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クラスメイトは異世界王女  作者: くまひこ
最終章 侵略者グランディア帝国と日本防衛の最終決断

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第46話 新しい仲間

 しばらくしてすぐに学校が再開された。


 当局からは防疫上の問題もあり校庭への立入禁止措置が取られたものの、校舎と体育館の使用は認められたからだ。ウチは一応進学校で、最短での学校再開は保護者の望むところでもあったが、さらに彼らの不安を払拭するためリッター避難計画も正式策定された。


 この計画、生徒会長選挙の公約として俺たちが作成したものがそのまま学園に採用されたものだが実績は折り紙つきであり、その選挙自体も神宮路さんが圧倒的多数の票を得て新生徒会長に選出された。


 そして副会長には俺が、他のみんなもそれぞれの役職に就いたのだが、戦闘員と生徒会役員の兼任はさすがに無理があるという学校側の判断で、選挙に敗れた芹沢たちも生徒会メンバーに加えて俺たちが不在の間は彼らに代理をさせることが決定された。


 その生徒会長就任式の挨拶で、神宮路さんと二人並んで体育館の舞台に立った俺は、早速全校生徒からの洗礼を受けることとなる。


 口笛が鳴り響き、収拾がつかないほどの盛り上りを見せる体育館に、生徒からの冷やかしの声が止む気配が一向になかったからだ。


「きゃー、さやか様ーっ! 改めてご婚約おめでとうございますーっ!」


「前園、よくやったぞ! その生徒会長はもうお前のものだから、今後一切、他の女子には手を出すなよ」


 ある程度予想はついていたものの、何百人もの人から一斉に冷やかされる恥ずかしさは想像以上で、今すぐここから立ち去りたい気持ちで一杯だった。


「くっ・・・すまん神宮路さん。さすがのキミもこれは苦痛だろうし、やはり俺は副会長を辞退した方が」


 だが神宮路さんはニッコリと微笑むと俺の耳元で、


「いいえ全く。皆様からの祝福は嬉しい限りですし、瑞貴君争奪戦を戦い抜く勇気が貰えた気が致します。芹沢君のせいでアリスレーゼ様に一歩先を行かれてしまったようですが、わたくし絶対に負けませんから」


「お、おう・・・」


 彼女はそう言うと、新生徒会役員として舞台の袖に控える芹沢とアリスレーゼの二人をキッと睨んだ。


 こういう気の強いところが、葵さんから悪役令嬢っぽく言われる理由なのかも知れないが、愛梨や母さんの方がよほど気が強いし、その反動もあってか、この清楚なお嬢様はまさに俺の理想のタイプなんだよな。


 俺はふと思う。


 もしアリスレーゼと出会う前に彼女が俺の許嫁だと知らされていたら、たぶん俺は彼女との婚約を喜んで受け入れていただろう。


 だが現実は違う。


 俺はアリスレーゼを守り抜くと決意したし、絶対に手放すつもりはない。だがアリスレーゼを選ぶことは前園家と神宮路家はもとより父さんすら敵に回すことに等しい。


 母さんぐらいは味方になってくれると思うが、愛梨を始め周りのみんなは猛反発するだろうし、最悪は二人で駆け落ちということになりかねない。


 だからと言って神宮路家を頼って、アリスレーゼも一緒に受け入れてくれと頼むのは都合良すぎる話であり、敦史に言われるまでもなく確実に断られる。


 俺は一体どうすればいいんだろうか・・・。





 一方、戦闘員としての活動にも変化があった。


 あれから西日本へのリッターの襲撃がパッタリと止み、関東地方への襲撃が散発するようになった。異世界からの軍勢は若干小規模になったもののその頻度は少し増え、西日本に派遣されていた戦闘員たちは再びこちらに呼び戻されることになった。


 そして今日、俺たちは再び筑波の研究所に呼ばれ、雨宮主幹から新たなチームメンバーを紹介された。


「あなたたちには、この二人の紹介は不要よね。今日から仲良くやりなさい」


 そう言って有無を言わさず二人を押し付けられたが、当然俺は雨宮主幹に食い下がった。


「ふざけないで下さい雨宮主幹! それに藤間主任も俺たちの上官ならこんなバカな人事をする小野島室長に文句の一つでも言って下さい!」


 いきなり俺に文句を言われた藤間主任だったが、本当は今日一緒に来る予定だった小野島室長がまた議員レクに呼ばれたため、結局一人でやってきたのだ。


「確かに問題のある人事だとは思うが、君たちが持つ強力な思念波能力をサポートするのに彼ほどの適任者はいない。我慢して使ってやってくれ」


「でもコイツは・・・」


 俺が渋っていると、その張本人はケタケタと笑いながら、ゆっくりと俺に近づいてきた。


「まあそう言うなや前園ぉ! 今までは色々あったがこれからは同じチーム。仲良くしようぜ」


「ふざけるなっ! 誰がお前みたいな指名手配犯と」


 そう。あの鮫島が、水島さんに負わされた怪我から復帰して、今日付けで俺たちのチームに配属された。


「ウヒヒヒッ! それにしてもいい女ばかりじゃねえかよ、このチームは。誰か一人ぐらいこの俺様に抱かせろよ。なあ、色男さんよぉ」


「何だと貴様・・・藤間主任っ! こんなヤツとっとと逮捕して刑務所にぶちこんで下さい」


「すまんな前園君。一応コイツにはGPS付きの拘束具をつけているし、実質的には既に逮捕されているのも同じなんだが・・・おい鮫島っ! ちゃんと命令を聞かないとお前を検察に送りつけるぞ!」


「へいへい、わかってるって藤間さんよ。刑務所なんかに入れられたら女を抱けなくなるからな」


 どこまでもふざけた態度の鮫島だったが、俺の背後から水島さんがすっと前に出て来ると、顔を強張らせた鮫島がジリジリと後ろに下がっていく。


「あなたに警告しておく。もし前園くんの言うことを聞かなかった時は、この私があなたをリッターと一緒に叩き潰す。今度は怪我なんかじゃ済まさないから、覚悟しておいて」


「ちっ・・・分かったよ。怖ええ女になりやがったなコイツ。あの時ダせえパンツを笑ってないでさっさとヤッておけばよかったぜ」


「その話はしないで! 私の前園くんの前でまたその話をしたら、次の戦場で一番最初にあなたを殺す」


「ひいっ! ・・・お、おい弥じゃなかった菖蒲ぇ、俺を助けてくれよ~」


 そう言って葵さんに助けを求める鮫島だが、


「私の名前を気やすく呼ばないでっ! 瑞貴の命令を聞けないのなら、水島さんより先にこの私があんたの首をへし折るから覚悟しなさい!」


「一体何なんだよ、この物騒な女たちは。そこのお嬢様でも外人の姉ちゃんたちでも誰でもいいから、この俺様を助けてくれよ~」




 誰からも歓迎されない鮫島だったが、俺たちのチームでは後方支援担当として、思念波弾の弾幕を張ったり思念波エネルギーの供給源として働くことになる。コイツは周囲から思念波エネルギーを集める能力があるため、俺たちの仲間に抜擢されたらしい。


 そしてもう一人の男も鮫島同様にチームの後方支援として加わる。


「僕のこともよろしく頼むよ、瑞貴」


「芹沢・・・お前マジで戦闘員になったんだな」


 そう、生徒会長選挙で神宮路さんに完敗した芹沢翔也が俺たちの仲間に加わったのだ。


 神宮路さんからは事前に話を聞いていたが、俺たちのチームは特殊だから配属される可能性はかなり低いという話だったのに、よほど特殊な能力持ちなのか。


「なあ芹沢、お前どんな能力を持ってるんだよ」


「それはここでは話せないな。戦闘員同士でも能力は互いに隠すことが多いと聞くし、僕はそこにいる鮫島を全く信用していないからね」


「鮫島か・・・やはりコイツは刑務所に入れた方が」


「うるせえ! どいつもコイツも俺様のことを・・・うわっタンマタンマ!」


 鮫島が悪態をついた瞬間、葵さんと水島さんの二人が思念波補助デバイスを鮫島の喉元に突きつけた。


「「今すぐ口を閉じないと、この場で殺すわよ」」


「分かったから、そんな物騒なセリフでハモるなよ」


 この二人から常に殺意を向けられ、愛梨たち3人からもゴミのような目で見られる鮫島。


 こんな奴と一緒に戦えるのかかなり不安だったが、これからは藤間主任が常に俺たちに帯同して、後方の指揮をとってくれることになったので少し安心だ。


 ちなみに全体指揮は神宮路さんがとり、俺は前衛の指揮を任されることになった。最初は葵さんに前衛の指揮をお願いしたのだが、彼女がそれを拒んで俺の下で働きたいと強く望んだのだ。


 ところで俺は、鮫島が気に食わないは当然として、この芹沢もさわやかな笑顔の裏で何を考えているか分からない不気味さがあり、あまり好きではない。


 しかもコイツにはアリスレーゼを俺から引き離した前科がある。


「芹沢、念のために警告しておくが二度とアリスレーゼには手を出すな」


 俺はアリスレーゼを守るように背後に隠すと、芹沢はさわやかな顔でほほ笑みながら、


「わかっているさ。僕はキミの女には一切手を出さないから、そこは信じて欲しい」


「そうか・・・神宮路さんが大丈夫だと言うから一応信じてやるが、もし約束を破ったらその時は」


「なるほど。アリスレーゼ君を僕のチームに誘ったのはかなりの悪手だったようだ。僕はキミに受け入れてもらえるよう、これから努力を惜しまないつもりだ。改めてよろしく頼むよ瑞貴」


 そして芹沢が握手を求めて近づいて来たが、なぜか芹沢は俺の顔ではなく少し下を見つめているし、頬が赤く呼吸も荒くなっているように感じる。


「おい芹沢、お前さっきからどこを見てるんだよ」


 その言葉に神宮路さんが何かに気がついたらしく、慌てて芹沢を制止した。


「その能力を今すぐ解除なさい! さもないと就業規則違反で懲戒処分にいたします!」


「規則違反にはならないさ。なぜなら僕は瑞貴の女には一切興味がないし、その方面のルール整備は役所でもまだされていないはずだから」


「やっぱり見ていたのね! 瑞貴君っ、今すぐテーブルの下に入って股間を隠しなさいっ!」


「え、なんで?」


「いいから早くっ!」


「お、おう・・・」


 だが意味が分からないしその場でうろうろしていると、業を煮やした神宮路さんがバリアーを展開して、それを芹沢に叩きつけたのだ。


「ぐぎゃっ!」


 その勢いで後ろの壁に叩きつけられて失神する芹沢だったが、そこで俺はようやく、彼の両目に思念波が集中していたことに気がついた。


「神宮路さん、芹沢の能力って一体何なんだ?」


「実は彼との約束があって、彼についての詳細を申し上げることができないのですが、一つだけ言えるのは、わたくしたちのチームにおける彼の役割は千里眼。遠方の敵を捕捉するレーダーとして存分に働いていただく予定です」


「遠方の敵を捉える千里眼か。すごい能力だな」


「ただし、彼が能力を使っている兆候が見られたら、瑞貴君は彼の視線が自分に向けられていないかを必ず注意してください」


「お、おう・・・神宮路さんがそう言うなら、注意しておくよ」





 総司令部から二人を押し付けられた形でスタートした新チームだったが、その思惑通りにお互いの能力が上手く補完しあって、俺たちのチームは少数精鋭ながらも押しも押されぬ大エースとなった。


 鮫島から思念波が供給されるようになったためエネルギー不足を心配せず存分に戦えるようになったし、敦史と芹沢のコンビネーションが絶妙で、遥か遠方の敵に対する狙撃も可能になっていた。


 そしてヒッグスもチームに加わり、鮫島と共に覆面レスラーのような衣装を着て、同胞のオークやオーガを相手に大活躍を見せた。


 そんな俺たちの活躍はニュースでも取り上げられ、半ば日常化したリッター襲撃に対する切り札として、戦隊ヒーローのようにもてはやされた。


 そう言えば戦隊モノって、なぜか敵が主人公の近くにばかり出現するんだよな。本当は彼らに見つからないよう行動すべきなのに、わざわざ倒されに来るなんてバカな奴らだよな。


 でも最近のリッターはなぜか俺たちの近くにばかり出現するし、一体何の目的があるんだろうか。


 そんな俺の素朴な疑問を、予想もしなかった意外な人物が指摘した。

次回もお楽しみに

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