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駄目ダメな女子高生が迂闊に異世界に入り込んで、気づいたらもう現実世界には戻れない。  作者: 霞真れい
第七章:マイナス×マイナスがプラスになる
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狼の集落③~逆らえない使命(ルシカ視角)

 私にはやらなければならない使命がある。本来なら、それをうまく回避したはず。なのに私、今ここにいる。五、六年前のとき、家出した。嫌いだから、こういう権力闘争に。


 父は立派でカリスマ性のあるリーダーだから、自分もああいう完璧な人物像を目指さないと親の顔に泥を塗ると同然だ。みんなの期待が外れないように必死に自分を追い詰め込んだ。もっと、もっと、もっと頑張るのだ。そしたらみんなもきっと喜んでくれるでしょう。


 物心がつく前に、いつも周りの異様な眼差しを黙々と耐え続ける。何せ、これは族を統領する絶好のチャンスだから、数少ないやつが自分を磨くために多方面の勉強を極める。でも誰一人も私にかなわなかった。私は常に先頭でなきゃダメなんだ、みんなの前にいるのは私一人だけ。


 そうは言っても、父みたいに素敵なリーダーになるのは全部私の意思ではなかった。父の周りの大人が勝手に彼たちのくだらない希望を私に託した。こんな私でも、普通になりたいわけよ……そんな夢を見てた。


 それからいろんなことを学ばされて、特に魔法の方には厳しく訓練されてる。他の同世代の子供は広々とした草原で走り回ったり鬼ごっこもしたり楽しそうに見えるが。私にはそういう権利が与えられなかった。


「あんたは他のやつらと違って、特別なんだ」

「この族の未来は君の手にある」

「頑張ってやるんだよ、あんたの存在意味はそれだけだよ」


 そう。そういうたぐいの言葉のせいで、私は小さい頃から選民意識というものが植え付けられた。


 父はいつも頑張らなくてもいい、普通のままでいいから、そんなに自分を追い込まないで。と言ってくれたけど、もうどうだっていいんだ。


 でもいつから、それが退屈だと思い始めた。大人を従って従順のままに生きるのはもう限界だなんだ。だから、家出したいという発想が芽生えてしまった。そのきっかけとなったのは彼女だ。


 一見、この味気ない生活だが、私には幼馴染がいる。彼女の名前は「レナ」だ。レナはいかに変わったやつだ。付きっ切りで私の傍にいてくれて、面白い話もどんどん投げてくるし、私を笑わせようとる。根っからのいい子だ。


 私たちは小さい頃から、大人たちにとある真理を教わった。それが人間と接触するな、人間は我々の敵だ。そして魔女も同様だ。だがレナはその不合理な教えを右から左に聞き流した。彼女はいつも一人でこそこそと外の世界を覗き込む。毎回毎回新しい情報を持ってくるのだ。


 彼女は凄い嬉しそうに自分の見てきたこと、あった出来事も全部私に話してくれた。やがて私も外の世界に興味を抱き始めた。ある日、私は我慢できず、なぜそこまで外の世界にこだわるのかって聞いてみたら……


「人間のことが好き?」


「これは好きという気持ちじゃない、彼を知り己を知れば百戦殆からずってこと」


「それ全然違うじゃん……どこでその言葉を学んだの?」


「ふんふん……ルシカちゃんも一緒にいく?」


 うん。行きたい。その夢に描いた世界のこともっと知りたい。なんて……そのまんま言うはずもないから、黙っておいた。そして噓をついてしまった。


「そんなの興味あるわけが……」


「それはそうだよね……ごめん。だってルシカちゃんは将来凄いやつになるもんね」


 角の立たない言葉だったが、当時、私の心のど真ん中に命中した。めっちゃ痛かった。本当は行きたかったくせに、その本音を押し殺した。


 でもどんだけ抑え込んでも、いずれ爆発する時はくる。つい私も外の世界に手を出してしまった。


 あさっりとした決断に見えるが、結構長い時間を考えて苦悩した。その計画について誰とも話さなかった。


 そしてついにあの日の夜で、私は家出した。一つびっくりしたのは私のベッドの横に手描きの地図が置いてあった。場所の名前や注意点も隅から隅まで丁寧に書かれてあった。その筆跡は間違えなくレナのものだ。レナったらいつから気づいたんだろう……


 今思えば、いつも彼女に助けられたばっかだ。


 こうして私は果敢な一歩を踏み出した。初めてこんな綺麗な場所が存在するとは思いもしなかった。いつも奥の山に住んでいるから、外の世界を何一つも知らずまま生きていた。まるで井の中の蛙を大海を知らずだった。


 最初人間に出くわして、びっくりして木の後ろまで隠した。でもよく考えてみると、今の自分は人の形である姿だ。恐れることはないのだ。


 初め頃、人間に対する敵意はあったものの、人間は親しく私を接してくれた。


 なんでだろう、教えられたことと違うじゃん。


 それでとある小さな村に初めて人間の友達ができた。名前はもう覚えてない。覚えたくもない。とにかく記憶によるとしつこくて、うるさいガキだった。


 ほぼ私と同い年と思えないほど幼稚ですぐ抱きついてくれる甘えん坊だった。本当に手を焼く子だった。そんなめんどくさい人間だが、長くいれば少し見方が変わった気がする。あの純粋で無垢なる笑顔はこの世にもっとも一番の宝物と言っても過言ではない。


「ルシカ、いいところが知ってるんだ、一緒に行こう!」


「はぁ……仕方ないね、ついてあげる」


「やった!じゃ早く早く!」


「もう……せっかちなんだから……」


 毎日探検して、洞窟で宝探しもやった。これは本来私のあるべき生活に違いない。今は消してしまいたいけど、否めないのはあの日々は幸福だった。


 でもある日、女の子の住んでいる村が隣国に襲われた。それを知って私はカッとなって見せしめのために隣国のやつらを全部ぶっ潰した。女の子の村は助けられなかったけど、少なくとも彼女の無念を晴らせるでしょう。


「はぁ……はぁ……あんた無事ね、よかった」


「何をやってるの?」


 女の子は私に感謝の気持ちを述べると思ったが、向けられた眼差しはバケモノでも見ているような冷たい視線だった。顔から血の気が引いて青ざめた表情だ。その顔は爪痕のように記憶に鮮明に残っている。一生忘れたくても忘れられないシーンでしょう。


 自分の正体が暴かれるリスクを冒してあんたを助けてあげたのに……絶対私の味方だと思いきやそれが私の一方通行だった。なんで私はあんな視線を受けなければならないの?やっぱり怖いから?なら最初からあなたと接触しなければよかったのに。


 女の子は本能により他の魔導士に私の位置を晒した。彼らは人殺しと叫びながら私を襲った。なんだよ……冗談でも悪質すぎるよ。この前まではニコニコして笑いあってたじゃないの?全部噓ってこと?必死にあんたのために行動を取って、このありざまか……


 多勢に無勢で、私はぼろ負けた。だが幸いなことに私は九死に一生を得た。生贄の村の村長に引き受けてくれた。野良猫のような私を……


 彼の話からよると、この生贄の村にはかつて惨たらしいことがあった。原因は見知らぬやつが村に入り込んだからだ。同じ轍を踏まないように私はこの村を守るこにした。ここにいて、自由に思うように生きるし誰にも束縛されずに済んだ。見せしめ


 でも、ある日、思いがけない来訪者がこの村の平穏を破った。その時の私は知らなかった、あの子は私と旅をするなんて……


 あの子の名前は羚夏(れいか)だ。最初はそのぞんざいな態度にムカッとした。思ってたより変わった奴だ。何食わぬ顔して、世界の終わりが訪れるとしても、そんなの知るかという無愛想の顔つき。表情が読めないのは最初だけね。


 知れば知るほど、人間味のある人だ。村長がなくなったことは悲しいものの、それは自然の摂理だから。そんなに悲しむ必要ないのに。


 彼女はその冷え切った体の横で涙を見せた。なんで泣くの?と考えたがいくら考えようとも無駄だった。でもこっちに向けるとこっそりと裾で涙を拭う。平気な顔して、泣いてなんかいない、これはあまりにも不合理だから。というぼろが出ちゃう言い訳を盾にして、本当の自分を隠す。


 彼女についていきたい理由は、その何気ない一言だ。


「好きなところに行って、旅をして、誰にも届かない場所へ羽ばたこう、お前は自由の身なんだからね」


 その一言で私の胸に打ち込んだ。それで彼女の歩みについて行った。しばらく一緒になったから、彼女の意外の一面を発見した。ドジっ子でからかわれると反応が凄く香ばしかった。でも私はやっぱり忘れられないの、あの子のその寂しげな背中。時に彼女の瞳の中にはハイライトがなくなった、大体そういう時は一人でしょい込んいる時かな。


 話かけたいが、癇に障ったらどうしようと思う時もあって、やめた。


 彼女はこう言った。人と関わりたくないやら、過度の干渉はしたくないやらと言ったから、私は彼女のことを掘り下げたいという欲をおさまった。あえて彼女をペースを合わせる。でも彼女はどうやら変化が起きた。


 羚夏(れいか)は変わった。彼女は言ってた他人の領域を踏まないと宣言したくせに、私のことを掘り下げようとしてる。それだけはダメ。彼女に知られたら、もう元の関係に戻れなくなるかもしれないから、私は無情にも彼女の手を振り払った。


 やっちまったなと思った。なんだよ、その顔は。それはあなたの信条なのに、なんでそんな顔するの?


 それしゃあなたは長く生きられないのよ。表に出すぎるよ、なんでかんでも自分の感情や思う事も全部顔にさらけ出して、分かりやすいなんだよ。


 ああ……この間、あいつに大怪我を負わせたね。約束したのにな、彼女を守ってやるっと妄言を吐いてしまった。噓つきだと思われるのかなぁ……嫌われるのも仕方ない話。


 まぁそれはそれでいいよ、彼女のそばに私が居たら、余計な危機をもたら一方だ。だから彼女の眠っている間に私は逃げ出した。彼女が目覚めたら、最初に目に入ったのは私の顔だったら、きっといやでしょうね、多分、絶対。


 これは彼女のために。もしかしたらもう現実世界に帰ったかも、それは悪くない。なのに私の胸が締め付けられたような違和感を覚えた。


 これを考えるだけでじっとしていられないね、今頃あいつは何をやっているのだろう……


 うん……いっぱいあったわね……考えるうちに次から次へと出てくる記憶が蘇る。今回はこの辺にしておくか。


 そういえばさっきから、外がガタガタガタガタとうるさいわね……何かあったのかなぁ……


 まぁ、多分痛くも痒くもない侵入者だろう……どうでもいいよ。どうせ私に関係ないから、今は自分の役目を順調に、誰にも邪魔されず、この儀式を果たせばいいのだ。


 もうぼーっとしてる余裕はない、次の準備に参りましょう、これはみんなの生存問題にかかってる。今度こそはみんなの期待に答えられるように……

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