いざ、新天地へ!
荷物を纏め終えた私は屋敷を出て警備兵にお辞儀をした。
そのまま、王都にある錬金術師協会にやって来た。
ここは錬金術師をサポートする施設だ。
何故なら錬金術師は変わり者が多くて日常生活に支障が出たり円滑なコミュニケーションが取れなかったりと問題が多い。
ただ仕事は優秀なので国としては重宝している。
私は受付で国家錬金術師の証明書を出して相談窓口へと向かった。
「やぁやぁ、エレーナさん災難でしたね」
相談窓口にいたのは顔見知りのスタッフのジョセフさん、勿論彼も錬金術師だ。
「でもおかげで錬金術師として本格的に行動する事が出来るようになりました」
「お家を復興する、とかは考えてはいないんですか?」
「全くです、未練もあれませんしそもそも貴族令嬢なんて柄じゃありませんから」
私がそう言い切るとジョセフさんは可笑しそうに笑った。
「何かおかしな事言いました?」
「いえいえ、随分と見切りが良い発言だったので……、それで今回は何の相談を」
「活動拠点がほしいんです、出来れば王都から離れた自然豊かな場所に」
「なるほどなるほど……、それでしたらこちらはいかがでしょうか?」
ジョセフさんは地図を見せてある場所を指差した。
「王都から馬車で1日の距離にあるサワイ村という所で錬金術師を募集しているんです」
「何故、募集しているのですか?」
「田舎の村ほどなんでも作れる錬金術師は必要なんですよ」
なるほど、と納得した。
「この村には元々錬金術師がいたんですが老齢で引退してしまったんです、それで協会に新しい人に来てほしい、と依頼がありまして」
「わかりました、サワイ村に行きます」
即断即決、なんかピンと来た。
「わかりました、では紹介状を書いておきましょう、錬金術師の一連の道具は村に送っておきますので」
「ありがとうございます」
私は紹介状を貰いお礼を言って協会を跡にした。
そして乗り合い馬車に乗り込み新天地であるサワイ村へと向かったのだった。