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最終話

ロミオ君は考えました。

頼れる人がいない

頼れるのはたった一人


ローレンス


ロミオ君はローレンスの所に行くことにしました。


「あら、いらっしゃい」


ローレンスはハーブティーを飲んでいました。

ロミオ君にもハーブティを勧めました。

しかしながら

ロミオ君にはそんな余裕はなく

一部始終をローレンスに話し始めました。


「ロミオ君、わかったわ。でも・・・」

「やっぱりもう諦めるべきですか?」

「違うわ。お茶が冷めちゃってるわよ!」

「そんなことどーでもいいし」

「もぅ、冷めたら美味しくないのよ!」

「すみません・・・」

「いいのよ!いい男が謝っちゃダメ!」

「はぁ・・・」

「ジュリちゃんのことはワタシに任せて!」

「いいんですか?」

「ワタシが彼女を連れてきてあげる。だけど・・・」

「だけど?」

「一歩もウチから出たらダメよ!」

「わかりました」



そうしてローレンスはジュリエットの家に向かいました。


ピンポーン

「どなた?」

「あ、ワタシ、ジュリちゃんのお友達ですの。」

「ジュリエットの?あ、上がってください」

ローレンスは明らかはげた男だったにも関わらず

家に入れてもらうことができました。


ジュリエットの部屋につきました。

「まぁ可愛い部屋ね。お邪魔するわね。」

「邪魔するなら帰って」

ジュリエットは泣いていました。

「もぅジュリちゃん冗談キツイわよ!」

「ローレンスさん・・・私・・・」

「可愛い子が泣いてたら台無しよ!涙を拭きなさい」

「でも・・・ロミオ君が・・・」

「そう、ワタシはそれで来たの」

「え・・・?」

「あなた、死んだフリしなさい!」

「そんなん無理です」

「じゃあこの薬をあげるわ。」

「何ですか・・・?」

「一時的に仮死状態になる薬よ」

「これ飲んでどうするんですか?」

「あなたは遺書を書いて薬を飲むの」

「はい」

「遺書にはウチの教会で葬式するように書くのよ!」

「はい」

「そしたらウチにロミオがいるわ」

「教会でロミオと会えばいいんですね!」

「ええ。そして2人で海外に逃げなさい!」

「明日の朝飲むのよ。効果は12時間だから」

「わかりました。ありがとうございます!」

「ちゃんとやるのよ!」

「はい」


そうしてローレンスは帰っていきました。


ジュリエットは言われたとおり遺書を書きました


『愛するパパとママ

ロミオ君と会えない日々を送ることは

私には無理です

ごめんなさい

お葬式は

お世話になったローレンスさんの教会で

執り行ってください

ジュリエット』


そしてジュリエットは薬を飲みました



次の日の朝

ジュリエットの家の執事さん(めぇ!)が

冷たくなって動かないジュリエットを見つけました

「お嬢様!大丈夫ですかめぇ!」

「・・・・」

「し・・・死んでるめぇ!」



ジュリエットの両親は

ジュリエットの望みどおり

ローレンス教会で葬儀を行うことにしました。


「はぃ、お葬式、ジュリエットさんですね。」

「はい・・・お願いします」

「いいですのよ。」

「すみません、娘のわがままを・・・」

「気になさらないで。では前金50万円お願いします」

「え・・・?」

「あ、ウチは前金いただくシステムとなってますので」

「お宅教会ですよね・・・?」

「すみませーん、葬式業務は別ですので」

「(きたねーな・・・)わかりました」

「ともあれ、お召し物も変えられた方がいいわ」

「じゃあ私たちは家で着替えてきます」

「ええ、ごゆっくり・・・」


そうしてローレンスは

冷たいジュリエットと50万円を受け取りました。

「作戦成功ね!」

「何が成功だよ」

後ろにロミオ君が立っていました

「あ、ロミオ君出てきちゃダメじゃない!」

「出てくるもなんも・・・ジュリエット死んでもたやんけ!」

「死んでないわよ・・・あ・・・言ってなかったっけ?」

ローレンスは気がつきました


ロミオ君にこの作戦を伝えることを

すっかり忘れていたのです!!!


しかし気付いたときは遅すぎました。

ロミオ君は持っていたカッターナイフを握り締めていました

「ローレンス・・・貴様・・・」

「違うの・・・だから・・・ジュリちゃんは・・・」

グザッ

ロミオ君はローレンスの頚動脈を切りつけました。

血が噴水のように飛び散ります。

ローレンスをたおした


「ジュリエット・・・すまん・・・」

ジュリエットはうごかない

ただのしかばねのようだ

「今からお前んとこ逝くよ・・・」

そしてロミオ君は自分の左手首を切りつけました

血が川のように流れていきます


この騒ぎでジュリエットは目を覚ましてしまいました

「もぉ・・・うるさいなぁ・・・」

「・・・・」

「なんか臭いし・・・って・・・」

ジュリエットは目の前が血の海で

ローレンスとロミオ君が倒れていました

「え・・・どーゆーことよ!?」

ジュリエットは気が動転してしまったので

落ちていたカッターナイフで

自分のいたる所を切りつけてしまいました。

気付いたときには自分は真っ赤になっていき

目の前が真っ白くなっていったようなきがしました。


ジュリエットはたおれた

パーティはぜんめつした




1時間後

ジュリエットの両親は教会で

動かない三人を目の当たりにし

全てのからくりを知ってしまったのです。


この事件から1ヵ月後

敵対していたジュリエットとロミオ君の父親は

和解することになりました

ジュリエットとロミオ君は

2人は同じ墓で眠ることができました


しかし


2人はもう、いません


一緒に笑うことも泣くことも

そんなすがたを見ることもできないのです


若すぎる2人の死

誰もが悲しみを忘れることができないでしょう。

海の見える大きな前方後円墳で

よく人身事故を起こす電車と田舎の電車を見ながら

今日も2人は

安らかに眠っています


そしてその隣の

小さな円墳で

ローレンスが眠っていることでしょう


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