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神様お願い。

 ワシの目の前に小さいテーブルがあり、その上には湯飲みと茶色器に入った茶菓子がある。

 周辺は、空のような景色が広がり雲が静かに流れている。


 私【ゼフ=イルフィルザス】は、寿命を全うし永眠したはずだが……。

 なんというか、悔いはあるがそれよりも幸せだった。

 死んだら死んだでまぁ善きかな善きかな。



『ゼフよ』


 白い髭を腰の辺りまで伸ばした私と同じ年齢の老人が目の前にいる。

 死後の世界なのだもしかしたら、もしかしたら神かそれに近い者なのか聞いてみようと声を掛ける。


「もしかすると神様ですか?」


『そうじゃ。 お主が、いた世界をみている神じゃ』


 口は動いて喋っているように見えるが、音声は発せられてなく念みたいな物で耳を通して語りかけてくる。


「なんと、有難く幸せなのじゃ。こうして神様に会えるとは」

『そなたの、経歴を見てれば、ワシとて会おうとするぞ』

「死んだ者は皆、神様にお会いするのですか?」

『いや、ほとんどは皆あの輪廻の輪に戻り、魂を新しく転生するために浄化されるのじゃ』


 神様が、上の方を指をさす。

 その方向に光輝く大きな湯船輪がある。


「そうなのですね。それじゃぁ、私もじきにあの輪に行くのですね」

『まぁ、そうなのじゃが……』

「本当なら先に旅立った。 私の妻エミリアに会って、話でもしたかったのですが……」

『そなたの願い聞いてやらんでもないが』

「本当ですか? それなら嬉しいのです」

『じゃが、タダとは言えなくての。 ワシの頼みも聞いてくれるかの?』

「できるの事ならですが、死んでいるので出来ない事の方が多いかもしれませんけど」


 普通、死んでいるのだから、話し相手とかと思ってたんだよ。

 この時は勝手な思い込みをしておったが。

 誰でも普通そうじゃて。


『本当に良いのかの?』

「良いですよ」


 しばらくは、お茶飲みながら話し相手とかだろう。

 うん、うん、そうと納得する自分だが。


『悪いのぉー。 それじゃぁお願いするかの』

 座り直す神様につられ自分も座り直した。

 なんだか言いにくそうなのだけど。

 神様が、指を輪廻の輪の方をさしてそのまま下ろしそのまま話しかけてくる。


『お主の妻に会わせるのだ。 会った後準備が、出来たらワシの願いを聞いてくれるかの』


 輪廻の輪より1つ光の玉が、こちらにゆらっとやってきた。

 光の玉が、人の姿に形どられる。 そして!忘れもしない私の愛した妻のエミリアになった。


「あなた……」

「エミリア……」


 エミリアが逝ってから、子供達の事やご近所さんの事など話して近況報告を話した。

 話しても話しても話題が尽きないぐらい。


『すまんな。 魂を輪廻の輪へ戻す時間になってしもうた。』

「エミリア……私は、そなたを愛しているぞ。これからもずっとな……」

「聞けて嬉しいですわ。私もあなたを、愛していますわ」


 エミリアの魂が光の玉になり、輪廻の輪へ戻る。



「神様、ありがとうございます。 最期の最期まで感謝しきれません」


 私は、席を立ち上空にある輪廻の輪を見上げてる。


「私も輪廻の輪にむかうのですね」

『ちゃっ ちゃうでぇぇっ!!』


 変なツッコミがはいりましたぞ。


『お主、お主。 私の頼みを聞いてくれるはずじゃが』

「おお、そうでした。そうでした。ではさっそくどんなことですか?」

『お主には悪いのだかさっそく転生をしてもらいたい』

「はい?」

『輪廻の輪は、通らずお主の記憶と能力をそのままにして転生するのじゃ』

「何か理由でもあるのですか?」

『後、数年後に強大な存在が生まれるのじゃ』


 今までいた世界でも魔王とか現れたし、もしかしたら?


「強大な存在とは、魔王とかですかな?」

『魔王なんて赤子のようなものじゃよ。 それよりも凶悪じゃ』


 確かに私の全盛期で魔王がいたが余裕で倒したから。


『そいつは、()()()()()と呼ばれる存在じゃ。 ヤツは、何もかも破壊をし【生】という概念を無くす存在なのじゃ。 あれは本当に問題なのじゃよ。』

「神様が、焦るぐらいだから相当なものだろうな」

『この世界のジョブを総てマスターしたのはお主しかおらんのでな。 その能力で破壊の帝王を倒してくれると助かるのじゃよ』

「神様は、何も出来ないのですか?」

『すまんの。 もし私の力を使えば破壊の帝王と同じ事になってしまうのじゃ。全ての存在を消してしまうのじゃよ』


 何故生まれるんだろう?


『次元の歪みが、発生すると魔王など邪悪な存在が生まれるのだよ。』

「ええ、過去に歪みを消したり、魔王を倒したりしましたぞ」

『世界樹の近くに物凄く小さな歪みを最近発見したのじゃ。 60年も前に発見したんじゃ』


 60年も前ですよねー。

 最近ですねー。

 私25歳、現役バリバリです。


「って!! 最近じゃないでしょ」

『うぉっ 急に大きい声出さないでくれ。 ビックリするぞよ』

「いやいや、それを教えてくだされば、私現役バリバリなので歪みを無くしましたぞ」


 と言ったら神様、目を丸くして


『あっ!!あら、ワシ、やってしまいましたな。』


 やってしまいましたなって。過ぎてしまった事ですけど。


『わるいのぉー。悪いけど、ゼフ=イルフィルザスよ新しい生命として転生しておくれ。 忘れるなかれ破壊の帝王を倒す事を。 そしてヤツは世界樹より移動しておる。 今はどこで復活するか検討もつかんでな』


「どこに復活するかもわからないのは、困るわ」







 気が付いたらどこか見知らぬ天井……

 手は小さい

 声は出ないと言っても「あーっ」「うー」は出る。

 体が動かないな。

 どこか知らぬ赤ん坊としてゼフ=イルフィルザスは転生したみたいだ。



はじめまして。

よろしくお願いいたします。

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