2 大問題
ここまで書けたので投稿します。
翌朝、昨日牢屋に入れておいたあの不埒者から情報を得るために、私の執務室に来させた。
妙な動きをされても面倒なので椅子に座らせて縄で縛ってある。
「それで? 貴様はどこの国の者だ? 私の部屋にどうやって侵入した?正直に答えれば命だけは助けてやろう」
とりあえずそう言っておけば何かしら喋るだろうと思っていたが、私の予想は大きく外れた。
「どこの国かって言われたら日本ですけど・・・気付いたらあの場所にいたのでどうやって来たのか全くわからないです。 というかここどこなんですか?」
「ニホン? そんな地名は存在しない。 適当なことを言って騙そうとしても無駄だぞ。 まさかこの私が誰かわからない訳ではあるまいな」
「いやどなたですか? というか僕、仕事あるんでもう帰りたいんですけど?」
意味がわからなかった。
私はウソや誤魔化し程度なら長年の経験から見破ることができるが、この男がウソをついているようには見えない。
「・・・本当に知らないのか? 最近の若い人族は誰が世界を管理しているのかも知らないのか」
「え? 世界を管理する? どういうことですか?」
「とりあえず今は時間がない、私は忙しいんだ。 お前の持っている情報を勝手に見させてもらう。情報次第では生かしておいてやろう」
そう言って私はこの男の頭を掴み、相手の記憶を盗み見る魔術を発動した。
この男が私の寝室に来る前のあたりから参照してみることにした。
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僕の名前は織谷 秀太。24歳のどこにでもいるオタクの会社員だ。
今日は日曜日なので部屋の掃除と片付け、洗濯物を干して残りの時間は漫画やゲームという実にインドアなことをして過ごした。
だって次の日が仕事なのに外に出てあれやこれやすると疲れるじゃん。
読んでいる漫画からふと顔を上げて時計を見ると23時を回っていた。
「そろそろ寝るか」
僕は続きが気になる気持ちを抑えてベットに入って眠りについた。
深夜3時、寝ていた僕は尿意を感じ、半分寝ながらフラフラとトイレに向かった。5年間住んでいるアパートの間取りは体が覚えており、目を開けてなくても難なくトイレに到達することができた。
「ふあぁぁ~、、、まだ3時じゃん」
用をたし、ベットに戻るためにトイレの扉を開いた瞬間、ブルッと身震いがした。
「ううぅなんかゾクゾクするな・・・早く寝よぅ」
月曜日はなぜくるんだろう、出勤するの面倒くさい、なぜ働かないと行けないのか、いっそ風邪引かないかな?そんなことを考えながらベットに戻った。
むにゅっ
ん?なんだこの柔らかくてむにゅむにゅしてスベスベの・・・抱き枕?
「ひゃぁぁぁ!?なっなんだ貴様は!どうやってここに入った!?」
「は? 入るもなにも・・・ここは自分の部屋なんだからここにいて当然じゃない?・・・明日も早いんだからもう寝るよ」
「貴様の部屋な訳あるか!!ここは私の寝室だ!!この魔王ルフィナに夜這いを仕掛けるとは見上げた度胸だな。 お望み通りに寝かせてやる!」
ゴォォン!!
僕はその音を聞いて眠りについた。
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「・・・は? 今のは一体どこだ? この世界にこんなところはないはずだ。」
「どうでもいいから頭掴むのやめてください! なんか体中にイモムシが這ってるような感じがしてすごい気持ち悪い!!」
私はとりあえずこの男、オリヤ シュウタの頭から手を放し、今見たことについて考えていた。
私の知らない世界が存在すること、この男がその世界からやってきたこと、そしてなにより一瞬でも世界同士が繋がったこと。
これは大問題だ。
「シュウタ、君の事情は概ね把握した。 私の名前はルフィナ=ローレイン=アストレア。 300年ほどこの世界を管理している。 今から君は私が保護しよう。」
「いきなり対応が変わると超怖いんですけど。 まあ拒否権なんてものはないんだろうから従うしかないんですけどね」
「わかってるじゃないか」
そう言って私はシュウタの縄を解き、ひとまず私についてくるように言った。
ただでさえ忙しいのに、更に大変なことになりそうだと心の中でそう思ったのであった。
次話の更新は不定期ですので気長にお待ちください。




