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よくある話だ。本当に!

この世界は至って普通だ。

漫画や映画みたいなファンタジーは決してない。

勇者や火を吹くドラゴン、魔王なんかはこの世にはいない。

もしいたのならばきっと宇宙人扱いだろう。


だが、僕が望むのはそういったファンタジーの世界。

決して勇者に憧れている訳ではないけど、魔法や冒険なんて人としては一度くらいは夢見るものだと思う。


僕が初めてファンタジー世界を知ったのは五歳の時だったかな。


その時にファンタジーの世界に魅了されてしまい、それ以来映画や漫画、アニメにゲームとリアルでは味わえないものに引き込まれてしまった。

僕は毎日不思議な事を探したり、研究したりして過ごしていた。


そして今年で僕も16歳になる。

学校や近所では変わり者扱いされ、そんな僕だから友達もいない。


いや、少し違うな。友達と言えるかは分からないが、不思議研究仲間なら1人いる。


小学校3年生の時。

僕がいつものように校庭で土いじりをしていると急に声をかけられた。

『ねぇ、それ何やってるの?』

僕は声がした方を見ると女の子が近づいてきて僕の横に座った。

僕はあまり人と会話をした事がなかったからふと声が出なかったが、一応書かれた事には答えようと返事をした。

『これは・・・・その、宇宙からの不思議な石とか落ちてないかなって思って探しているんだ。』

『へぇー、君宇宙の石とか分かるの?』

『いや、僕は分からない・・けど、叔父さんが分かるんだ。宇宙研究をしてるみたいで。』

『凄いね。私もそれやっていいかな?』

『別に、いいんじゃないかな。僕だけのものじゃないし。』

『じゃ一緒に探そ。それと、私は皐月さつき 縁古ゆかりこよろしくね。』

『あっ・・その、僕は、八岐やまた 大蛇だいじゃって言います。』


この時は流れで自己紹介してしまったが、この時は本当にビックリしたな。

『やまた・・だいじゃ?どんな字を書くの?』

『八岐大蛇こう書くんだ。』

『カッコいいじゃん。』

『え?』

『だってこれ、やまたのおろちだよね?』

『そうだね。この字はお父さんが付けたんだ。でも本当はオロチって付けたかったんだって言ってたけど、周りの人に反対されて、字はそのままにだいじゃにしたんだって。』

『そうなんだ。私はどっちも好きだな。』

これが縁古との出会いで始まりだった。

今は日課のお昼寝タイム中だが、今は昔みたいにあちこち探して回る必要が無くなったんだ。


なぜなら、僕達は肉体を持たない状態になっているからだ。

肉体が無いのにお昼寝タイムを満喫してるコイツの神経はどうかしてると思うけど、こんな状況でも神経とか関係あるのかな?


『ことの始まりは下校中にある。そうだな、3時間前くらいかな?』


僕と縁古はいつもの隠し研究所に出入りしていた。

ここは叔父さんが昔使っていた研究所を僕達に貸してくれた場所だ。

そして、天気も悪くなっていた事もあり雨が降り出してきた。

そして雷も鳴り出し2度目の大きな雷が研究所に落ちた。

たまたま機械に触れていた僕と縁古はそのまま倒れてしまい、今の状況になる。


これが今僕達が経験している不思議な出来事である。

これぞまさしく不思議ファンタジーではないか!


『でもこの状態は、不思議体験でよく聞く幽体離脱ってやつかな。』

『んーおはよう。』

『起きたか。』

『うん。てっ、いやーー落ちるー!』

『ないない。僕達今浮いてるから。』

『あっそうか。そだね。そうだった。』


縁古は軽く舌を出し、テヘッとしながら笑みをながら、すぐさま何か考えこんだ。


『でもどうしよう。』

『何が?』

『だってこれ幽体離脱ってやつだよね?』

『そうなるかな?でも僕達の肉体ってさ、ちゃんと有るかな?』

『あるでしょう。じゃないとこれは幽体離脱じゃなくて、幽体って事だよね?』


僕達は残念ながらこの場所から動くことは出来ないので、自分達の姿を探しに行く事は出来ない。


僕達はゆっくり現状について話し合うことにしたその時、何処からか誰かに呼ばれた気がした。


『ねぇ、今僕を呼ばなかった?』

『私は呼んでないわよ。まさか、誰かいるの?こんな空の上に?』

僕は少し耳を澄ませもう一度声がしないか確かめようと試みた。

(あのー。聞こえますか?)

聞こえた。とゆうよりすぐ近くに誰かいる。そして呼んでいた。

『はい。聞こえます。あなたは誰ですか?』

僕は声のする方に向かい返事を返すと薄らと人らしき人物が浮かび上がってきた。

『ねぇ、誰と話してるの?』

どうやら、縁古には分からないらしい。

『あの、この子にもあなたが見えるようになりませんか?』

(なら私の声に意識を向けて貰えればあなたみたいに見れるようになるかと思いますよ。)

『縁古、目を閉じて耳を澄ませて見て。誰かが君を呼ぶ声がするから。』

『う、うん。分かった。』

そして数秒後

『聞こえた、本当に誰かいたのね。』

そして薄らとしか見えなかった人影が徐々にハッキリと見えるようになった。


『初めまして、私はフェアリーのルリビアと言います。』

『フェアリー?つまり妖精なの?』

『この世界ではそうなりますね。』


確かに本や映画なんかでよく見る感じの姿形をしていた。

僕は感動のあまりルリビアの手を握り

『僕の名前は・・・。』

『八岐大蛇でしょう?そして、貴女は皐月縁古ね。』

『どうして私達の名前知ってるの?』

ルリビアは苦笑いを浮かべながら答えた

『君達をこんなふうにしたのは私だから。』

『はっ?』

『さっきの雷さ。私のなんだ。』

『はぁ。』

『それで、このままでは死んじゃうからこのように固定して消えないようにしていたのさ。』


この妖精は何を言っているのだと僕達は思っていたが、ルリビアは地上の様子を掌に映し出して見せてくれた。

そこには雷で研究所は燃え上がり火の海になっていた。

その近くに消防士達が僕達を運んで行くのが見えたが、言うまでもなく、あれは死んでいるな。

2つの黒焦げになった姿を見れば諦めもつくもんだ。


『そうか、僕達は死んだのか。』

『そうみたいね。』

『あの。本当にすいませんでした。』


僕達は幽体離脱ではなく、本当に幽体であったわけで、このまま死を待つだけか。


『それで、肉体が無くなった僕達の魂をとどめて何をしたいんですか?まさかただ謝りたいだけとか言いませんよね?』

(ぎくっ)

フェアリーの顔が少し引きつった感じに見えたが

『そんな事はありませんよ。まぁ謝りたいのは本当ですが。貴方達にお詫びをしたいと思いまして。』

『お詫びって私達もう死んでるのにですか?』

『だから生き返って貰ってからでもいいならお詫びしても・・いいでしょうか?』

『お詫びお詫びって、結局何してくれるんですか?貴方が妖精で、非現実を体験している僕達に・・・ん?』

『今生き返ってって言いましたか?』

『は、はい。ですが生き返って貰うのはこの世界ではなく、私の世界リーフワールドで、ですが。いかかですか?』

『リーフワールド?』

『いわゆる異世界ですね。実は私も昨日こちらに来たばかりでして。ようやく帰りの道を見つけましたので、このまま貴方達も連れて戻れるので、そちらにて新たな肉体に宿って貰えたらと・・思いまして。』


僕は夢を見ているのか?

夢にまで見た不思議満載の異世界で、しかも転生ときた。

この世を去るのが16年間だったのは少し悲しいが、別にやりたい事がある訳では無かったし、むしろ異世界行きができるのなら願ったり叶ったりなわけで!!

『あっでも縁古は良かったのか。僕と関わったせいでこんなに早く死んでしまったのに。』

『なぁに言ってんの?私が大蛇といたいからずっと一緒にいたのよ。それは死ぬ時もね。だから気にしてないわ。むしろこの願いも叶ってるわね、私。』

『そう、なんだ。なんだ、僕達はお互い好きあっていたのか。』

『そうよ。気がつかないんだもん。最悪20歳で私からプロポーズするとこだったんだから。って、今言っちゃってるか。』

『そだね。僕もずっと好きだったよ。縁古!』

『やっと聞けた。』

お互いの内に秘めた言葉を聞いた途端2人の身体(幽体)が徐々に薄くなっていく。

『あわわ!これはやばいですよ。浄化が始まってしまった。』

『浄化?』

『て事は転生は?』

『出来なくなりますね!』


僕達はお互いの顔を見ながら無言で合図しあい、フェアリーに向かい

『それはダメだ!早く転生をして下さい。』

『やはり君もか。』

『えぇ、もちろん。貴方も思ってたでしょ。最初に聞いてからずっと。』

『そうだね。僕達が思い描いていた世界に行けるのにこのままこの世界で成仏は出来ないよ。』

『それではお二人共私の世界へ来て頂けるのですか?』

『はい!出来るなら1秒でも早くお願いします。』

『ではお二人共。私の肩に手を置いて下さい。いきますよ。』


どのくらい飛んでたかは分からないが、フェアリーが僕達を連れて山の一角にある小さな祠の前まで来ると、その祠に手を翳し何かブツブツと呪文みたいな事を呟くと僕達は一瞬にして祠の中に吸い込まれた。


『んっ?ここは?』

『ねぇ、誰かいるよ。』


まだ、目の前が眩しく輝いていて誰がいるのか分からなかった。


『ねぇ、ルリビア。もう着いたのかな?』

『いえ、まだです。その前に会って欲しい方がいるのです。』


『ようやく来たか。』

『お待たせしました。縁にして大蛇を連れて参りました。神様。』

『神様!?』

光の中から現れたのは神様だった。

『そうだの。私はいわゆる神とゆうものだ。お主らを探していたのだ。』

『僕達を。』

ようやく光が消えて神様が目の前に現れたが、それは物語で出てくるような格好ではなく、どちらかと言うと

『ただのおっさんじゃ?』

僕達は同時に同じ感想を口に出してしまった。

『こほん。まぁ君達に合わせてみたが、この格好では神らしくはないかの。では。』

『確かに僕達に合わせれば、神様だろうと誰であろうと、こんな感じになるのはわかりますが。』


神様は手を服に当ててなぞると一瞬にして、僕達のしる神様っぽい服装に変わった。


『これならよいかの?』

『確かに神様っぽいですね。』

『あの、失礼な事を言わないで下さい。このおかたは紛れもなく神様なのですから。』

『すみません。最初のイメージが逆に強すぎたと言いますか。』

『それでじゃ、君達は本当に転生をしても良いのかと、それを確かめたくてな。それでここに来て貰ったんじゃが、お主ら2人は転生はしたいのかの?』


フェアリーにも聞かれたが、転生は何かあるのかな?


『僕は間違いなく、転生を希望します。』

『私も大蛇と同じです。』

『そうか、ならお主らに問おう。記憶はどうするか。』

『記憶・・ですか?』

『でも転生って記憶は引き継ぐものではないのですか?』

「もちろん記憶は残るが、希望があれば消す事も出来る。』


記憶の消去。


僕はその言葉を聞いてふと思う事があった。


でも隣にいる縁古は僕の手を握り強く笑みを浮かべてきた。


『大蛇。あなた新しく生まれ変わるなら初めからって思ったでしょ。』

『どうしてそれを?』

『分かるわよ。でもね、ゼロからなんて私は嫌よ。もちろん新しく始める物語も体験してみたいとは思うけど。』

「そうだね。全部無くすのは勿体無いし、縁古の事を忘れるのは嫌だな。』

『ならこうはどうじゃ。ある一定の時期を迎えると前世の記憶が戻るとゆうのは。』

『そんな事出来るのですか。』

『私にかかれば可能じゃよ。』

僕達は迷いなくその提案を受け入れた。


そして僕達はいよいよ異世界へと向かう。


『最後にお主らの生まれる先は私には決められんが、このように送り出すことは出来る。それでも良いかの?』

『大丈夫です。ありがとうございます。神様。それにルリビア。では行って来ます。』

『あぁ。行っておいで。お主らに幸あれ。』


そして、僕達はまた光に包まれた。



『おーい!早く来いよ!』

『待って下さい。お兄様ー。』


私はこのアルスナ大陸にあるコリューと言う町に住んでいる。

今年で14歳、名は「ラングル・アス・ユーリカ」町のみんなはユリカと呼んでいる。


私は最近妙な夢を良く見る様になった。


それは誰かと一緒にここに来た夢。

大切な人と一緒に・・・。


私は・・・・。僕は!


14年の月日が流れ、ようやく神様の力で過去の(前世)の記憶が今甦った。


僕は大蛇。


そして、我にかえると14年の生きてきた記憶とこのなんとも言えない、身体の感触。


これは神様、せめて性別は同じでお願いします。


まぁ、幸い記憶無しに14年も生きて来た記憶と週間があるお陰で問題は無いが、我ながら立派に成長してるなと実感するばかりである。


それより縁古だ。

時同じく縁古も記憶が蘇るはずだ。


どこかで巡り会える事を願うばかりだ。



本当によくある展開だな。

そしてここから始まる僕たちの物語。


生まれは異世界の日本のとある街のごく平凡な男子学生だった僕。

それがなんと、異世界に憧れ続けていたらまさかこんの展開になっていようとは思わなかった。


「そう、僕は・・・僕の転生後の姿は可憐な少女だったのです。」


記憶が戻るやいなや、僕はとても、とても複雑な感情になっていた。


「まぁね。確かにどんな形で生まれ変わるか解らないと説明はされたけどさ。流石に性別が変わるなんてね。」


そう僕は元男から現女の子になっているのだから・・しかもよりにもよって許嫁がいつと来た。


いっそ空を飛んで旅に出たいよ。


そう思いながら家帰ろうとしていたらどこからか僕を呼ぶ声が聞こえてきた。

しかも今名前ではなく、大蛇と呼ぶ声が聞こえた。


「まさか縁古!」

「迎えに来たよ大蛇!」

「げ!」


そこにいたのは縁古ではなく、あの時の妖精だった。


「お前はあの時の妖精だな。」

「はい、仰るとうり。貴方様の記憶が戻ると私めが現れるように神様が決めてくださったのです。」

「それで、なんで僕を名前で呼んだんだよ。」

「それはなんとなく、そのほうがいいかなと思いまして。だって・・。」

「だって?」

「勘違いできたでしょ?」

「そだね。本気で勘違いしたよ。」

























































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