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クリスマス? こたつに入って執筆しておりますがなにか?

「なんで素振り?」


 私は思わずツッコミを入れてしまった。

 いくら人並みの知能をつけたからといって魔物であることに変わりはなく、人族等を如何(いか)にして襲撃するか考える程度なはずである。

 が、目の前のオークロードは自身の身体を鍛えているかの如く、黙々と素振りをしている。

 これほど特異な行動をするロード種は恐らく知能がかなり高いと推測できる。

 私はオークロードとの対話が可能か、試してみることにした。


「あー、そこのオークロードさん? なぜ素振りをしているんだ?」

「むっ、この私に気付かれずに近づくとは・・・ふむ、ワインレッドの髪に真紅の瞳、未熟な体型、残念な胸にアホ毛、聞いていた通りだな。 貴様がこの世界の支配者、魔王ルフィナか」

「ちょっと待てやこら後半おかしいぞ」


 誰が残念な胸だ!!

 確かに今はこんな体型だが昔はもっとバインでキュッとしてキラキラしてたんだからな!!!!

 対話は可能だったが交渉の余地はない、滅ぼそう。

 決して見た目をバカにされてムカついたからではない。


 違うからなっ!!


「なぜ素振りを、だと? 決まっておろう。 貴様を倒すためだ! 貴様の支配する世界はもう終わりだ。 これからはこの私、オークロード『メルヴィル』が世界を治めるのだ!!!」

「それはそれは。 代わってくれるなんて願ってもないことだよ。 ただしお前のような者にこの世界が管理できるとは思えないがな」

「ふんっ。 貴様にできて私にできないはずがない! それに、私には『あのお方』がいる。 万が一だが私に勝てたとしても『あのお方』には勝てまい」


 どうもバックに誰かがいるらしい。

 さっき「聞いた通り」とか言っていたから多分そいつが残念とかなんとか吹き込んだんだな。

 よしそいつも消すか。

 もちろん黒幕を倒して事件の解決をしたいだけで決して胸のことを気にしている訳ではない。


「なるほど、私のことをコケにしたヤツがまだいるのか。 そいつが誰か教えろ。 そうしたら地獄を味わわせるだけで勘弁してやろう」


 嘘です。

 地獄を味わわせた後に消します。

 

「私に勝てたなら教えてやってもいいだろう。 まあ無理だどは思うがな!」

「その自信は一体どこからくるんだ・・・」


 私は呆れつつもリンクレットで私専用倉庫に繋げ、バスターソードを取り出した。

 オークロードがバスターソードを持っていたので私も同じ種類の剣で対抗し、相手の心を折ってから地獄ツアーをしようと思いついたのだ。


「ほう、貴様もバスターソードか。 私に合わせなくともいいのだぞ? 負けた時に言い訳にされても見苦しいくなるだけだ」

「お前程度になら余裕で勝てるからハンデさ。 逆にお前はバスターソードでいいのか?」

「・・・よかろう、雑談は終わりだ。 斬り刻んでやる」


 ふん、少し(あお)っただけでキレるとは。

 こいつちょろそうだな。


「貧乳なんぞ慰みものにする価値もない!! 殺してやる」

「オッケー戦争の時間だ」


 言ったな。

 言ってはならないことを言ったな。

 私は大地を蹴り、一瞬でメルヴィルとの距離を詰めた。

 そしてまずは小手調べとばかりに上段からバスターソードを振り下ろした。


「!?!? くっ!!」


 メルヴィルは自分の認知できるスピード以上で距離を詰められ、うろたえる。

 しかしギリギリで持っていたバスターソードを振り上げ、私の攻撃を受け止めることが出来た。

 お互いのバスターソードがぶつかり合い、盛大に火花を散らす。

 僅かな拮抗を見せたが、メルヴィルが力任せにバスターソードを振り抜いたので、私は元いた場所まで飛ばされる。

 空中で一回転して着地したのでダメージはない。


「大口を叩いた割にこの程度のスピードでギリギリの対応しかできないとは、やはり大したことはなさそうだな」

「ハァッハァ、 だが私のほうが力では勝っている!! 一撃さえ当てれば貴様など粉々にしてくれるわ!!」

「試してみるか? 今のでお前の力量は大体把握した。 お前の攻撃が当たっても私には効かない」

「ふん! 戯言(ざれごと)だ!! 爆散するがいい!!!」


 メルヴィルは私に突進し、怒りに任せてバスターソードを横薙ぎに振るった。

 私は片手を出し、刃を素手で受け止めるが重みのあるバスターソードを完全には止めきれず、吹き飛ぶように横方向へ持っていかれる。

 メルヴィルはバスターソードを振り抜いた姿勢で高らかに笑う。


「ハッハッハ!! ざまあみろ!! 魔王など私のパワーの前ではn」

「おいおい、なに勝ち誇ってんだ?」

「ッッッ!?!?!」


 メルヴィルは驚きで目を見開く。

 声のした方向、バスターソードの剣先を見ると片手で刃を掴み、傷一つ付いてない魔王の姿がそこにはあったのだから。


「そんなバカなッ! 威力に耐え切れずに吹き飛んだはずだ!!」

「別にわざわざその場で踏ん張る必要なんてないからな。 疲れるだけだし。 慣性に従ったまでさ。 それで、次は私の番でいいんだよな?」


 私はお返しとばかりにバスターソードを横薙ぎに振るった。

 直撃を受けたメルヴィルは脇腹から背骨まで刃を食い込ませ、吹き飛ぶ。


「ギャアアアアアア!!!」

「うるさい」


 地面に転がり、激痛に耐えられず叫ぶメルヴィルを私はゴミを見るような目で見下し、追い打ちとばかりに手のひらを串刺しにした。


「痛いっ!! イダイィィッ!!」

「それだけ騒げるならまだ死なないな。 それで『あの方』って誰なんだ? 吐け」

「ダレがっ!! ギザ、マ、などニ!」

「おお、意外と根性あるな」


 私はリンクレットで倉庫から鉄針を数十本取り出し、手足の先から10cm間隔で突き刺していく。


「ギャアアア!! わかった!! い”うがら!! もうやめでぐれ!!」

「よし、ならさっさと吐け」


 私は突き刺すのを止め、超回復魔術(ハイヒール)をかけてやる。

 だって聞き取りにくいじゃん?


「悪魔族のグラッツェン=ベラミー伯爵だ! 私はただ指示に従っただけなんだ!!」

「ああ、ベラミーんとこの現当主か、どんな指示を受けた?」

「私と手を組んで魔王ルフィナを倒そう。 そうしたら世界の半分をくれてやる。 手始めに人族を虐殺しろ、と言われた」


 なるほどな、悪魔族が黒幕ならオークどもの魔力が少なかったのも納得できる。

 『悪魔族』とは魔族の中でも高位の種族で、総じてプライドがとても高い。

 そして他の種族にはない特殊能力、『魂の契約』を扱う。

 相手との契約を魂に刻むことにより、その者が死ぬか、契約を果たさないと永遠に行使し続けられるという能力である。

 この能力、恐ろしいことに契約内容にほとんど制限がない。

 一生隷属させることもできるし、今すぐ死ねと言えば死ぬ。

 大方、グラッツェン伯爵はオーク種から一定量の魔力を自分に譲渡するような契約をしたんだろう。

 そして集めた膨大な魔力で私を倒そうとかそんなしょうもない計画を立てたっぽい。


「お前、完全に利用されただけの捨て駒だな。 仮に私をグラッツェンと共に倒したとしてもその後に始末されるに決まっているだろう」

「そっそんな・・・」


 メルヴィルはその場に崩れ落ちる。

 まあ私にはどうでもいいことだが。


『ルー! そっちはどうなった!? オークどもが一斉に都市に進行を開始した!!』


 唐突にシュウタから念話が届いた。


「そういえば完全に忘れてた。 オークロードの戦意喪失でオークが勝手な行動をしているんだろう」

『悠長に考察してないでなんとかして!!!』

「はいはい、 それじゃあ一発かましますか」


 私はおもむろに手のひらを上に突き出し直径1m程の魔力弾を作った。


「ふぁいや~」


 勢いよく放たれ、上空で爆発、生きているオークに正確に魔力弾が降り注いだ。

 魔力弾にオークを認識させ、追尾する効果を付与して放ったのだ。

 一瞬でオークが全滅する。


「すごい・・・ なんで最初からそれ使わなかったの?」

「剣の練習にちょうどいいかと思って」

「おい」


 横でメルヴィルが「こんな・・・デタラメだ・・・」などと呟いているが知ったこっちゃない。

 さてこれであとはグラッツェン伯爵を処刑すればやっと終わる。

 探すのめんどくさいな~と思っていたら空間に異変を感じた。

 これは・・・転移魔術!!!

 空間に亀裂が生じ、そこから悪魔族の証、黒いコウモリのような翼と、トゲのある尻尾を生やした男が出てきた。


「おいメルヴィル!! どういうことだ!! オークからの魔力供給が途切れたぞ!」


 今回の黒幕、グラッツェン=ベラミー伯爵がそう告げたのだった。



ルーはなにげに胸のサイズを気にしていました。

皆さんも女性に胸のサイズの話題は十分気をつけてくださいね!


ここまでご覧いただきありがとうございます!!

誤字、脱字、感想、ご意見等ありましたら気軽にご連絡ください!


更新は不定期です。 気長にお待ちください。

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