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13 夢

 ブーヴと鬼神達が食事をしている頃、敦はゲストルームで一人食事をしていた。


 食事は豪華だが、ずっと部屋に籠っていることもあり、食欲がない。チュン子にパンなどを分けてあげながら、敦はタメ息をついた。


 かなりの量の食事を残したまま食具を皿に置いた敦は、憂鬱な顔で粉薬を手に取った。


 今朝から毎食後に出されるようになったこの粉薬は、所長によると、胃腸の働きを良くする薬ということだった。


 敦としては、特に胃腸の具合が悪い感じはなかったが、所長から必ず飲むようにと言われ、今朝から渋々飲んでいる。


 粉薬は、少し甘味のあるものだった。水で飲んでしばらくすると頭がボーッとした。眠くなる効果でもあるのだろうか。


 今朝は軽い眠気を感じる程度だったが、飲む度に眠気が強くなってきているように感じた。


 敦はベッドに横になった。チュン子が枕元に飛んできた。


 明日、この薬のことをブーヴさんに聞いてみようかな。チュン子を撫でながらボンヤリと考えていた敦は、いつの間にか眠ってしまった。



† † †



 ふと気づくと、敦は真っ白い空間に立っていた。目の前に美しい女性が立っていた。敦は、何故かその女性がチュン子だと分かった。


 チュン子がこんなに成長するなんて、ご飯をあげ過ぎたかな、などと敦が考えていると、彼女は心配そうな顔をして話し始めた。


「敦さん、あなたに危険が迫っています。一刻も早くそこから逃げてください!」


 逃げるってどこへ? ブーヴさんの家? 敦がそう思ったとき、美しい女性になったチュン子が言った。


「天央山を目指してください。そこに行けば……」


 美しい女性になったチュン子は、更に何かを伝えようとしたが、どこからかドアを叩く音が聞こえた。敦は気が遠くなり、最後まで聞くことができなかった。


 敦は目を覚ました。いつの間にかベッドで眠っていたようだ。枕元にはチュン子がいた。


「ごめん、チュン子。最後まで聞けなかったや」


 チュン子が「チュン!」と一声鳴いた。心なしか怒っているようだった。それと同時にゲストルームのドアが開き、兵士が入ってきた。


 兵士から「夕食にお出しし忘れていたお薬がありました」と言われ、粉薬を手渡された。


 敦は気が進まなかったが、兵士が立ったまま敦が薬を飲むのを待っていたので、手渡された粉薬を水で飲んだ。夕食後に飲んだものより甘味が強い薬だった。


 お風呂の用意が出来たということで、肩にチュン子を乗せた敦は、兵士に連れられ部屋の外へ出た。


 昨日の浴室とは違う場所へ向かっているようだった。


 チュン子が敦の肩から飛び立ち、しきりに鳴いているようだったが、敦は頭がボーッとして、それ以上何も考えられなかった。



† † †



 翌朝、ブーヴが敦のゲストルームへ向かうと、入口の兵士に止められた。


「ナカアツ様は今日は誰とも会いたくないそうです。面会はご遠慮いただきたい」


 ブーヴは理由を聞いたが、兵士は同じことを繰り返すだけだった。


 警備隊の詰所に入ったブーヴは、自席の机にチュン子が留まっているのを見つけた。


「チュン子じゃないか。ナカアツに何かあったのか?!」


 チュン子は「ジジジッ」と鳴いたかと思うと、ブーヴの肩に飛び乗った。何かを訴えるように、ブーヴの肩と机を交互に移動しながら鳴き続けた。


 ブーヴは、急いで老鬼神の机へ向かった。

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