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26 勇者の戦い

『天央山の(いただき)に封印されし、この伝説の流星剣でお前を倒す!』


 巨大な光り輝く美しい鶴の姿の敦に向かって、紅炎童子が剣を構えて叫んだ。ツノはあるものの、その凜々しい顔立ちは、まさに勇者という感じだ。


『で、伝説の隕石魔法でお前を倒す!』


 エゼルスィギルが少し恥ずかしがりながら叫んだ。その美しい顔立ちは、まさに勇者と一緒に冒険するエルフの魔法使いという感じだ。


『ナクァツァーシ、覚悟!』


『そうだ、覚悟!』


 取って付けたように、長槍を持った老鬼神と金棒を持ったブーヴが叫んだ。老鬼神はともかく、ブーヴは勇者一行というより敵の魔物という感じだが、まあ仕方ない。


 「流星剣」も「隕石魔法」も、敦が小学生や中学生の頃に格好良いと思って落書き帳に書き込んでいた、何処かで聞いたことのあるような設定だ。


 まさに中二病の黒歴史だが、こんなところで役に立つとは思わなかった。


 エゼルスィギルが出鱈目な呪文を唱え出した。黒歴史を思い出して恥ずかしくなっていた敦は、慌てて事前に打ち合わせていたセリフを言った。


『ふははは、我を倒せるかな?』


()ちよ、流星群!』


 エゼルスィギルが両手を空に突き上げて叫んだ。それに合わせて、敦は空から物体が落ちてきて地面が爆発するイメージを浮かべ、心の中で「爆発しろ」と(つぶや)いた。


 その直後、巨大な鶴の姿の敦の周りで、複数の爆発が生じた。敦の想像以上の爆発で、土砂が舞い上がり、小さなクレーターがいくつか出来た。


 敦が慌てて周りを見たが、幸い被害はなさそうだった。


『ぐ、ぐうう……』


 被害がないことを確認した敦は、呻き声を上げた。


 魔王軍とエルフ軍の双方から、歓声が聞こえてきた。皆、勇者一行を応援している。


『とどめだ、ナクァツァーシ!!』


 紅炎童子が剣を振り上げ、猛ダッシュでこちらへ走ってきた。敦が、格好良く光り輝く剣をイメージし、心の中で「輝け」と呟いた。


 紅炎童子の振り上げた剣が、青白く光り輝いた。紅炎童子が少し眩しそうにしながら巨大な鶴の姿の敦の足下に来ると、青白く光り輝く剣を振り下ろした。


『ぐああああ!』


 巨大な鶴の姿の敦は、翼を広げて自らを青白く光り輝かせると、事前に考えていたセリフを叫んだ。


『こ、ここで倒されたとしても、我は何度でも甦る。よいか、愚かな者どもよ。お前達が再び争い、我の安らかな日々を妨げたときは、この世界の終わりだと思え!』


『我は、ナクァツァーシは、天央山からお前達を常に睥睨(へいげい)していることを決して忘れるな……ぐふっ!』


 セリフを言い終わると、巨大な鶴の姿の敦は、魔王軍とエルフ軍の将兵が呆然と見つめる中、心の中で必死に空間転移魔法を唱えた。一回目は失敗してしまい、慌てて唱え直した。


 ちょっと変な間が空いた後、巨大な鶴の姿の敦は、転移の光に包まれた。転移する瞬間、敦は変身を解除した。



† † †



 敦は、昨晩野宿していた場所に転移した。巨大な鶴の姿に変身したことで服は弾け飛んでしまったのか、全裸姿だった。


「はあ、また裸か……でも何とか成功したみたいで良かったね、チュン子」


 敦は、誰も居ないが何となく両手で前を隠しながら、肩に乗ったチュン子に話しかけた。


 チュン子は嬉しそうに「チュン!」と鳴いた。

続きは明日投稿予定です。

明日完結予定です。

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