9神室くんと動物
「なんで僕たち一緒に帰ってるんですか」
「えっ、私が一緒に帰ってって言ったから?」
「僕はいいなんて言ってませんが」
「そうだね。でも駅まではどの道同じだし……」
「それはそうですけど」
「嫌なら後ろから着いてくね」
「それはそれで気持ち悪いのでやめてください」
「そう? じゃあ一緒に帰ろう!」
「…………はぁ」
「あっ、猫ちゃんだ!」
「急になんですか」
「ほらあの木の下に猫ちゃんだよ」
「……ああ、ほんとだ」
「ふふん、最近神室くんのことちょっとずつわかってきたんだ」
「なんですか。何がわかったと?」
「えーと、そう、例えば動物はあんまり好きじゃない!」
「……どうして?」
「ほら、わんちゃんはベタベタ構ってくれって鬱陶しいとか、猫ちゃんは気まぐれすぎて面倒とか」
「僕がそう思ってると?」
「……違った?」
「さあね」
「あーまたそうやって誤魔化すー! あっ! しかも喋ってる間にかわい子ちゃんいなくなっちゃった!」
「はいはい。帰りますよ」
「……! うん!」
「あなたの機嫌は猫みたいにころころ変わりますね」
「え? そう? にゃ〜ん……とか言っちゃって!」
「恥ずかしがるくらいなら初めからやらないでください」
「あっ、待ってー! 置いてかないで〜!」
あなたには絶対に言わないけれど。
僕の家には拾った猫が二匹いることなど。
絶対に、絶対に。