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クラスメイトは異世界王女  作者: くまひこ
第2章 オーク騎士団の来襲と時空間戦争の足音

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第29話 オーク騎士団の来襲④

 アリスレーゼたちからの援護射撃とタイミングを合わせて先頭車両右側から線路へ降り立った俺たちは、わき目もふらず車両後方へと全力で走る。


 葵さんは対応可能と判断したが、鉄橋を渡りきった先には20体ほどのオークが立ちはだかり、車両に背を向け上空のヘリコプターに攻撃を仕掛けている。


 その全員がバリアーを展開している上、彼らが放つボーガンの矢にも「気」が輝いており、何らかの魔法がかけられているのは明らかだ。


 そしてヘリ部隊がその射程距離ギリギリの位置で警戒しているところを見ると、警察もオークたちの攻撃の正体を理解しているようだ。


 そんな状況を打破するためか、前を走る葵さんがこちらを振り返ることなく俺たちに一言告げた。


「瑞貴と水島さんの二人に手前側のオークを任せる。私は最後方のオークの相手をしてくるわ」


「わかったが、無理はするなよ」


 葵さんは軽く手を上げて俺たちに別れを告げると、人間技とは思えない速さで鉄橋を駆け抜け、オークの群れの中へと消えて行った。


 一方の水島さんは普通の女子高生なので、彼女なりには頑張っているものの足が遅く、格好の獲物と見たオークの一部がこちらめがけて矢を放ってきた。


 ヘリ部隊すら警戒する魔力を帯びた特大の矢は、だが俺たちに当たることなくその全てが目の前で跳ね返されると、力無く地面に落ちていく。


「前園くん。葵さんの言ったとおりにしたら、本当に私にもバリアーが使えた」


「本当だ・・・凄いじゃないか水島さん」


 そう、このバリアーは水島さんがたった一人で発生させたものだ。


 俺は二人の役割分担を決め、彼女にバリアーの展開を任せて俺は攻撃に集中することにしたのだ。


 その作戦が早速機能し、俺は矢を撃ってきたオークに向けてお返しとばかりにマナキャノンを放った。


 さっきのアリスレーゼのものより威力が数段落ちるものの、射撃間隔を短くしてとにかく回数を撃つことで相手の混乱を誘う。


「水島さん、もうすぐオークの群れの中に突入する。ここからは俺も近接戦闘に切り換えるから、呼吸を合わせて何とか乗り切るぞ」


「うん! 私のバリアーで前園くんだけは絶対に守って見せるからね」


「・・・セリフが完全に逆のような気もするが、守りは水島さんに任せた」




 そして俺たちも川を渡りきり、対岸に展開していたオークの集団と相対する。


 その一番手前の、1体目のオークが待ちわびていたかのように凶悪な笑みを浮かべると、金属製の巨大なハンマーを俺たちに向けて力一杯振り下ろしてきた。


 もし俺一人なら身体をスライドさせて避けるところだが、今回は真正面からこれを受け止める。


 ガゴーーーンッ!


 途方もない運動エネルギーを持つハンマーが、水島さんの展開するバリアーに激突。耳をつんざくような金属音が辺り一面に響くがバリアーはびくともせず、その攻撃が俺たちに届くことはなかった。


 一方でハンマーを跳ね返されたオークはバランスを崩し、それを好機と見た水島さんがバリアーを強引に押し込んで、逆にオークをフッ飛ばしてしまった。


「ウガーーーッ!」


 2メートルを超える巨体が左方向に大きくはじかれると、そのまま壁を越えて高架下へと転落する。


 肉塊がひしゃげる音と断末魔が聞こえてきたが、そんなことは気にも止めず2体目のオークが攻撃を仕掛けてきた。


 そしてすぐに俺の前に出た水島さんは、デバイスを両手で固く握り締めてバリアーの出力を上げると、再びオークの攻撃を真正面から受け止めた。


「このーーーっ!」


 そしてオークの攻撃をまたもやはじき返すと、後続のオークたちもまとめて後ろに押し倒した。


「すげえ・・・おそらくバリアーの効果だと思うが、水島さんがオークの怪力に全く負けてねえ」


 だが俺の呟きが水島さんには聞こえてないようで、彼女はオークに向かって叫んだ。


「私だって、いつもイジメられてばかりじゃないんだから! もういい加減にしてっ!」


 完全にキレてしまった水島さんは、これまでの鬱憤を晴らすかのようにオークに立ち向かうと、積極的に攻撃を仕掛けていった。


 デバイスをメチャクチャに振り回しながらバリアーを武器のように使って、オークに効果的なダメージを与えていく。


「イジメられッ子がキレたらマジで恐いとは聞いていたが、今の水島さんがまさにそれだよ。でも彼女の攻撃で敵のバリアーが消滅してないか」


 よく見ると両者のバリアーがぶつかった瞬間、互いが相殺し合って消滅し、その後水島さんのバリアーが先に再生して無防備な状態のオークに攻撃が炸裂。結果的にこちらが圧倒する展開になっている。


 完全に予想外の展開だが、このチャンスに俺も攻撃をたたみかけた。


 バリアーを失ったオークに得意の近接攻撃でダメージを与えていくと、それに慌てたオークたちが俺たちの勢いを止めるため殺到してきた。


 バギャッ! ドガッ! メギッ! ガスッ!


 狭い線路上で前後を挟まれながら、俺と水島さんが巨大なオーク5体を相手に肉弾戦を演じる。


 車内では乗客たちが窓側につめかけて、俺たちの戦いを見つめている。


「いいぞ黒髪王子! 化け物どもを始末してくれ!」


「女子高生ちゃんも、ファイト!」


「おいおい、JKに遅れを取ってるぞ。男ならもっと頑張れよ黒髪王子」


 無駄な魔力を使わないよう認識阻害の魔法は切っているため俺の正体はみんなからバレバレだが、窓を締め切っていても聞こえるほどの熱い声援が届く。


 そして上空を見ればヘリの一部の扉が開き、戦闘員が降下の準備を始めている。


 ハッキリ言って結果オーライだが、もともと有って無いような作戦だし上手く行ってるならそれでいい。


 俺は少し安心して、次のオークに対峙しようと身体を反転させたところ、上空に気が行ってしまって足元がおろそかになっていたからか、線路の枕木に引っかかってバランスを崩してしまった。


 思わず線路に手をついて倒れ込んでしまった俺を、チャンスとばかりに攻撃を集中させるオークたち。


 慌てて立ち上がろうとするが間に合わず、デバイスも手元から離れてバリアーも展開できない。


「マズい・・・」


 だが次の瞬間、水島さんが俺の上に覆いかぶさるとオークの攻撃を全てその身体で受け止めた。


 バキッ! ドスッ! ゴスッ! ボガッ!


 水島さんの身体を介して、オークの攻撃の衝撃が俺に伝わる。


「水島さん、すまん油断したっ!」


「うっ・・・くっ・・・」


 バリアーを展開していても、それを上回る攻撃力が彼女に襲いかかる。うめき声を上げながらも、必死に耐えようとする水島さん。


「俺は大丈夫だから早くそこをどいてくれ。このままじゃ水島さんがただじゃすまない!」


 俺はダメージ覚悟で水島さんを退避させようとするが、彼女はその場を動かなかった。


「・・・私はいいのよ。前園くんのためなら捨て駒でも何でもしようって決めてたから・・・このまま耐えて見せる・・・」


「何を言っているんだ。早く俺から離れろ!」


「ううん・・・私がこうして耐えているうちに・・・前園くんは早く逃げる準備をして・・・」


「や、やめるんだ!」


 俺に覆いかぶさる水島さんから生暖かい液体が滴り落ちてきた。それが線路上にぽたぽたと落ちてきて、地面を赤く染めていく。


「これ以上攻撃を受けたらキミが死んでしまう」


「・・・私が死ぬ・・・そっか、死ぬんだ私・・・」


「だから早く逃げろ!」


「・・・何もない人生だったけど・・・最後に前園くんのために頑張れて・・・本当によかった」


「何を・・・」


「葛城さんたちから助けてくれた初恋の王子様に最後に言っておくね・・・好きです前園くん・・・だから私の命に替えても、愛するあなたを守ってみせる」


「水島さんっ!」


 そして意識を失ってぐったりした水島さんが俺に全体重を預けた瞬間、頭の中で何かがキレた。

次回も続きます。お楽しみに

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