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僕と君だけの夏休み

作者:

高校1年生の僕、中3の秋に告げられた一言で止まってしまった運命、君と偶然出会ったことで止まった運命は動き始める。

プロローグ「君と出会った夏」

太陽が照りつけている夏休みの初日、だから僕は夏が嫌いだ。

夏は蒸し暑いし、異様に太陽が照っている、なのに僕の名前は照太(しょうた)

「太陽のように照って輝いて欲しい」とお母さんは付けたらしいが僕には全く理解できなかった。

「そういえば、終業式の日遊びに誘われたっけ」

僕は蒸し暑く渋々外に出た。

「おまたせー!待った?」

大翔(ひろと)は笑顔で走ってきた、その後ろには「君」がいた


第1章「始まったばかりの夏休み」

「誰だよその子」

僕は思わず口から出ていた、大翔は交友関係が広く友達を連れてくるのは想定していたが、まさか女の子とは思わなかった。

「隣のクラスの子!みんな遊びに誘ったんだけどこの子しか来なかったんだよね」

大翔は疲れているのか息を切らしながらこう言った。

「照太さん、初め…まして、私冬花と言い…ます」

彼女は緊張しているのか口ごもりながら自己紹介をした

僕のことは大翔から聞いてもないのに聞かされたのだろう、あいつはそういう奴だ。

「じゃ!まずは〜、そうだ!ラウワン行こ!」

大翔は僕が運動できないのにも関わらずラウンドワンを選択してきた、見た感じ彼女も運動が苦手そうだ。

僕は中学生の頃運動ができなくなった、それまでは運動が好きだった。その頃は自分の名前はぴったりだと思っていた。

「照太…後、1年しか生きられないって…」お母さんから告げられた言葉は中学生の頃の僕にはあまりにも残酷だった、そのあとの言葉は絶望と悲しみで上手く聞き取れずただひたすらに自分が死ぬまで運動ができないこと、そして1年しか生きられないことを痛感していた。

そして1年経つのが二学期の途中だ、僕の余命は大翔にしか伝えておらず、大翔にも誰にも言うなと釘を刺している。

「うそだよw暑いしカフェにでも行こ!」

大翔は僕たちをカフェに連れていった

カフェについて、みんな頼み終わってから

「ごめん!そういえばおばあちゃん家行く用事忘れてた!お二人で楽しんで!」

大翔は彼女と僕を残し代金だけ置いて去っていった。

「冬花さん…だっけ?改めてよろしくね」

よく見たら彼女は顔立ちは整っていて僕は一目惚れしてしまいそうだった。

そんな大翔からメッセージが来た。

「おばあちゃん達と旅行行くことになった…」

大翔がこの一週間遊ぶことが出来なくなったことを知り、彼女にもそういうことを伝えた

そんな中困惑の空気を切り裂くように頼んだコーヒーが来た、机に置かれたコーヒーカップを手に取った僕は

「あつっ」

しっかり温まっていたカップの熱さに思わず声が出てしまった

「照太さんって…案外ドジなんですね」

彼女は微笑みながらそう言ってくれた。

それから会話が無くなりしばらく経った頃

「そういえば連絡先交換しません?」僕は彼女に話しかけた、そしたらすんなり彼女はOKしてくれた。

意外と彼女とは趣味が合いすぐに仲良くなることが出来た。

家に帰ってからもメッセージを送っては送り返されていた、僕は彼女に送った。

「明日も遊びませんか?」

彼女は連絡先を聞いた時のように軽くOKしてくれた。

昨日は大翔だけだと思っていたからオシャレなんてしていなかったが、今日は彼女と遊ぶからできる限りのオシャレをした。

「おまたせ!」

彼女は時間通りに来た、当たり前か、大翔が遅いだけだ。

昨日の綺麗だった彼女は、更に綺麗だった、彼女と遊ぶようになり1週間が経つ頃には彼女とずっと遊びたいという気持ちから課題を終わらせていた。

その頃には、僕は「恋」というものをしていると自覚した、恋なんてしてはいけないとどこかで思っていた僕は恋をしている自分にびっくりしている。

僕は後悔をしたくないと思い、2週間が経つ頃には彼女を家に呼ぶようになり、今日僕は

「出会った時に一目惚れしてしまいました!僕と付き合ってください!」

告白をした。

彼女は嬉しそうだが少し戸惑ったような表情をしていた。

「よろしくお願いします…!」

彼女から返ってきた言葉は思ってもいなかった言葉で僕はびっくりと嬉しさで壊れてしまいそうだった、もう死んでもいい、そんな気持ちさえ生まれてきた。それからというもの彼女とはずっと話すようになって、夏休み中遊ぶ約束を立てた。


第2章「心の中の君へ」

付き合った次の日に僕は彼女に自分の病気について話した。

僕は不安だった、こんなこと言ったら彼女は離れて行ってしまうのではないか、彼女は僕のことを見捨てるのではないか、様々な不安が頭をよぎったが、彼女は告白した日のように僕に思いがけない返事をした

「そんなこと関係ないよ、余命が短いなら私ともっと遊ぼう」

彼女はほんの少し目を赤らめていたが、微笑みを僕に向けていた。

その日はそのまま駅前で遊び解散した。

「明日、海に行かない?」

彼女から送られてきたメッセージはそう綴られていた

「行きたい」

海は運動する場所、そう勝手にイメージしていたから少し迷ったが行くことにした。

泳ぎはしないが一応海だから水着を持っていこうと服屋で買って駅で彼女と合流した。

その日の彼女は白のワンピースを着ていて、すごく可愛かった。

「じゃあ行こ〜!」

彼女のはしゃぐ姿はすごく笑顔になる

僕は彼女にとことん惹かれている

彼女の思うがままに連れていかれていた、そんな時。

「バス、来ないなぁ」

彼女はそう呟いた

時間通りなら9時には来ているはずだがいつまで経っても来ない。

僕はスマホで調べてみたら旅行客の影響で道が渋滞しているらしい。

「バス渋滞に捕まってるらしい」

僕は彼女に伝えると

「え〜、どうしよう…」

彼女は慌てている、そんな姿も可愛いと思ってしまったが、そんなことは面と向かっては言えない、恥ずかしいのだ

駅から海までと家から学校までと同じ距離だがめんどくさい。

僕は彼女に

「せっかくだし、歩いていかない?」

そう伝えたら。

「照太くんと話せるし、いいよ!」

彼女の笑顔が戻ってきた、それだけで僕は凄く嬉しい

僕は彼女と話しながら海まで歩いた

「海だーー!!」

彼女は子供のようにはしゃいでいる

「もうちょい大人になれー」

僕は少し笑いながらそういった

彼女と僕はそれぞれ別れ着替えてきた

彼女の水着姿はこの世の全てより美しいのではないかと思うくらい可愛かった。

僕はパラソルを立てゆっくりしていた、彼女はそんな僕を見てかき氷を買ってきてくれたらしい。

「一緒に食べよー!」

彼女はあーんという様にスプーンで僕の口に近づけてきた、もちろんそんな経験は無かったため僕は顔を赤らめた。そんな顔を見て

「やっぱり照太くんっておもしろい」

彼女は微笑みながらそう言った

かき氷を食べ終わり、二人で砂の城を作ってみた、2人ともあまり器用じゃなかったから上手くは作れなかったけど二人で作ったということに価値があるって彼女は言ってた。

(パシャッ)

彼女は写真を撮っていた

僕はあまり気にしていなかった。

僕は海で泳ぐことや走ることは先生に許可されていない為できなかった、だからその日はかき氷を食べて砂で城を作って海辺から出た。

帰り道に彼女は

「楽しかったね、また来たいね」

そんなことを言っていた。

明日は花畑に行こうと彼女は言っていた、僕は花畑には行ったことなかった、だがあらかた想像はついていた、花がただ咲いているだけだと僕は思っていた。

「え、どうして」

その日は珍しく僕が人を待たせてしまっていた、僕は走ることが出来ないから誰よりも早く行って待たせないようにと思っていたのに。

「昨日の反応的に照太くん、花畑行ったことないでしょ」

彼女にはお見通しみたいだった。

「だから照太くんの花畑を見た時の反応が楽しみで早く来ちゃった!」

彼女は少し照れくさそうに微笑んでいた。

今日も彼女に連れられるように花畑まで向かった。

「わぁ!綺麗!」

彼女は目を漫画のようにキラキラさせてはしゃいでいる。

僕はびっくりしていた。

「こんなに綺麗なんだ」

僕は宝石のように輝いて咲いている花々を見て内心わくわくしていた

その日見たお花畑は、彼女の後ろ姿と相まって1番綺麗な景色だった。

僕の夏休みは色濃く記憶に残っていった。

それからというもの彼女と遊ぶことを繰り返し2週間が経った頃

「花火大会見に行かない?」

彼女はいつものように僕のことを誘った。

「行こ〜」

僕もいつものようにそう返事をした。

花火大会の日、僕はいつものような私服で家を出た、その日は快晴でまるで最近の僕の心を表すかのような天気だった。会場に着き彼女を待つ。

「おまたせ、待った…?」

少し照れてるような声をした彼女を見たら、可愛らしい浴衣を着ていて、しかも髪には綺麗な簪があった、そんな姿に僕は

「可愛いよ」

そう口から零れ出た、彼女は更に照れてるようで顔を隠しながら並んで歩き始めた、屋台がある場所に着いた時には顔を隠すのもやめ、屋台に夢中になっていた。

「何食べるー?」

僕は昔から好きだったりんご飴を買おうと思っていた。

「りんご飴買おうかなって思ってて」

彼女は微笑み頷いた

「いいね!一緒に食べよ!」

僕は2つ分のお金を出し2つ買う準備をしていた、彼女は僕の手元を見て1つ分のお金を僕のポケットに入れた。

「1つを一緒に食べちゃ…だめ…?」

彼女の言葉に僕は顔が真っ赤になった。

「いいけど…」

僕は照れくささと恥ずかしさでいっぱいになり、返答もまともにできていなかった。

無事りんご飴も買えて二人で食べ終わり、花火が綺麗に見れる場所へ移動を始めた。

「ここなんていいんじゃない?」

彼女は人通りの少ない公園のベンチを指さした、ここは丘の上にあり、花火を見れる場所になっている。

「いいと思う!」

僕と彼女は並んで座った、彼女は僕の方に頭を置いてもたれかかってきた。

「もう時間だね」

僕は花火が始まる時間だと思い、彼女に伝えた。

花火が打ち上がる、まるであの花畑で見たような宝石のように輝いて見えた花のように開き、美しく散る、そんな花火だった、花火が打ち上がって開こうとしてる時。

「ねぇ照太くん、好きだよ」

「来年も来れるといいな」

彼女はそう口にしたのを聞き取った、

彼女からはキラキラと輝く雫が数滴零れ落ちるのを僕は見た、いや見てしまった。

「そうだね」

僕はそう返事して、再び花火を見ることにした。

花火の時間は終わり彼女を家まで送りそこで解散した。

そこから1週間くらいいつも通り彼女と遊ぶ日々を過ごしていた。

ある日突然

「旅行に行かない?来週1週間使ってさ!」

彼女は夏休みの最後の週を使って旅行に行こうと聞いてきた。


第3章「僕と君だけの夏休み」

そういえば大翔に俺と冬花が付き合ったこと言ってなかったな。

僕はそんなことを思いつつ大翔にメッセージを送った。

「久しぶり!部活は相変わらず大変?急だけどさ、8月初めくらいから冬花さんと付き合ってるんだよね」

既読はつかない、あいつは部活で疲れて寝てるだろう。

僕は彼女に誘われた旅行の準備をしている、明日からだ。

4泊5日で行くらしい、忘れ物がないかだけ確認して僕は明日に備えて寝る。

非常に清々しい朝だ、今日僕は彼女と旅行に行く、楽しむことを最優先に駅まで向かった。

やはり彼女はまだいない。

「おまたせー!」

彼女はキャリーバッグ片手に向かってきている、僕もそうなんだが。

「それじゃあ行こっか!」

隣県までくらいなら行けるため、僕達は隣県の旅館に泊まる、そんな予定を立てている

「楽しみだね」

彼女はウキウキしている、僕たちは電車に乗った。

電車内では、二人で座って着くのを待った、僕とは対照的に彼女は楽しみで寝れなかったのだろう、僕の方にもたれかかって眠っている、この旅行は確実に楽しむと決めた。

旅館に着いた頃には昼過ぎになっていた、チェックインを済まして街に出た。

僕達の住む街にはない華やかな商店街やお店が並んでいる。海もあるし色んな場所やものがある。

初日は二人でお店でご飯を食べた、それだけで終わった。

旅館でテレビを見ながらゲームを一緒にした、その後旅館の夕食を食べ就寝した。

2日目僕と彼女は再び商店街に出た、

そこでしか買えないものを買ったり、そこでしかやれないことを思いっきりやった。

それだけで良かった、ほんとに楽しかった。

3日目僕は些細なことで彼女と喧嘩してしまった、僕が悪いのに、謝ることも出来ず部屋を飛び出して道も分からないのにあてもなく歩いていた。

その時だった、今まで感じたことの無い強烈な痛みが襲ってきた、頭の中ではわかっていた、この時には既に余命なんてほぼないのだと、だったら最後に彼女に、冬花に謝りたかった、もっと一緒にいたかった、なんで喧嘩なんてしてしまったんだ、そんなことを考えてるうちに僕は意識を失った、最後に見えたのは商店街の方々が駆け寄ってきている光景だった。

次に目を覚ました時、周りには家族と彼女、そして大翔がいた。

そこで医師に告げられた、もう余命が少ないこと、そして退院は出来ないこと。

家族と大翔は泣いていた、うるさいと思うくらいには泣いていた。

彼女だけは泣いていなかった。

僕に残された時間はあとどれ位だろう、そういうふうなことを考えながら2日3日と過ぎていった。

僕の病室に彼女はお見舞いに来ていた、彼女は目の当たりが腫れていた、おそらく泣いていたのだろう、それでも僕は気づかないふりをした。

そんな日が続いていた

「あれ、体が動かない」

僕の体は1回も動かなくなった、その場にいたのは彼女だけだった、病室には医師たちが入ってきた。

「今日が山場でしょう」

そんなこと言っていた。

そんな訳が無い、俺意識はまだある。

「2人きりにさせてください」

彼女はそう言ったのだろう

「ねぇ覚えてる?私たちが出会ったあの日、照太くんがコーヒーカップを手で持ってあつってなってたこと、一緒に海に行ってお城だけ作って帰ったこと…お花畑に…行ってさ…お花畑の中にいる照太くんが1番さ…綺麗だったよ…花火大会に行った時、照太くんのさ…隣に座って見る花火はさ…すごく綺麗だったんだよ…また見たいよ、また行きたいよ、ねぇ最後なんて嘘だよね」

彼女は僕との思い出を語っている、あぁもう目も見えなくなってきたや、けど彼女が泣きじゃくってるのはわかる。

「子供みたいだよ…もうちょい大人になれー」

もう声にならない声でそう言った。

「ねぇ冬花、大好きだよ、ずっと大好きだった」

「…」

彼女が何か言ってるのかな、もう何も聞こえないや

ある日俺は照太の墓参りに来ていた、

彼女の冬花ちゃんだけ置いて逝くなんてありえないと思っていたが、あの日俺も泣いていた、中学からの友達を1人失った悲しみは底知れない。だが冬花ちゃんは俺より交友期間も少ない、だけど1番辛いだろう。

「照太、またな」

初めまして、最です

読んでいただきありがとうございます

この作品は僕の初めての作品です

ぜひこれから出来次第新たな小説を投稿していくつもりです

どうぞこれからもよろしくお願いします

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