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夫婦とつがい

 それから家具を買いに行き、そこでまた生暖かい目で見られながらも、ティアーナが早く帰りたがったのでさっさと適当に、ろくな装飾もされていない簡素な家具を見繕って帰路に付いた。


「性別は女性なのだから、もう少しお洒落なものでもよかったんじゃないかい?」


 家具屋の店主の好意で借りた荷車を引きながら、帰り道の途中でそんなことを尋ねた。

 ちなみに荷車には小さな洋服棚にベッドと寝具が乗っているため非常に重い。スヴェンは前に立って引いている振りをしているだけで、主にティアーナの力によって進んでいた。


「どんなものであろうと気にはしないわ。それに綺麗なものは高いでしょう?」

「……僕の懐の心配までしてくれるとは、なかなかできた家族だね」

「家族……。そう言えば、どうして街を人達はわたしが貴方の家族だと言うと、変な顔をしたのかしら? 正直あまり愉快な気持ではなかったわ」

「――ああ、それは――」


 さて、なんと説明したものだろうか。

 昨晩も同じようなことを口にしようとして躊躇ったがこうして直接尋ねられたのをはぐらかすのは、どうにも意識しているようで情けない。


「僕と君が夫婦なんだって、そう誤解されているんだよ。彼等の表情は一応、祝福してくれているみたいだけどね。半分は面白がっているのかな」

「……夫婦? つがいということよね?」

「そう言うことになるね」


 説明しながらも顔が熱くなるのは抑えられなかった。明らかに自意識過剰なのだが、ティアーナはなかなかに見た目麗しいのだから仕方がない。


「……人間は確か、男女一組が中心となって家族を作るのよね?」

「……そうだね」

「成程ね」


 視線の意味は合点が行ったようだが、素っ気なく彼女は頷くだけだった。

 不安になりちらりと一瞬横を覗き見ると、ティアーナは悪戯っぽい笑顔でこちらを見ていた。

 その表情からは彼女がこの一連の流れに付いてどう思っているのかは全く読み取れなかったが、少なくとも不愉快なわけではないだろうと、スヴェンは一人胸を撫で下ろした。


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