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パッチ小説たち

パッチフリー作品その2

http://ncode.syosetu.com/s0565c/

元の作品様です。

キミを守るタメに(解決編)


「どうして来たの……シルヴァーナ」


今にも泣き出しそうな曇り空の下 僕は彼女に向き合う


青髪で蒼色の瞳をした彼女を見つめた


「キミを守るために」


「私を止められるものは誰もいないの」


そう言って笑う彼女 眼下には切り立った崖がある


彼女が何をする気なのかは、探偵ではないボクにでも分かる


ボクは言った。


「そんなことはしらないよ」


「嘘つき」


ただ否定されただけだった


「ボクはただ」


「……」


「キミを守るために来た」


それでももう一度伝えた


リーインは強かった


世界を守るために戦った仲間


そのために全てをなげうってそして


世界を救った後 最後の脅威はリーインだけだった


「どうして……」


「リーインさん、待つんだ。まだ全てを諦めるには早い……そんなものは、私の推理を聞いてからでも十分に間に合うはずですよ」


雨がぽたりと降ってきて、頬を濡らす


それはまるで 涙のように見えて


でもその水滴が突然凍った


リーインの身体はもうその魔力を抑えきれない


賢者が言っていた


リーインを殺せ


あれは世界をまるごと凍りつかせてしまう


「だからこそ、あなたには都合が良かったのではないですか? 真犯人の……シルヴァーナさん」


「できないよ……」


「リーインさんを犯人に仕立て上げ、あろうことか賢者の目まで眩ませるとは。よくもまあ考えたものですなぁ。あなたがシルヴァーナとして生きてきた16年もの間、全くの別人を演じていたわけですから」


生まれて生きて16年


いつも一緒にいたリーインを殺すなんて


「第一の犯行、現場を凍りつかせることで死亡推定時刻をずらし、氷の使い手であるリーインさんに疑いの目を向ける。あなたの目論みは成功した。警察は真っ先にリーインさんを逮捕しました」


「シルヴァーナ」


「どうした……?」


「リーインさんがアリバイの無い瞬間を狙い、あなたは犯行に及んだ……自分のアリバイと引き換えに、犯行現場にリーインという存在そのものをでっち上げてね。私も驚きました。こんな手があるなんて、とね」


「私しあわせだったよ」


「ボクもだよ」


「騙されてはいけない! その男はあなたに罪を被せようとしたんです。あなたがそこから身を投げようとしているのも、全て彼の仕向けたことなんですよ!」


しあわせの形はきっと


誰のものともおなじじゃない


ボクはそう思いたいと思った


「リーイン」


「どうした……? この期に及んで言い逃れか?」


「共に生きていこう」


なんとなく 大丈夫だとおもった


ボクたちなら乗り越えられる


そう信じる心が ある限りは


「うん……」


そこでリーインははじめて泣いた


「リーインさん……あなたは、そこまで彼のことを……」


ボクはリーインの頭をなでた


リーインの頭は冷えていて気持ちがいい


しあわせの冷たさだった


「あなたは最初から知っていたんですね。シルヴァーナさんが犯人であり、自分に罪を着せようとしていることも。それを知ってなお、あなたは犯人として命を絶とうとしていた……」


「シルヴァーナ ありがとう」


「リーイン ありがとう」


「でも、それは間違いです。あなたは犯人を装い、捜査を撹乱した……。犯人蔵匿及び証拠隠滅の現行犯、そして公務執行妨害。リーインさん、あなたも……警察へ連れて行かなければなりません」


雨はもう止んでいた


ぼくらはそして歩き出す


虹のたもとを目指して―――

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