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「僕」は愛される資格がない  作者: 大島千春
3/10

プロローグ「『僕』は、『私』は?」①

前のプロローグとは別の人物のプロローグ。

2/12透の一人称、盛大にミスってました、直しました。

自殺していった兄。


私が見た最後の姿はある日の朝、兄がいつものように靴を履き、高校指定のブレザーを着て、出かけて行く姿だ。


「兄ちゃん」

寝ぼけ眼で見つめる私。


兄がドアを開け、

「じゃあ、母さん」


差し込む光に溶け込むようにして、兄の姿は見えなくなり、


「行ってきます」


ガチャリとドアが閉まる音とともに、私の視界から見えなくなる。




ー私が見た最後の兄は、笑っていた。



******


終業の時間を告げるチャイムの音が、教室中に響き渡る。


その日の授業が終わり、私が帰り支度をしていると、後ろから「明里ー」と声がした。


「はーい、ちょっと待ってー」


声の主は私の小学校からの親友である京ちゃんこと、泊京子なので、私はせっせと手を動かしながら何気無い風に応えた。


帰り支度を整え、京ちゃんと帰路につく。

今日の授業がどうだったとか、先生の課題の愚痴やら、何気無い会話をしている中、京ちゃんが「そういえば」と、私に質問を投げた。


「明里、好きな人いるんだって?」


思わず吹き出してしまう。

これじゃあ、言わなくても正解だと言っているようなものだ。


「いやいや!いないから!」


慌てて手を横にブンブン振って、違うことをアピールしたかったが、京ちゃんはニヤリと笑いながら、「もしかしてー、」と言葉を続け、


「三田透くん?」


と言った。


ずっこける私。

これも正解。


「当たり?」

「うぅうう〜っ」

もう嘘はつけないと、否定するのは諦めて顔を赤らめる私。


そう、私には好きな人がいる。


******


三田透くん。隣の席の男の子。

メガネで黒髪、髪が長すぎることはなく、清潔に感じられるくらいの短髪の男子。

女子にきゃあきゃあ言われるわけではないけれど、よく見たらかっこいいのにもったいないなって感じの容姿。


惚れたきっかけは単純。

一目惚れ。


彼は本が好きで、いつも図書室で本を読んでいる。

毎週水曜日は私の予定もなく、彼も用事がないため、放課後は一緒に本を読んで過ごす。

図書室ということもあり、一緒にいるからといっておしゃべりをたくさんできるというわけではないが、私は彼と一緒に本を読むこの時間がとても好きだった。


その週の水曜日の放課後、「今日は何を読もう」と本棚とにらめっこしていると、うしろからコツン、と硬いものが触れた。


振り返ると透くんが立っている。

「よっ北山」

「透くん…!」

彼の顔を見ただけで高まる鼓動。


顔もみるみるうちに赤くなっていき、顔を手で隠しながら透くんから顔を背ける。


「ごめんっ!」

「えっなんで!?僕が悪いのに!」


謝る私、戸惑う透くん。

ごめんなさい、かっこよすぎて直視できません。

マジかっこいい。


あー、振り向いてくれないかなー。


顔の火照りも高まっていた鼓動もようやく落ち着き、2人で本を読み始める。


無言だけど、暖かい雰囲気が2人の間に流れ始める。


「ねえ、何読んでるの」

「夕暮れの街の恋人」

私の問いかけに透くんが答える。


『夕暮れの街の恋人』は後で調べたけど、外国の作家さんが書いたSFものの恋愛小説で、緻密な伏線と情景豊かな文章表現で一部の小説好きの間で話題になっていた小説だ。


あくまで透くんにつられて本を読んでいるだけの私は、そんなことを知るわけもなく、「へぇ、それ、面白い?」と聞いた。


「うん。最初に主人公の恋人がいなくなっちゃって主人公が恋人を探しに宇宙へ旅立つんだ。結局、恋人は亡くなっちゃうんだけど、その悲劇を乗り越えたときの主人公の心情は熱くなるものがあるよ。」

「恋人亡くなるのに面白い?…よくわかんないや。」


ハッピーエンド至上主義のお子ちゃまだった中学生の私は、透くんの言葉にうなづけない。

その反応を見て透くんは苦笑する。


「人の好みはそれぞれだから。

…でも、僕はそれでも一緒に本を読んでくれる北山が好きだよ。」


…これは期待していいの!?

えっ、でも違かったら嫌だな。


聞いてみたい、でも怖い。


やっぱり、聞かないでおこう。


顔を赤らめる私。見られるのが恥ずかしいから、本で顔を隠す。

それを見て微笑む透くん。

2人の間に、ちょっといい雰囲気が流れてた。


******


続きます、疲れたのでまた次回!

まだプロローグなのにサンブンノイチもいってない!

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