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セリ5歳〜新たな決意〜


先日の王太子のパーティーでは、ルドベキア様と素敵な時間を過ごせた。


たわいもない話だけど、お互いの事を色々と話して、友達とまでは言わないけど、知り合いには成れたと思う。


帰るまで、お兄様は、私を必死に探したみたいだけど、とうとう見つけることはできなかった。


だって、私は、空気。


気配さえ隠せば、誰にも見つかることはないのですもの。


お兄様、ごめんあそばせ。


ルドベキア様には、二人の弟がいるらしい。


ヤンチャで困ると微笑まれる彼は、とても優しいお兄様の様だ。


私、男を見る目は、昔からあったのよ。


身長は、ヒョロヒョロだけど百八十五は下らないし、頬が抉れる様に痩けているけど、顔立ちは決して悪くない。


目が落ち窪んで見えるのも、顔色の悪さと痩せ過ぎた身体のせい。


もう少し肉が付いたら、きっと、その辺の女は急に色めき立つはずよ。


ルドベキア様は、私の話も、ちゃんと耳を傾けてくださる。


兄が可愛がってくれるけど、少し鬱陶しいと訴えると、『お兄さんが好きなんだね』なんて言う。


当たってるけど。


美貌の貴公子と呼ばれる癖に、私を見ると一目散に走ってきてくれるし、こんな地味な私を、可愛い可愛いって猫可愛がりしてくれる。


二度目の人生だから、その大切さは、身に染みて分かる。


私は、家族に愛されていた。


そして、私も、心から愛していた。


絶対に、この幸せを壊したりしない。


そして、今度こそルドベキア様と幸せになるんだ!


私は、一生懸命作戦を練った。


オダマキ殿下は、ケイトウお兄様やルドベキア様の一つ上。


今、十一歳のはず。


そろそろ婚約者を正式に決めなければならない年齢に近づいている。


家格と年齢を考えた時、私が、その筆頭に名前が上がるのは仕方ない。


でも、私は、今回のパーティーで、見事にオダマキ殿下との顔合わせを『迷子』を理由にブッチした!


元々、王太子は、私との婚約に乗り気じゃなかったし、あのパーティーでは、家格は劣るけど超美形の少女達がわんさか居た。


オダマキ殿下にとったら、渡りに船。


喜んで他の方を選ぶだろう。


ただ、現状で、王妃様が、そんな選択を喜んでさせるわけがない。


王太子であるオダマキ殿下の婚約者が、第二王子の婚約者と同レベルの家格だなんて許せないものね。


だから、私は、帰宅後、こっそりとイツハシと呼ばれる花の根を煎じて口にした。


それは、吐剤や下剤として使われるもので、民間薬の一種でもある。


本当は、こんな危険なことしたくないけど、背に腹は代えられない。


体調不良を訴え、なかなか治らない吐き気と下痢に、お医者様も首を傾げて『難病』の恐れありと診断を下した。


いつ死ぬかわからない王太子妃なんて、どんなに家柄が好くてもオッケーは、出ないはず。


妥当な子が何人か選ばれて、王太子妃候補になるまで、我慢比べよ!


私が寝込んでいる間、お父様もお母様もお兄様も、死んだみたいな顔をしていた。


クローバーに至っては、毎晩何かを拝んでいる。


メイド達も、かわるがわる部屋を覗いては涙ぐんでるし。


執事に至っては、落ち込む皆をまとめ上げる心労で、私以上に痩せ細ってしまった。


ごめんね、皆。


ここを乗り切れれば、きっと、明るい未来が待ってるから!


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