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学園戦隊! 風林火山  作者: 貴様 二太郎
番外編 追放された聖女さまは食べ歩きついでに世界を救う(’-’*)♪
23/32

2(’-’*)♪

 

 国の庇護を失い、持ち金もなく、着の身着のまま異国の地へと放り出されてしまった天音。並の神経の人間ならば、この先への不安に怯え嘆くところだが……


「お城の中は食べつくしちゃったしぃ、新しい狩り場へれっつごー!」


 新しい出会いに、豊かな胸を躍らせていた。

 なぜここまで危機意識がないのかというと、それにはこの変態のスキルが関係していた。


 界楽(かいらく) 天音(あまね) 16歳

 私立武田学園普通科1年

 スキル:媚薬・触手・※※※・※※※


 スキル「触手」。

 これはいわゆる、あは~んでうふ~んな感じな、あの触手である。拘束はもちろん、あらゆるシチュエーションに対応すべく形状変化も可能。そしてお約束のスキル「媚薬」とのセットという、どこからどうみてもエロ特化のスキルである。

 天音はこのエロ触手をスカートの中――下半身――から出して、自由自在に操ることができた。で、これが天音の危機意識とどう関係しているかというと……


「今日のお食事は、どんな子にしようかなぁ」


 そう、彼女は生きるためのエネルギーを触手からも摂取することができたのだ。生き物の体液……みなまでは言えないが、とにかく彼女はソレを糧に生きていくことが可能だった。まさに歩くエロ漫画。


 ――あのゴリラ神、見た目はともかく、いいスキルくれたわぁ。


 「たっべほうだい、たっべほうだい」などと不穏な鼻唄を撒き散らしながら、町のメインストリートをスキップで進んでいく不審人物。

 そして3日。わずか3日で、町は完全に堕とされてしまった。あの送還事故で王子たちはこの有害指定卑猥性女を元の世界へと送り返したつもりだったので、それで対処が遅れてしまったことは否めない。が、それにしてもこの変態の侵略の速度は早すぎた。


 もはや邪神。王子は自分たちが呼び出してしまった有害指定卑猥性女がこれ以上被害を広げないように、せめて自国内で被害をおさえられるようにと国境に結界を張り、出国を厳しく制限した。


 ☆ ★ ☆ ★


「ちょっとぉ! なんにもないとこに見えない壁があって進めないし、しかもなんで私が指名手配されてるワケぇ!?」


 あちこちの村や町の女を食らい尽くしてきた天音は、もう何度目になるかわからない国外脱出を阻まれて苛ついていた。もはや主人公というより完全に悪役である。

 

「うえ~ん、せっかくの異世界なのにぃ! 獣人の女の子とか妖精さんとか、もっと色んな子を味わいたいのに~」


 触手で村外れの大木のてっぺんに鎮座し、お天道様の下で不適切かつ身勝手な文句を積み上げる性女。そんな彼女の耳に、「タスケテー」という悲痛な声が飛び込んできた。


「おやぁ? これはもしや、恩着せチャンスなのでは」


 ニチャアと笑うと天音は声のした方、上へと視線を移動させた。そこにいたのは一羽の大きな鳥。鳥というか、もはや怪鳥というレベルの大きな鳥。声はそこから聞こえてきていた。


「天音、いっきまーす!」


 ウキウキな卑猥生物に何かを感じ取ったのか、ものすごい勢いで飛び去ろうとした怪鳥。だかしかし、時すでに遅し。天音から伸びた触手は難なく怪鳥を捕らえると、大木の枝葉の中へと引きずり込んだ。それはほんの一瞬の出来事であった。

 ちなみに怪鳥と謎の声の主のその後は、ここではお伝えすることはできない。とりあえず言えることは、この変態は穴があったら突っ込みます。


「うーん、どっちもオスだったかぁ……やっぱ食べるなら女の子だよね」


 散々やらかした後にこの発言。腹立つことこの上なし。


「ザッケンナコラー!!」


 昇天してしまった怪鳥の下から飛び出してきたのは、怒りに顔を真っ赤にした涙目の少年だった。背中にトンボのような翅が生えており、耳は長くとがっている。


「やっだぁ、なんでそんなに怒ってるのぉ? 天音、こわ~い」

「怖ぇのはオメーだよ! ナニしてくれてんだ、あぁ!?」

「ナニってそりゃあ……ねぇ?」

「ねぇ? じゃねーわ! この変態触手危険生物が!!」


 尻を両手で押さえながら怒り狂う少年がさらなる文句を連ねようとしたその時――ピコンと間抜けな音が響いた。天音のスカートのポケットから。


「なんだろ?」


 飛びかかろうとする少年を触手で拘束すると、天音はポケットから生徒手帳を取り出した。


「あ! 特技増えてる~」


 界楽(かいらく) 天音(あまね) 16歳

 私立武田学園普通科1年

 スキル:媚薬・触手・テイム・※※※


「テイム……ふむふむ、なるほど」


 テイムの文字をタップすると、スキルの詳細が出てきた。


 テイム:戦闘に勝利したあと、対象生物に名前をつければ完了。


 天音は拘束している少年を見ると、にんまりと笑った。


「お、おい……ちょっバカ、なんかわかんねぇけどとにかくヤメロ!」

「んふふ~。あなたはね~……ようせいさん!」


 再びピコンと間抜けな電子音がすると、生徒手帳がひとりでにぱらぱらとめくれ、白紙のページに文字が現れた。


 使い魔1 ようせいさん

 属性:特殊アイテム

 効果:封印


「アイテム? 封印? ねぇ、どう使えばいいの?」

「あちしに聞くんじゃねぇ!!」

「やーん。ようせいさんってば、おこりんぼさ~ん」

「もうやだ……」


 天音はアイテム「ようせいさん」を手にいれた!

 


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