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(堕)天使と“僕”  作者: 水住うゆに
(堕)天使と天使と“僕”の話
4/19

(堕)天使と弟と僕  前編

どうしようかこのチンピラ。っていうのが正直な感想だった。

だって絶対面倒くさい。ルシファーに会わせても、会わせなくても面倒くさい!

大体この弟君の変わりよう、ルシファー知ってるのかな…知らないよなぁ、ガブリエルとも千年振りって言ってたし。人だって数年で変わるんだから、天使とはいえ千年たってりゃココまでなるか…なるか?だって天使なのにチンピラって!

「おいこら人間、話し聞いてんのか」

「聞いてるよ…」

面倒くさいなぁ、もう。大体ルシファーお昼寝中だし、どこにいるのかなんて僕もわからない。

「なんかルシファーの話しとずいぶん違うなぁ…」

「…テメー、どんな風に俺のこと聞いてやがった…?」

ミカエルの眉間にしわがよる。せっかく整った容姿なのに、そうするとやけに子ども染みて見えた。

「よく出来た自慢の弟だ、って」

「…」

正直に言ってやったのに、ミカエルは黙り込む。気まずい沈黙。

するとそれをぶち壊すかのように、すでにぶち壊された窓からまた一人人外がやってきた。

「ここですかミカエル覚悟!」

剣を持ったガブリエルだった。

「っぶね」

「っていうか何で天使って人んちで刃物振り回すの…」

しかもこの人一応、天使長だという話なのに。謀反?

「ああ、まだルシファーとは出会っていませんね。よかった。ほら帰りますよミカエル、このお家のことは忘れなさい」

「うるっせーよ!だいたいガブリエル、お前俺にルシファーのこと黙ってたろ!そこのやつらがおどおどしてたから締め上げたら、お前に口止めされたと白状したぞ」

窓の外には以前ルシファーに突っかかってきた「ひよっこ」天使3人組。と、苦労人ウリエル。

締め上げて吐かせたって、ますます天使じゃないなこいつ。

「当然じゃないです、あなたにそんなこと知らせた日には、天界の危機ですもの」

「訳のわからねえことを…」

あー本当、帰ってくれないかなこいつら。訳がわからないのは僕の方だってのに。

目線でウリエルが申し訳なさそーにしているのもいたたまれない。苦労人だな、こんな人たちに振り回されちゃって。

「とにかく!俺はあいつに会うまで帰らねーからな」

「このチンピラ天使長が…」

あ、やっぱり天界でもチンピラ扱いなのね。っていうかガブリエルも口悪いな。

しかし、部屋に天使が二人。その上片方は、この間の来訪時に、僕に攻撃を仕掛けてきた人。…あれ、僕やばくない?

この間はルシファーに助けてもらったけど、今はお昼寝中。今回はやられ放題だ。

僕の視線に気がついたのか、ガブリエルと目が合った。と、初対面時と変わらぬ、よすぎる笑顔を向けられた。

「あぁ、ご安心ください。事情が変わりました。今回は攻撃しませんよ」

…よかった、んだろうなー。それって事情が変わらなかったら攻撃してたってことだし、このあともまた事情が変われば敵対するんだろうけど。

しかしそれを考えていてもしょうがない、んだろうなぁたぶん。開き直って会話でコミュニケーションを試みた。

「あの、ガブリエル、さん」

「呼び捨てでいいですよ」

「じゃ、ガブリエル。その、ミカエルって本当に天使なの?」

「ええ、あのルシファーの弟です。似てないでしょう」

「そりゃまあ。ルシファーから聞いてた話しと、全然違うっていうか…」

「どのように?」

僕はルシファーから聞いた、『よく出来た自慢の、可愛い可愛い弟ミカエル』の話を出来るだけ忠実にガブリエルに伝えた。ミカエルのほうは見ないようにして。なんだか段々顔が赤くなっていっているけど。「…っ、あの野郎」とか呟いてるけど。

聞き終わると、ガブリエルはなるほどと笑った。

「つまりはルシファーはアホだということです」

言い切る。

バッサリだなー、この人。前回来訪時も思ったが、この人はルシファーのことが大嫌いなのかもしれない。

「実際のミカエルはこんなです」

こんな、とミカエルを指差した。眉間にしわを寄せたミカエルは、自身のチンピラっぷりに自覚があるのか、「うるせー」とガブリエルを睨む。その程度じゃこの人、動じなさそうだけれど。

「まぁ昔々、ルシファーがまだ天界にいたころは、そんな弟の存在が確認されることもありましたけれどねぇ」

「はっ、天界を裏切って俺に討たれて堕天して、さらにはガキの姿になってるやつを、兄だなんて思うわけねーだろ」

わぁ、ルシファーがこれ聞いたら泣くかも。ショックは受けるかもな、受けるよな、よし絶対あわせないようにしよう。

けれど空気が読めないことに定評のある堕天使様。

「む、誰か来ておるのか?」

──何故気づいたし!

空気が一気に冷える。椅子にふんぞり返っていたミカエルが立ち上がり、衝撃で椅子が倒れる。けれど立ち上がった状態から、何故かミカエルは動かない。

代わりにガブリエルが「しまった」と舌打ちを一つし、己の甘さを嘆いていた。

「斬り捨ててでも連れ帰るべきだった…」

「それは天使の発言じゃない!」

「天使?またガブリエルか…おぉ」

ミカエルではないか。

ルシファーはそういって、本当にうれしそうに笑った。

あまりに幸せそうに笑うものだから、その場にいた天使たちと、ついでに僕は、一切の言葉を失って立ち尽くしたのだった。一瞬。


一瞬だけな!


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