5神室くんと告白1(過去編)
「神室くん好きです」
「……えっと、人違いでは?」
「えっ、神室迅くんだよね!?」
「……そうですけど」
「じゃあ合ってるよ!」
「僕まだ死にたくないんですが……」
「何その返事……私の告白って呪われてるの?」
「いやどっちかって言うと呪ってるのはあなたの周囲っていうか……」
「……もしかして、本気にされてない?」
「え、……まあ、そうですね、そうかもしれないです」
「…………そっか。……」
「(諦めてくれたか?)」
「じゃあ本気だってわかるまで伝えていくね!」
「待って、どうしてそうなるんです?」
「本気だって、わからないと返事してくれないってことでしょ? 神室くん、私がスタートに付くまで待ってくれるなんて優しいね」
「……いやそれは優しさではなくてですね……」
「でも本気じゃないとダメなんでしょう?」
「そうは、言って……」
「だから私頑張るね。本気だって、伝わったらお返事ください。ダメでも良いでも構わないので!」
もう既になんだか泣きそうなあなたをはっきりと拒絶できなかった僕がきっと悪かったのだと思う。
僕はこれ以来、あなたを拒絶することができないでいる。
本気で嫌なら無視でもすれば良かったんだ。もとより人の目など気にしたこともなかったのだから。自分がどう思われても、初めのうちにキッパリと断絶するべきだった。
心が、こんなにも傾いてしまう前に。