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クラスメイトは異世界王女  作者: くまひこ
第1章 亜人解放戦争

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第6話 ドルマン解放作戦

 犬人族レジスタンスとの共闘関係を結んだ瑞貴は、藤間警部とヒッグスの到着を待ち今後の作戦について話し合った。


 アジトのテーブルを囲むレジスタンス幹部たちに対し、瑞貴から日本側の作戦概要を説明する。


「我々の主力である自衛隊がここドルマン周辺に展開できるのはちょうど一週間後。攻撃目標はグランディア帝国軍前線基地で、日没と同時に攻撃を開始する」


「あの異界門から、そんなに早く大部隊が到着するのか! ・・・だが分かった、我々はそれに合わせて市街地で一斉蜂起する。我々の攻撃目標は帝国総督府となるが、そこはかつて犬人族王家の居城だったところで、堅固な城壁と堀に囲まれた城塞だ」


「堅固な城塞・・・それをレジスタンスだけで攻め落とせるものなのか」


「もちろん正面からでは無理だが、帝国軍が知らない王家の隠し通路がいくつか残っており、そこを通れば城内への潜入は可能。しかし一度に通れる兵の数は少なく、一方城内の守備兵が多く守りが固かったため、今まで作戦を実行できずにいた」


「つまり自衛隊の攻撃に対処するため、城内の守備兵が出払ったタイミングで作戦を決行するということだな。では派手に攻撃するよう指揮官に伝えておくよ」


「そうしてもらえると助かる」


「残る問題は帝国軍に拉致された女性たちの奪還だ。1週間後で本当に間に合うのか」


「それは大丈夫だ。先ほど部下に確認させたところ、彼女たちはミズキ殿の言う通り大型船で鬼人族居留地に輸送されるようで、まだ追加の拉致女性を待っていたり、食料や物資の積み込みをしている」


「でもその間に、女性たちの身に何かあれば・・・」


「そこは心配だが、今下手に動くと帝国軍の警戒が強まり、総督府の奪還が不可能になってしまう。やるなら全て同時の奇襲作戦だ」


「わかった。犬人族がそれでいいなら俺たちに言うことは何もない。それでどうやって助ける?」


「港には我々のアジトがあり、そこから物資の搬入に見せかけて船に兵士を送り込むことはできる。ただし出港されると奪還が難しくなるので、速やかに操舵室の占拠もしくは破壊して航行不能にする必要がある」


「なるほど」


「問題は兵力だ。偽装して潜り込むため精々数十人程度しか送り込めず、一方帝国軍兵士は人数も多く武装もしているため、かなり危険な任務となるだろう」


 そう言ってハウルが難しい顔で幹部たちと相談を始めると、藤間警部がそれに割って入る。


「輸送船を護衛しているのは海軍なのか?」


「いや、ここは帝国軍の占領地なので制海権は確保されているし、輸送船の守備隊はこの街に駐留している帝国騎士とその雑兵たちが担っている」


「つまり街でたくさん見かける、槍や剣をもったヤツラしかいないということだな。ならその作戦は我々が適任だろう」


「君たちが?」


「そうだ。帝国騎士が相手なら我々の武器が有効だ」


 そう言うと懐から拳銃を取り出した。


「海賊相手に戦う海軍ならともかく、陸戦に特化した帝国騎士が狭い船内で剣や槍その他の魔法兵器を使用するには困難が伴う。その点この拳銃なら狭い船内でも取り扱いやすく、騎士の鎧程度なら弾丸が貫通し致命傷を与えることができる。そしてこの思念波補助デバイスがあれば、敵がバリアーを展開しても中和することが可能だ」


 それを聞いた敦史は、


「藤間警部が行くなら当然俺も船内突入組だな。腕が鳴るぜ!」


「そうだな敦史、お前の思念波弾は強力な武器になるし、他にも連れていきたい奴はいる。前園全権大使」


「なっ、何でしょうか」


「水島くんと芹沢、神無月くんを貸してもらいたい。この5名がいれば船の制圧は可能だ」


「そうですか。だったら俺も行きましょう!」


「いや、全権大使は我々UMA室戦闘員である前に、自衛隊の総司令官でもある。今回の作戦は自衛隊がメインなのだから、神宮路くんと共に全体指揮を頼む」


「そ、そうですね・・・わかりました」


 異世界に来てからというもの、公式の場ではみんなが俺のことを「全権大使」と呼ぶ。


 黒川総理から直接任命されたし、シビリアンコントロールの関係からそうせざるを得なかったのは理解できるが、立派な大人たちからそう呼ばれるたび、つい背筋を伸ばしてしまう。


 それに少し残念なのは、俺もみんなと一緒に帝国軍から女性たちを救出したかったのだが、どうやら今回はその機会に恵まれなさそうだ。


 その後、藤間警部の作戦を確認したハウルは、レジスタンス側の人員として精鋭30名をその作戦に加えることに決めた。


 そしてそのリーダーとして、ハウルの一人娘ポーチが抜擢された。


「ポーチ、これがお前の初陣となる。王族で唯一生き残った我ら親子、その覚悟を見せるんだ!」


「もちろんよお父さん! 見てなさい帝国め・・・私たちを奴隷扱いした怨みを倍にして返して上げるわ」


「我が犬人族同胞全員の怨み、そして無残に処刑された王族たちの無念をここで晴らす! 遠慮は要らん、ヤツラ全員を血祭りに上げてやれ!」





           ◇





 そして1月11日、作戦当日。


 レジスタンスの各部隊は港町ドルマンの主要拠点に分散して、その時が来るのをジッと待ち構えていた。


 敦史たち拉致女性奪還チームも港のアジトに待機して、輸送船への潜入の機会をうかがっている。


 そして俺はと言うと、ハウルさんのいるレジスタンス司令部に同行して全体の連絡調整を行うことになったのだが、その司令部こそまさに帝国総督府への突撃部隊の主力であり、俺は現在、城塞から少し離れた犬人族王家墓所の地下深く、王家の脱出通路にいた。


 この場所は城内への出入口であると同時に、王家が近衛兵を潜ませるために作った詰所にもなっている。そこにレジスタンスの突撃部隊が集結しているのだ。


 その勇猛な犬人族兵士たちがズラリと並ぶ前に立たされた俺とヒッグスの隣には、先ほど合流したばかりのアリスレーゼが立っている。


 これは愛梨の未来予知による指示で、理由は教えてくれなかったが、俺たち3人が揃ってこの場所にいることが将来の大きな布石となるらしい。


 そしてハウルさんが兵士たちを鼓舞した後、俺からは自衛隊側の作戦内容を簡単に伝達した。


 内容はさっき加藤陸将補から聞いた話を適当に省略して説明しただけなのだが、それを聞いた兵士たちは衝撃を受けたようで「さすが魔族、恐ろしすぎる」とか「魔族の王子の話はスケールが違う」など、見当違いの感想を口々に漏らしていた。


 帝国軍に洗脳されたのか、犬人族は俺たちのことを勘違いしているようだが、それを正している時間はなかったので、今は好きにさせておくことにした。


 次にヒッグスが「全ての亜人の共闘」を訴えた時は今日最高の盛り上りを見せたが、ハウルさんからの強い要望で、「簡単でいいので最後はアリスレーゼ王女殿下から挨拶がほしい」と言われ、急遽アリスレーゼの出番となった。


 そんな彼女は、いつもの女子高生風のかわいい戦闘服ではなく、日本に転移してきた時に来ていたティアローズ王国の正装をしており、純白のドレスに黄金のティアラを身に着けた王女殿下が、犬人族の兵士たちを前に強い口調で語り始めた。



「勇猛なる兵士諸君! 日没とともに我らは一斉に蜂起する。その目的はグランディア帝国軍前線基地の完全なる破壊と帝国騎士団の壊滅、港町ドルマン奪還、そして全ての犬人族の解放である。我々はこの戦いに必ず勝利し、グランディア帝国をこの大陸から一掃する第一歩を踏み出すのだ。そしてこの戦いこそが全亜人種族と人族の団結の象徴となり、人類の新たなる歴史の最初の1ページとして刻まれるだろう!」



 俺は「それのどこが簡単な挨拶なんだよ!」と心の中でツッコミを入れたが、アリスレーゼは王権の象徴であるレガリアを高々と掲げると、兵士たちに向けて祝福の魔法をかけた。


 すると部屋全体に聖なるオーラが満ち溢れ、兵士一人一人に不思議な魔力が付与されていく。それに感激した兵士たちは高々と叫んだ。


「ティアローズ王国万歳! ドルマン王国万歳! 我らが世界の主・アリスレーゼ女王陛下に栄光あれ!」


 兵士たちはいつまでも絶叫し、そして涙を流した。




「こんなアリスレーゼ、初めて見た」


 アリスレーゼと言えばプリンセススマイルを絶やさずいつもニコニコしているか、俺にだけは怒ったり泣いたり恥ずかしがったりする、感情豊かな17歳の女の子なのだが、ここにいる彼女はそのどれとも違う。


 アリスレーゼは紛れもなく世界の中心・ティアローズ王国の次期女王陛下だった。


 俺はアリスレーゼの前に跪いて我先にと忠誠を誓おうとする兵士たちの姿に戦慄を覚えつつも、アリスレーゼの持つカリスマ、いや、生まれながらの王者の資質を目の当たりにして少し複雑な思いがした。


 たが「挨拶」の効果がありすぎて、兵士たちが今にも総督府に向けて突撃しそうな勢いだったため、俺は通信機のスイッチを入れて、自衛隊幕僚本部にいるさやかと連絡を取った。


「さやか、こちらは準備OKだ。そちらの状況を教えてくれ」


『こちらも準備はできています。すでに日没時刻は過ぎていますが、今夜は新月で視界が暗くなるまで待機中。なお藤間警部たちは作戦を既に開始した模様』


「了解。こちらはアリスレーゼが兵士たちを鼓舞し過ぎて、今にも突撃を開始しそうな勢いだ。作戦決行の合図を速やかに出してくれ」


『承知しました。・・・瑞貴君、気を付けてね』


「ああ。さやかも、愛梨の傍から絶対に離れるなよ」

 次回「拉致女性救出作戦」。お楽しみに。


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