ケイトウ7歳
僕の名前は、ケイトウ・ディオン。
よく、友達から変わり者って言われる。
普通の子は、図書館にある本を、七歳で全部読むなんて、しないんだって。
でもね、本を読んでて知らない事に出会うと、なんだろなあ?って思うでしょ?
そしたら、それに関する本を探すでしょう?
で、気付いたら、全部読んでたんだよね。
ん?やっぱり変わり者?
でもね、僕の妹の方が、もっと、もっと、もっと、変わっている。
僕が言うのだから、多分、この国で一番変わっているんだ!
地味な見た目が超絶可愛いけど、庭の一角にお花畑ならぬ薬草畑を作ってしまった。
皆は、小さな子供が雑草を集めて植えているだけだって思ってるみたい。
でもさ、植える時に、ヨモギとブタクサ選別してたよ。
よく似た葉っぱだけど、裏返すとヨモギは、繊毛って言う白い毛みたいなのが生えてるから。
ちゃーんと薬になる草だけ選ぶって、そんな奇跡あるのかな?
あー、でも、オオゼリは、間違えて植えようとしてたから、捨ててあげた。
多分、セリと間違えたんだね。
あれは、毒草だから、庭師に頼んで燃やしてもらったよ。
ほんと、あぶない、あぶない。
「お母様」
「なあに、ケイトウ」
「僕、セリに、お勉強教えてもいい?」
え?そんなに嫌な顔しなくても。
僕、頭、良いんだけど。
「ケイトウ、少しいいかしら?」
「うん」
「ケイトウは、セリを何にしたいの?」
「何にって…植物博士?」
僕の答えに、お母様が、また変な顔をした。
「どうして、そんな考えを思いついたのかしら?」
どうしてって、見てたら分かるでしょ?
きっと、セリの夢なんだ。
でも、変な知識が付かないように、正しく導いてあげる人が必要だよ。
「僕なら、出来るよ」
「何がかしら?」
「全部(植物図鑑は、読んで)覚えているから」
何故か、お母様が突然抱きしめてくださった。
「ケイトウ、貴方の頭の中では、私達に計り知れない何かがあるのね。でも、それにセリを巻き込んではいけないわ」
ん?巻き込む?
いや、僕が巻き込まれてあげようかと思っているんだけど。
だけど、お母様、なんだか止めて欲しそうだね。
「分かった。(お母様のいる前では)教えない」
「ありがとう、ケイトウ」
ウンウンと満足げに頷いてるけど、僕の気持ち、伝わってる?
どうも、僕って、言葉足らずみたいなんだよなぁ。
でも、丸く収まったみたいだから、まぁ、いいか。
「あ、セリ〜」
セリが、またもや薬草畑に向かってヒョコヒョコ歩いている。
僕は、慌てて駆け寄ると、セリまで凄く嫌そうな顔をした。
なんで?
「おにぃたま、め!」
セリが指さした方向を見ると、家庭教師の先生が、肩で息を切らせて走ってきていた。
あ!そうだ、授業抜け出してたんだ。
「僕は、セリと居たいなぁ」
「めーーーーーーー!」
セリが、羊かと思うくらい大きな声で鳴くから、僕は、渋々部屋に戻る事にした。
あぁ、今日も妹が、僕に冷たい。