◇第3話◇ 後輩
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別に私の中に神様がいるって言われても、別にたいして驚かなかった。
(あの時はちょっと急だったし、少しビックリしただけだから!)
だって冷静に考えてみると思い当たる節はないわけではないんだもん。
私は小さい頃の記憶はないし、不思議と『何かに守られてるのかな』と感じた事は結構あったんだ。
それが神様だなんて思わなかったけどね。
というか、あの後私達は屋上にいるところを先生達に見つかって、こっぴどく叱られた。『入学早々何サボっとるんだ!!』ってね。『まったく…先が思いやられる』とかなんとか言ってたけど、そんな事気にしない!
今はその学校からの帰り道。鈴ちゃんや朔ちゃんに、一緒に帰ろうと誘ってみたんだけど、みんな今日は用事があるらしい。だから私は今1人で帰っている。
しばらく何も考えずに歩いていたら、私がつい最近まで通っていた学校の門まで来ていた。
生徒がぞろぞろ出てくるから下校時間なのだろう。
ボーっと校門で立っていると、後ろから声を掛けられた。
「センパイ。」
「ひっ!」
「ひっ!って…。ひでぇな。」
「だって後ろから声掛けられるの今日で二回目なんだもん。」
「はぁ?」
声を掛けてきたのは中学の後輩の緑川叶君だった。私と同じくらいの背で髪は茶色に染めている。
これでもこの学校の生徒会長。(不良だけど)
「そっそれより叶君も今帰りなの?」
「え?えぇまぁ。今日は部活も生徒会もないし。」
『へぇそうなんだぁ』と言いながら私は歩きだした。それと一緒に叶君もさりげなく横に並んで歩いてくれる。
叶君はクールであまりしゃべらない。感情を表情に表さない人だ。
「センパイ、高校山坂なんスね」
私の制服をチラっと横目で見ながら言う。
「そうだよ。地元だし、私そんなに頭良くないしね。」
「でも…あんまブレザー似合ってませんよね。」
ニヤっと笑いながら私を見る叶君。
気にしてる事をグサッと突いてくるなこの子は。
「ち、違うよっ見慣れてないからそんな事思うんだよ」
私は必死に弁解した。
「そうですか?別にいいですけど」
何!?今度は『どうでもいいよ、そんなこと』みたいな顔してるし!まったく最近の若い子ときたら!
「何怒ってるんですか?」
不思議そうに私の顔を覗き込んでくる。多分顔に出てしまったんだろう。
「別に怒ってないもん。」
「明らかに怒ってるじゃないですか。…ぁぁ〜……さっきのブレザーの事ですか?」
「だから私怒ってないったら!!」
気づいたらかなり大声で怒鳴ってしまっていた。恥ずかしさのあまり顔が赤くなるのが自分でも分かるくらい。
「ごっごめん…。」
首を下に垂らしながら叶君に謝る。
叶君はそんな私の様子を見てクスりと笑った。(気がした)
「センパイは…変わってませんね。……何一つ」
「え?」
私は叶君にもう一回訊いたけど『なんでもありません』ってごまかされちゃった。たいした事じゃないと思うから別にいいけど。
そんな事話してる間にもう別れ道。
「じゃ、センパイ…気を付けて」
「うん、じゃあね叶君。」
私は手を振って別れの挨拶をした。
そして自分の家の方に歩き出して数歩。
後ろから声が聞こえた。
「センパイ…─制服似合ってますよ─」
それはさっきまで一緒に歩いていた後輩の声で。
最後の方は小さい声だったけれど、確かに聞こえた叶君からの言葉。
彼はその一言を言うと、歩いて帰ってしまった。
彼が見えなくなったのを確認し、私は前を向いて歩き出した。
「ありがとう」
と、感謝の言葉をそこに残して。
なんか小説って難しいですね。