表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/60

チューベーローズ18歳


全く以て不本意なんだけど、私は、今、裁判にかけられている。


貴族令息に、薬を使い淫らな道に引き摺り込んだ罪らしい。


良く言うわ。


自分から望んで、私の体に飛び込んできたくせに。


で、そんな孫を学園に入学させたとして、ジジイ、ババアが呼ばれた。


いつも偉そうにしてるくせに、裁判長にペコペコ頭下げて、惨めなもんね。



「私達は、騙されていただけです!その娘が、孫だと偽ったばかりに巻き込まれてしまったんです!」



ジジイが裁判官に泣き落としを掛けている。


ホイホイ引き取っておいて、良く言うわ。


薄々分かってたくせに。


だって、奴らの息子と私の母さん掛け合わせて、私が生まれるわけないもん。


肖像画に描かれていた美男子は、まさに天使のような優男。


アンタ達の息子だなんて、未だに信じられないくらい好青年。


儚げで、髪の色も目の色も、眩い金色。


片や、うちの母さんは、キツい目つきの黒髪。


で、私、赤毛なんだけど?



『死んだ母が、赤毛でした』



って涙ぐんだら、納得したフリしてたじゃん。


もう、当時のメイドなんて一人も残ってなかったし、追い出した張本人は、どんな顔かも覚えてなかったんだから自業自得でしょ?


私の体が美味しく発育した頃から、ジジイのヤラシイ視線に晒されて背筋が凍ったものよ。


隙あらば、手を握ったり、肩を抱いたり。


ババアが嫉妬して、私、何度杖で殴られたことか。


それなのに、今更、被害者面とか、笑っちゃうわよねー。



「裁判長、そのお年寄り、ぜーんぶ知ってて、私を養子にしたんです。騙されちゃ、ダメですよー。偽造した書類の写し、持ってますから。それに、貴族の坊ちゃん達は、自分から私に寄ってきたの。ヤバい事だって分かってて来たんだから、私だけ犯罪者扱いって変だと思いまーす!」



手を挙げて高らかに言い放ってやると、ジジイ達の顔が真っ赤になった。


あらあら、血管切れちゃいますよー。


私は、悪女。


そんな事、百も承知。


だから、何?


いざと言う時のために、全て証拠は、押さえてきた。


誰一人、言い逃れなんかさせない。


私は、ただ、お腹いっぱいご飯を食べて、綺麗なものに囲まれて、チヤホヤされたかっただけ。


別に、王妃になりたいとか、貴族の奥方になりたいなんて野望はない。


側室だろうが、愛人だろうが、私に不自由をさせない金と権力が有れば、何処にでも収まる気だった。


ま、やりたいだけやり尽くしたから、後悔は、ないわ。



「判決を言い渡します!」



裁判長が、高らかに声を上げた。


あら、私だけ裁くって言うの?


皆さん薬を使ったのが悪いとか言うけど、それを作る奴も、売る奴も、分けて貰おうと寄ってくる奴も、全部悪でしょ?


どうせ死刑になるなら、全員道連れにしてやりたいの。


洗いざらい喋って、証拠も全部曝け出してやる。


揉み消したって無駄よ。


既に、新聞社や下世話な大衆紙に、実名付きで暴露ネタを送ってあるんだから。


ふふふふふ、止められるなら止めてみなさいよ。


あら?


もしかして、それって、世の為人の為になるんじゃない?


ふふふ、気づかなかったけど、私って、意外と良い子だったみたいね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ