片重い
ご高覧ありがとうございます。
初投稿です。超短編です。
大学時代に書いたものを少し手直ししました。
登場人物の性別は読み手のご想像にお任せして読んでもらいたいです。
◇◇◇
「死んでもいい人なんて、この世に一人もいないよ」
覚えてる?初めて会ったとき、君が僕にこう言ったんだ。
僕たちが出会ったのは、学校の屋上。その時学校イチの不良と言われている先輩に目を付けられイジメに遭い耐えられなくなって自殺しようとしてた僕のことを君が助けてくれたんだ。クラスが一緒ってだけで仲良くもなかった僕を。そしてさっきの言葉をかけてくれたんだ。何気ない言葉だけど、僕はその言葉で救われたんだ。君は覚えてるだろうか?
そこから僕たちは一緒に帰るようになって、共通の趣味や好きなアーティストの話で盛り上がったり、放課後にゲーセンで遊んだり、カラオケで流行りの曲を二人で歌ったり、訳もなく神社に行って他愛のない話をしたり…僕にとってかけがえのない思い出なんだ。
思い出だけじゃない。他にもある。太陽に透けると赤っぽく見える髪の毛、こっちを見て微笑んでくれる笑顔、真っ直ぐな眼差し、誰にでも分け隔てなく優しいところ、猫が好きなところ、スポーツ万能って言っといてサッカーが苦手なところ、意外と食べ物の好き嫌いが激しいところ、、、そんな欠点も含めて、僕は君のことが好きだ。大好きだ。そう、この気持ちは――。
◇◇◇
「…さん家のお子さん、自殺しちゃったんですってね」
「噂だけど、学校の怖い先輩に目つけられて、陰湿ないじめをうけてたらしいよ。以前は明るくていい子だったのにそれから笑顔が消えて…」
「確かに。久々に見たらすごく痩せてて、誰かと思ったわ……」
◇◇◇
「ありがとう、来てくれて…きっとうちの子も喜んでいるわ…」
「いえ、おばさん。こちらこそ…」
僕は、君のお母さんと少し話をして葬儀場をあとにした。
帰り道、歩いていると君との思い出がフラッシュバックしてきて、僕は涙が止まらなかった。
君は僕に言ったよね。「死んでもいい人なんてこの世に一人もいない」って。
確かにそうだと思う。でも、その言葉をかけてくれた君が死ぬなんて、あまりにも理不尽じゃないだろうか?
もしあの時、君の変化に疑問を感じていたら。
もしあの時、自殺しようと思ってた君を止めていたら。
もしあの時、、、君が先輩に目を付けられていたことに気が付いていたら。
「××、見ててね。あいつらを君と同じ…いやそれ以上にひどい目に遭わせてあげるから」
その頃には、すっかり涙も乾いていた。
END?




