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ここは自然界。自然の全てを司り、守る所。 自然界は空に浮いていて、地上界からは見る事は出来ない。個々に村や町があるが、大きく分けてナルティノとヨキスナという二つの国に分かれている。
自然界には二つの森がある。一つは、周りを囲む精霊の森。そして、もう一つは、ちょうどナルティノとヨキスナとの境界線の役割をしているヘルムの森である。
この時代、両国では紛争が絶えず起こり、ナルティノでは城に居る兵以外に一般の者の警備兵というものを作った。若い者は十四歳から警備兵になる者もいた。ただ、国を守りたいがために。
警備兵の中に、ケイン・ナーベラーがいた。白いシャツに、胸元を開けて青と黒のベストを着ていた。歳は十六歳で、剣士である。薄緑色の髪のロングで、後ろで一つに結んでいる。髪と同じ色のピアスを付けている。
もう一人がローズ・インダース。水色の襟付きのタンクトップにスカーフを巻いている。髪は腰の部分で結んでいて、きれいな黒髪だった。薄黄色のピアスを付けている。ケインと同じ歳で、剣士である。
二人はパートナーとなり、大いに剣を振るった。
太陽が真南に昇り、少しずつ西へ沈んでいる頃。
彼はただ、城の廊下を歩いていた。窓からは昼の日差しが差し込んできて、目を細めた。
後ろから誰かが走ってくる足音が聞こえた。少しずつ近づくにつれて誰なのか分かったが、振り向くのは呼ばれてからでいいだろうと彼はそのまま歩いていた。
あと五秒、四秒と数えながら、足音の主を待っていた。
「ケイン!ここにいたのね。探したんだからね」
ローズは息を少し上げながらケインの前で立ち止まった。
「どうしたんです?ローズ」
「のん気なこと言ってないで。はい、あなたの剣」
ローズは右手に持っていた剣を投げて、ケインに渡した。
ケインは右手でそれを受け取って、鞘に付いているベルトを腰に締めた。
「国王からの伝言ですって。ヘルムの森に妖怪がいるから、村とかに影響を与える前に、ちょっと蹴散らしてこいと言うことよ」
「で、僕を探していたんですか?」
「そうよ。森を出られると厄介だから早く行くわよ」
ローズとケインは廊下を歩き出した。
「分かったけど、僕たちだけで?」
「そうみたいよ。あちらさんも人数は多くないらしいから、私たちに任せるそうよ」
「その言葉怪しいですね。いっぱいいそうですけど……」
「心配する前に走る!」
ローズはケインの背中を押して、ケインも一緒に走った。
「それで、僕たちが死んだら、国王はどうするんでしょうね」
「埋葬ぐらいはしてくれるんじゃない?君たちの勇姿は忘れないとか言ってさ」
「すぐに忘れてしまうでしょうね。忙しい人ですから国王は。死にたくありませんねー」
ローズはすぐに言い返した。
「当たり前でしょ。まだ若いのに、死にたくないわよ」
ローズの真剣な顔が見える。
「それもそうですね」
ケインは少し笑っていた。