母の死
母が死んだ。
母の車と飲酒運転をしていた人物の車が激突したらしい。
相手の方は意識不明の重傷。
生きている。
私の母を殺しておきながら、生きている。
でもきっと、生きている方が辛いのだろう。
命をいつ奪うかわからない大きな傷に、
今もその人は苦しんでいる。
いっそ死んだほうが楽と、思うのだろう。
あの事故のせいで、母の人生は終わってしまったがそれはあちらも同じだ。
飲酒運転という違法にふれたのだ。
ただではすまない。
……あぁ、相変わらず可愛いげのないむすめだなぁ。私は
母さんが死んだというのに、涙一つも流さない。
あんなに私を愛してくれた母の死なのに。
涙の一粒も出てこない。
私はこんな自分が、
大嫌いだ。
母さんの葬儀は淡々と行われた。
火葬して母さんは骨だけになった。
家に帰る。
母さんはいない。
今まで母さんのために頑張ってきた。
今まで、ずっと
……空っぽな心
私は死んでいるのではないのだろうか。
死んでしまえば、母さんに、会えるのかな?
ピンポーン
ふいに家のチャイムがなった。
宅配物でもあるのかなと思いながら、ゆっくり玄関に向かう。
「……はーい」
扉をあけてみると、そこにいたのは以前あったことがある人たちがそこにいた。
確か、この人たちは母の葬儀を手伝ってくれた……
「室井さん、と関口さん……あと、相馬さん」
「入って……いいかな?」
「…………どうぞ、何もありませんが、」
趣味のいいスーツをかっちりと着た室井さんを先頭に、二人も家に入っていく。
「少し……痩せた?あと寝てないでしょ?」
「あっ……睡眠は少しとりました。ご飯は……食欲が、なくて。それと……
すいませんでした。母の葬儀、三人に全て任せてしまって」
「礼はいい。