


沢山のブックマークと評価にありがとうございます。沢山の感謝を励みにこれからも頑張っていきます。


よろしくお願いします。

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