7話 兜と純白の盗人
暑い!
俺は半分寝ぼけながら、「熱」の原因をマントから蹴り出した。
えぇい、寝汗がべたべたする。首回りなんか酷いもんだ。
「……あなたねぇ……っ!」
噛み潰すような怨嗟の声にまぶたを開けると、洞窟の岩肌の上にアオイが転がっていた。
「寝相の悪いヤツだな」
「寝相が悪いのはあなたの方よ! それとも、今自分が何をしたのか記憶にないのかしら?」
朝から怒りマックスで怒鳴り散らすアオイだが、頬にくっきりと線が付いているので滑稽で仕方がない。
俺にしがみついて寝てやがったな。
「俺の服によだれ垂らしてないだろうな?」
「たっ、垂らしてないわよ!」
断言しながらも慌てて口元を拭うあたり、自信はないのだろう。さりげなく俺の胸元を見てやがる。
「胸元をチラ見するのは男の特権かと思っていたんだがな」
「そ、そんな目で見てたんじゃないわよ! あと、特権とかないから!」
だらしなく膨らんだ胸を隠してアオイがうなる。
誰が見るか、そんな駄肉。
気が付けば朝になっていたようで、洞窟の中にも微かに光が入り込んできていた。
少し体がだるいが、まぁ、これくらいなら問題ないだろう。
やはり、風邪の兆候だったのだろうな。
アオイのこめかみでぷらぷら揺れてる尾羽も、今見るとユニークにしか見えない。
「アオイ。よく似合ってるぞ」
「……半笑いで言わないでくれるかしら、そういうこと」
アオイには<雪鴛鴦の尾羽>があるし、マントはこのまま俺がもらい受けるとしよう。
「ありがとう。大切に使うよ」
「貸してあげるなんて一言も言っていないのだけれど……」
「おう、借りない。くれ」
「……羨ましいわ、あなたのそういう図太いところ」
アオイのジト目もはっきり見えるくらいには明るい。
そろそろ出発するか。雪がタイヤの跡を消してしまわないうちに。
「アオイ。まだ眠いとか、寝起きで体がダルいとか言わないだろうな?」
「言わないわよ。これでも、寝覚めはいい方なのよ。いつだって出発出来るわ」
「そうか。それはよかった」
実は、俺は朝が弱い。よって、今物凄くダルい。
けれど、雪がタイヤの跡を消してしまいかねないので急がなければいけない。
結論。
「アオイ。おんぶ」
「ふざけているのかしら?」
大真面目だバカヤロウ。
「お前はダルくないんだろ? 俺はダルいんだ。本来なら二度寝をしっかり決め込まなければ起きられない体質なんでな」
二度寝しなかっただけでも称賛に値する。
「そんなに眠たいのなら、寝ててもいいわよ」
ゆらりと、アオイの体が揺れる。
両腕の指を鳴らして、暗黒色の笑みを浮かべながらアオイは言う。
「寝てるあなたの足首を持って、引き摺っていってあげるから」
目が覚めた時、背中の布地はすり切れてなくなってるかもしれんな。
しょうがない。歩くか。
生あくびを噛み殺し、俺たちは洞窟を出た。
……寒いっ!
汗を搔いていたから急激に体温が下がっていく。
それもこれも、俺にしがみついて離れなかったアオイが悪い。
というわけで、責任を取ってもらう。
前を歩くアオイに、背後から抱きついた。
「ぅきゃぁあああっ!?」
雪崩を呼びそうな絶叫が一面の銀世界に響き渡る。
「うるせぇよ、お前」
「あ、あな、あなたが悪いんでしょう!? っていうか、何をしているのよ、いきなり!?」
「寒い時に暖を取るのは当然だろうが」
「ひ、人のことを暖房器具扱いするのはやめてくれないかしら!?」
「黙れ湯たんぽ」
「誰のあばらが湯たんぽみたいだというの!?」
「……んなこと言ってねぇだろ」
まったく。
隙あらば貧乳ぶろうとしやがる。俺に気に入られたいって気持ちは分からんではないが。
「しかし、歩きにくいな」
「なら離しなさいよ! っていうか、いつまで抱きついているつもり!?」
「温かくなるまでだ」
「もう十分温まったでしょ」
「バッカ、気候がだ」
「春までこうしてるつもり!?」
俺は知ってるんだよ。
こういうのは、離れた瞬間寒くなるのだ。
「そんなに寒いんなら、わたしをおんぶして歩いたら」
「ふざけんな。巨乳を押し当てられたらたまらん」
「押し当てないわよ!」
「とにかく却下だ」
雪道で人をおんぶするとか、あり得ないだろうが。常識的に考えろ。
あ、でも待てよ。
「お前が俺をおんぶしろ」
「お断りよ」
ちっ、わがままな。
「とにかく、これじゃ歩けないわ。離れて」
「しょうがねぇ……手だけで我慢してやる」
「はぁっ!? ちょっ、手、手をつないで歩くつもりなの!?」
「いいから早く来い。また雪が降ってきたら、今度こそタイヤの跡が消えちまうぞ」
朝になって、雪はやんでいた。タイヤの跡は、うっすらとだがまだ確認出来る。
しかし空は分厚い雲に覆われている。所々切れ間があって太陽の光は差しているが、耳が千切れそうな寒さは健在だ。いつ降り出してもおかしくない。
「ほら、急ぐぞ」
「ちょっと! 引っ張らな……ぅきゃあ!?」
つないだ手を引っ張ると、アオイが盛大に転んだ。
「鈍くさいヤツだな」
「だ、誰のせいよ!?」
お前が鈍くさいのは、両親の遺伝子のせいなんじゃないのか?
「き、昨日から、ちょっと、いろいろあり過ぎて……今、ちょっと冷静じゃないのよ!」
そんなことを怒鳴られても。
俺に抱きつかれて浮かれちまってるってことだろ?
感激で心がぽわぽわしてんのか。そうかそうか。
「よかったな」
「よくないわよ!」
あっ、こいつ。雪を投げてきやがった!
一瞬俺が身を引いた隙に立ち上がり、服に付いた雪を払う。
そして、俺を睨んで恨みがましい声を出しやがった。
「とにかく、今後一切、いきなり抱きつくような真似はしないで! いいわね!」
言いたいことを言ってそっぽを向き、勝手に歩き出す。
俺の手を引いて。
「素直に、手がつなげて嬉しいと言えばいいのに」
「人助けでつないであげてるのよ!」
「へいへい」
「ホントだからね!」
「へいへい」
ぎしぎしと軋む雪を踏みしめ、俺たちはタイヤの跡をたどっていった。
タイヤの跡は、ブクレウスへの道から大きく逸れて、海へ向かって延びていた。
微かに、潮の香りがする。
「随分歩かされたもんだ」
「そうね。魔導三輪泥棒、すごい体力よね」
確かに。
あんなクッソ重たい車体を押してこの雪深い道を歩いていたのなら、相当な腕力と体力の持ち主と言えるだろう。
きっとゴリラみたいなムキムキのオッサンが犯人に違いない。
「殺処分だな」
「物騒なこと言わないでくれるかしら?」
「『ぷちゅっ』って潰しちゃうぞ☆」
「可愛らしく言わないでくれるかしら!? 一層物騒さが増したから!」
言い方などどうでもいい。
俺のモノを奪うヤツは明確な俺の敵で、俺の敵は情状酌量の余地なく極刑なのだ。
後悔させてやるぜ。欲に目がくらんで、この俺のモノに手を付けたことをな。
タイヤの跡を追っていると、徐々に道が細くなっていった。
切り立ってはいない、その気になれば結構な高さまで登っていけそうな傾斜の崖が向かい合い、天然の細い道を作り出している。そこは馬車が二台ギリギリすれ違えるくらいの狭さで、この入り組みようなら隠れ家を作るには打ってつけだなと思わせるような地形だ。
「止まれ!」
崖の上から声がかけられたのは、そんな場所でだった。
声は、若い女のモノのようだった。
傾斜の中程。
俺たちのいるところからおよそ20メートルほど先にそいつは立っていた。
比較的足場のしっかりしていそうな岩の上で、銃身のやたら長い魔銃を持った女……おそらく女だと思われる。
長い腰巻きをはためかせ、両手足と胸に鈍く輝く鉄製の鎧を纏い、頭全体を覆うような兜を被っていた。厳つい格好だ。
「寒がりか?」
「バカじゃないの?」
「でなけりゃ、友好的ではないってことか」
「でしょうね」
完全武装の女を見上げアオイと言葉を交わす。
その間も、銃身の長い魔銃はこちらに向けられていた。
「この先には何もない。直ちに引き返せ」
バカか、あいつは。
何もないなら、テメェがそこで声を張り上げる理由がねぇだろうが。
そんなもんは、この先には知られたくない重要な何かがあると宣伝しているようなもんだ。
「何もないなら通してくれ。ちょっと用事があるん……」
「だ」と、言い終わる前に、女が魔銃をぶっ放しやがった。
拳大の魔力の塊が、俺とアオイの間に着弾する。
ヤロウ……撃ちやがった。
「もう一度だけ言う。最後の忠告だ。引き返せ」
銃口が、俺へと向けられる。
ふ……無知とは罪深いものだな。
この俺にケンカを売るとは、命知らずなヤツだ。
「ドモン。どこかにマソリンタンクがあるはずよ。それを破壊すればあの銃は使えなくなるわ。それを探して……」
「必要ない」
声を潜めてアオイが提案を寄越してくるが、そんな甘っちょろい対応をしてやるつもりはない。
「盗人猛々しいとはよく言ったものだな。人様の魔導三輪を盗んだ挙げ句、その持ち主に銃口を向けるとは、救いがたいクズだ」
「……身に覚えがないな」
「そうかい」
あくまで謝る気のない兜女に魔銃を向ける。
「ふん、オモチャみたいな小さな銃だな。マソリンタンクも持たずに、そんなオモチャで何が出来る?」
「その目で確かめろよ」
魔力を込めて発砲する。
獣の咆哮のような音を発し、魔弾が射出される。
通常弾の四倍ほどの魔力を込めた強力な魔弾が、兜女の立っていた岩場を破壊する。
「くっ!?」
バランスを崩し、岩場からジャンプする兜女。
人間とは思えないような身のこなしで崩れる岩の欠片を足場にして大ジャンプを繰り出す。
ふわりと舞うように体を回転させ、空中で前転をしてみせる。
そこへ、魔弾を一発お見舞いしてやる。
「なっ!?」
俺の撃った魔弾が兜女の腰巻きを掠めて、その向こうの崖へと激突する。
「……っと!」
俺の発砲に少しバランスを崩しながらも、なんとか着地する兜女。
膝と手を突き、うずくまるように地に伏す。無様な着地だ。
「マソリンタンクも無しに魔銃を……まさか、こいつも私と同じ……いや、そんなバカな」
なにがしかの言葉をぶつぶつと呟きこちらを見る。
落下の影響か、俺が魔銃を撃ったからか、兜女はパニクったように動きを止めていた。
それをのんびり待ってやるほど俺はお人好しではない。
魔銃を構え、銃口を兜女の額に向ける。
息を飲み、兜女が慌てて立ち上がる。やや後方に身を引いて、俺から逃れるように。懸命に、銃身の長い魔銃を抱きかかえるように。
慌てて立ち上がり、両手で魔銃を抱えたせいだろう。
兜女は立ち上がった直後にはらりと地面に落ちた腰巻きを押さえることが出来なかった。
足を覆う鈍色の防具から真っ白な太ももが顔を覗かせている。
左右共にすね当てと膝当てを付けているが、もも当ては左脚にしか付けていない。右脚は太ももが丸出しだ。
そして、その上。
腰の下、脚の付け根の上のその場所には、真っ白い三角形の布が局部を覆うように装着されていた。
「パンツ丸出しだな」
「きゃああああ!?」
魔銃を投げ出し、地面に落ちた腰巻きを急いでたくし上げる。
腰に巻き付けるのももどかしく、ついには適当に掛けただけでへたり込んでしまった。
腰当ても、脚の付け根を守るために腰の左右にぶら下げる草摺も着けていないため、360度どこから見てもパンツ丸見えだった。
「何をしているのかしら、あなたは!?」
女の子っぽい悲鳴に感化されたのか、アオイが敵の立場に立って俺を非難がましい目で睨んでくる。
「崖から飛び降りてくる時に、腰巻きがはだけるように結び目を撃ち抜いておいた」
「なんでそんな器用で奇妙なくだらない技術を身に付けているのよ!?」
バカモノ。
俺の銃の腕前は相当なものなんだぞ。腰巻きを脱がせるくらい朝飯前だ。
「確認したかったのでな」
「パンツの色を、かしら?」
「アホ」
誰がそんなスケベ心を戦闘中に発揮させるか。
「こいつの【ピアレスランド】の場所を、だよ」
「え……この人、マザーボードなの?」
あんな身のこなしが出来るヤツが一般人なわけないだろうが。
まぁ、あぁいう芸当が出来る人間もいるにはいるけどな。それも結構な数。
だが、こいつは間違いなくマザーボードだ。
「小憎たらしいことに、俺と同じくマソリンを使わずに魔銃が撃てるのはそのためだ」
「体内の魔力を魔銃に転送出来る【部材】があるの?」
「あるぞ。ちょっと値が張るけどな」
もっとも、魔力を放出するという特性上バッテリーの消費が激しくなるので、実践ではあまり使われないマイナーな【部材】ではあるが。
「ざっと魔力を読んだところ、こいつの【ピアレスランド】は右の内ももにあると分かったんだ」
「本当に器用ね、あなた」
特別製なんでな。
「ただ、その【ピアレスランド】の魔力がちょっと異常な感じがしたから、直接見て確かめたかったんだ」
「あ、それで腰巻きを……」
「ま、そういうことだ」
俺たちの会話を、兜女改め白パンツちゃんは黙って聞いていた。
顔だけはしっかりとこちらに向けて。おそらく、すげぇ睨んでいるのだろう、あのフルフェイスの兜の下で。
「それで、異常は見つかったの?」
「それがな……」
俺が声を潜めると、アオイはゴクリと息を飲み、白パンツちゃんは肩を強張らせた。
女二人が固唾を飲んで俺の言葉を待っている。
大きく息を吸って、ゆっくりと口を開く。
「パンツに目が行って見てなかった!」
「バカなのかしら!? あぁ、そういえばさっき『アホ』って言ってくれたわね? そっくりそのままお返しするわ、熨斗をつけてね!」
キャンキャン吠えるアオイの向こうで、白パンツちゃんが兜の下から「ふしゅー! ふしゅー!」と荒い息を漏らしている。
いや、だって。
そんな重装備の下から、あんな純白のパンツが出てきたら、そりゃ見るだろう。
「……バカにして……っ!」
悔しさを滲ませて、白パンツちゃんが自身の魔銃に手を伸ばす。
が。そんなこと、俺が許すわけがない。
「――っ!?」
伸ばした手に魔弾を浴びせる。
『殴打』程度に威力を落とした魔弾を。
それでも痛みは相当だったようで、白パンツちゃんは痛む右手を左手でぐっと握っている。
「これから俺が三つの命令をする。そのすべてを素直に、速やかに実行するなら命だけは助けてやる」
「…………」
白パンツちゃんは何も言わない。まぁ、言えないわな。
「一つ。俺の魔導三輪を返せ。二つ。テメェの正体を見せろ。で、最後は…………」
ん~……何にしようかなぁ。
「思いつかないなら、『三つ』とか格好つけるのやめなさいよ」
バカ、お前。
こういう場面で数を指定するのって、めっちゃかっこいいだろうが。
「五秒だけ待ってやる」とか、「二つ、お前はミスを犯した」とか。
「じゃあ、マソリンでももらったら?」
「は? マソリンなら、お前が帝国兵から強奪したヤツがあるだろう?」
「ちょっ!? 人聞き悪い言い方しないでくれるかしら? 戦利品よ」
「で、その戦利品はどこにあるんだよ?」
「捨てたわよ」
「はぁ!?」
こいつ、バカなんじゃねぇの!?
「昨日の夜、あわや遭難って場面で、あんな重たい物背負って歩けるわけないでしょう!? あなたの魔導三輪が盗まれていたって分かった時点でその場に放置してきたわよ」
……なんてヤツだ。
それじゃあ、魔導三輪が見つかっても動かせねぇじゃねぇか。
なんのために俺があの田舎町コルンに向かったと思ってんだよ……
「振り出しに戻された気分だ……」
「だから、三つ目はマソリンにしときなさいって」
それしかなさそうだ。
この白パンツちゃんも、何もない雪原に住んでいるわけではないだろう。
どこかにアジトか住処があるはずだ。そこに行けばマソリンくらいはあるに違いない。
「じゃあ、お前のアジトに案内してもらおうか」
魔銃を向け、白パンツちゃんに命令する。……あ、四つ目になっちゃった。ま、細かいことは気にしないでおこう。
「……断る」
短い、小さな囁きが聞こえた。
視線を向けると、フルフェイスの兜がこちらを見据えており、先程よりもはっきりとした声で言う。
「あなたたちに従うくらいなら、私は死を選ぶ」
……あぁ、そうかい。
「なら、しょうがねぇな」
魔銃に魔力を込める。
雪鴛鴦にお見舞いしたのと同じ、フルチャージだ。
この距離なら、人間の頭くらい簡単に吹き飛ばせる。
バチバチと派手な音を立て、魔銃の銃口から青白い火花が散る。
「お前が強情だから悪いんだぜ」
呟いて、最高にあくどい顔で笑ってみせる。
「じゃあな」
「ドモン、ちょっと待――」
「「「待ってっ!」」」
アオイが言い終わる前に、崖の向こうからわらわらとガキどもが姿を現した。
「あなたたち! ダメよ! 隠れていなさい!」
白パンツちゃんが慌てたような声で叫ぶが、ガキどもは止まらない。
俺と白パンツちゃんの間に体を割り込ませ、小さい腕を必死に伸ばして自らを盾にする。
小さいガキが三人、白パンツちゃんを庇うようにして立ち、泣きそうな顔で俺の顔を見つめてくる。
「さぁ、話を聞こうか。白パンツちゃん」
「……あなた」
何かを言いたそうだったが、それを途中でやめ、白パンツちゃんは静かな声で呟いた。
「……ついてきて。案内するわ、私たちの家へ」
その後、腰巻きを巻き直した白パンツちゃんに連れられて、俺たちは崖の向こうのアジトへと招待してもらった。
《宮地班長のはんだ付け講座》
【酸化】
皆様もご存じの通り、所謂『錆びる』という現象です。
鉄が空気中の酸素と結合して、はんだするのにあまりよくない状態になります。
実際、はんだ作業において【酸化】は作業効率を下げる煩わしいヤツです。
「はんだがノらない」「濡れが悪い」などと言われ、熱を加えてもはんだが綺麗に溶けてくれなくなります。
それを解消するための装置も開発されていて、最近ですと、【酸化】の原因となる『酸素』を退かせようと、『窒素』を噴出するはんだゴテなんてものも登場しました。
【ランド】に『窒素』を浴びせることで、その周りの『酸素』をなくし、【酸化】させない装置です。
すごい物を考えたものです。ただし、『窒素』が物凄い吐き出されるので、そこで全力深呼吸とかしちゃうと酸素欠乏で倒れちゃったりするとかしないとか(そもそもそんなことを試みる人はいないとかなんとか)。
作中では【マザーボード】の感情によって【酸化】するという設定になっています。
仲の悪い【マザーボード】には【ソルダリング】がしにくく、逆にラブラブな二人なら【ソルダ】もいい感じに【濡れ】てくれると、そういう設定です。
ですので、アオイがいい感じで【濡れ】た際は、どうかご一緒ににやにやしてやってください。
口ではなんと言おうと……って。