武器屋さんに喧嘩を売る…?
誤字、脱字や文法など自分なりに全部修正させていただきます。よろしくお願いします。
天羽はこうしてゆったりゆったりと歩き続き、いつの間にかシスターが言及した武器屋さんに着いた。外見からは老舗っぽいお店の雰囲気がなんだか懐かしく思える。
礼儀的にクァンクァンっと扉を叩く。返答はなかった。天羽はお邪魔しますと言いながらゆっくりと扉を押す、古臭い扉が原因でキィーと軋むような音を立てた。より神秘的な雰囲気が醸し出す。
「すいません。誰かいますか?」
一分ほど待っても誰も来なかった、少しイライラして天羽はもう一度問い直す。
「すいません。リテリアさんはいますか? 用事があるので」
当然誰も返答はくれなかった、返って来るのは冷たい金属音だけだった、平穏で一定的な速度でものをたたくような鈍い音を立てる。武器でも作ってるのかなあ? と自問自答した。
──少しぐらいここで待つか……それにしてもここは壮観だね。目をやると色々な武器が並べられて、武器の種類、色、形まで分類されてて、心地よかった。なんだかこれらを鍛鉄していた人の性格が滲み出てくるよね、どれもキレイでしょっちゅう手入れをしているように見える。
その時、天羽はとある武器に目を惹かれて、離れなくなった。輝く燃える宝石のようにキラキラしてる、凄く魅力だった。彼女はその輝きにうっとりしてて、つい手を出してしまった。
「誰か触っていいってつった?」
天羽は反射的に手を引っ込めて、声の主と目が合った。工房から出てきた赤い髪、切れ長の目の持ち主が眉をひそめて思いがけのない侵入者を睨む。タバコ含んで不機嫌そうに椅子に座る。今でも一触即発な空気が漂っている。
天羽は不服そうな表情で腕を組む。
「はい? 何回呼んでも返事こなかったから、勝手に店を見学してます〜」
赤い髪の少女は天羽の煽りに無視しさりげなく質問を聞く。
「ってことは自信満々の様子だが、面白い理由を考えておいたよね」
「シスターのアフデリアがこれを持ってって言われたから、これを持ってきた」
その後、天羽はカバンにある紙を引っ張り出して、ぐちゃぐちゃな状態でリテリアに渡す。
「確かに、アフデリアの筆跡だね」
「てことは……」
「それで?」
「迂闊にこっちの世界に入り込んちゃっだから、元の世界に戻る方法……」
「だから?」
「だから、ここに来たら解決法はあるって」
「ここは慈善事業なんてやってないぞ、初対面の人の頼みを聞くなんて私のやり方じゃない、何か面白い理由とか考えたんだろう」
「は? なんで私があんたの機嫌を取らなきゃいけないの?」
「そっちこそ、なんだその態度、人に頼みがあるのに、よくそんな口を。それにお前、本気で帰りたいか? そうには見えないけど」
まるで心の襞が読みきれたように、天羽は下唇を嚙みしめてうずむいた。
「まさか図星? わかりやすいね、お前」
「あんたみたいなガキに付き合うのは苦手だけど、まあいいか、お姉さんがとことん付き合ってやるよ」
「今なんて言った?」
リテリアは口に含んでいるタバコを取り出して耳を疑った。
「口が滑ったわ、手伝ってくれないと、この武器たち全部散らかしてやる」
天羽は一番近いの武器のコーナーに手を出そうとしている。
「なッ……! それって脅迫じゃん。まあいいよ、私気前がいいから、馬鹿の挑発には乗らない」
天羽は心のどこかで舌打ちしたが、表には出さなかった。
「じゃ……!」
「残念だが、ないね」
リテリアは灰皿にタバコを軽く打ち付ける。
「え? どういう意味?」
「文字通りよ、帰る方法なんてないわ。何年前かお前みたいな何故かこの異世界に入り込んでしまった人もいるよ」
リテリアはたばこを一口吸って、鼻から煙を吐き出す。
「その人はどうなってるの?」
天羽は身を乗り出しリテリアの言葉を待つ、周りの酸素が薄くなって来るのがはっきりと感じた。
「話によると死んだらしいよ。間が悪すぎて、ちょうど危険人物と出会ちゃってね、そしたら殺された。それだけ」
リテリアは天羽が無反応だから、頬杖をついてひたすら話題を展開していく。
「あいつもここに来たことがある。同じ問題にも聞かされた、それ以外もう会ったことない」
どうしようもない無力感が天羽の全身を覆い尽くす、呆れたような表情でそのままぽつねんと立っていた。
またしても表情に起伏がないので、おい馬鹿、大丈夫かと言わんばかりに天羽の目の前で手を振る。
現実に引き戻されて、意識が戻ってきた天羽は冷や汗が止まらなかった。
「上の空で人の話を聞くなよ」
リテリアは灰皿にタバコの先端を押し付けて、火を消す。
「あ、ごめん」
「そんな顔しないでくれ! 一応こうして私たちは出くわした、一面識ってこと。死なれたら困る、後ろめたさも感じるから、これあげるよ」
リテリアは引き出しから蒼い大海のような色の宝石が嵌められた匕首を天羽の手のひらに乗せた、そして優しく彼女の冷たい両手を包み込んだ。暖かくて、まるでお日様のような温もりが一気に天羽の不安を追い払った。
「私これ以上馴れ馴れしいことはできないから、これで落ち着いた?」
「ありがとう……」
「この匕首は私の魔力を入れておいたから、これでお前が魔法ができなくでも済むね。まあいっとくが、険しいところに行かないでね。本当に死ぬから」
天羽はただ軽く頷いて、手にある匕首をしっかりと握る。
「そう言えば、あんた名前は?」
「あ……」
まさか自分の名前まで忘れていないよねと言わんばかりに、リテリアは歪んだ笑いを口の端に浮かべる。
「そんなあるわけないでしょう。羚夏、羚羊のれい、夏っていう書き方。これが私の名前。」
「羚夏、いい名前だね、ご両親もいっぱいの思いを込めて付けた名前だろう、幸せそうだなあ」
「え。そうね」
何かを思い出したような顔をしてて、リテリアは猛然と机を叩いた。
「そうだ、自己紹介忘れてた、私の名前はリテリア、武器屋のリテリアだ」
「いや、知ってるし、わざわざ言わなくていいでしょう、自己アピール? 自分の存在を強めたいから?」
「辛辣だなあ、まあこんなにも元気で私にツッコむことが出来て、杞憂かもしれないね」
「ええ、確かに、余計なお世話だね、でもそれはそれ、これはこれ、一応礼を言う」
「素直じゃないなあ、まあいいっか。ちなみにおすすめの場所はあるよ」
「おすすめの場所?」
「もうちょい歩いたら、生贄の村につくよ」
──うわ……なんだその不気味な名前、名前から聞いたら絶対やばいやつじゃん、行ったらろくなことはないのに私に行かせるつもり? 何を企んでいる?
と色んな憶測が天羽を脳内に飛び交う。
「違う、ていうか顔に出すぎるよ、そんなじゃ生きられないのよ。私を信じて、あそこ安全だよ、名前は物騒だが人間を生贄にするなんてもうしない、昔の仕来りなんだ。その故で名前がそのまま保存してきたのよ。」
「なぜ私があそこにいかなければならないの?」
「行ってみればわかるさあ、何ことは挑戦だよ」
「挑戦したら死ぬかもね」
そうやって彼女たちは当たり障りのない会話を続き、夜になっても話が途切れなかった。
「もうこんな時間……今夜はここに泊まろう、うち旅館やってるので。お前どうせ金ないだろう、無料でいいよ。」
「さすがにちょっと……」
「なんだ、お前変なところに気を遣うなあ、変な人。いいのよ、疲れてるでしょう」
「ではお言葉に甘えて」
その日の夜、天羽はリテリアの旅館に泊まらせてもらった、風呂を浴びて髪を乾かす少し部屋にうろうろしてからベッドへ飛び込む。一日中振り回されて、身体がばててぐっすり眠れるかと思いきや目が冴えてる。
──やぱっり信じがたい。だが一つ否定できないのは迂闊に異世界に入り込んだこと。今日あった出来事はれきっとした証拠だ。明日はあのクソ不気味な村に行くしかない……
不注意なところ睡魔に襲われて、深い眠りに落ちてしまった、スヤスヤと熟睡してる天羽は夢を見た。
夢の中では天羽は幼い頃の自分を見て、あどけない顔つき、屈託のない笑顔、まさに子供の特有権利と言ってもおかしくない。
「○○○、これ見て! カエルさんをつかまえたの!」
「本当だ! 偉いわね羚夏ちゃん、でも傷つけたらダメよ、カエルさんは友達よ」
「うん!」
無垢なる笑顔をたたえた幼少期の天羽はカエルと遊び始め、楽しそうに見える……
ピピピピッピピピピッと携帯に設置したアラームがひっきりなしに鳴り響いた、うざいなあと思いながら天羽は枕の下にある携帯を模索して、高くかかげてアラームを消そうとするが、寝起きのせいか力が入ってこなくて、携帯が両手から滑って顔面に直撃した。その痛みのおかげですぐに起きられた。
天羽は痛みを堪えながら荷物を片付けて出発の準備をしている。
「おはよう。よく寝た?」
リテリアは刀を磨きながら天羽に問いかける。
天羽は拳を作って親指を立てて、荷物を肩にかける。
「もう行くの? 早いわね」
「口だけより実際の行動をした方が有益だ」
「じゃ、行ってらっしゃい。無事を祈る」
「死亡フラグ立たないで、滅入っちゃう」
「ごめんごめん、気をつけて」
「うん」
天羽はリテリアにお礼を言った後、心を奮い立たせ次の目的地へ旅立つ。