表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

プロローグ2

「やっととどいた~。お兄ちゃーん、届いたよー」

「おお、来たのか。島は静かだし天気もいいけど荷物が届くのが遅いのが玉に瑕だな」

いや、それにしてもでかいな。やっぱり外人とかも入るように設計されてんのかな。部屋まで運んでもらってよかった。俺と理奈だけだと運ぶのに時間がかかっただろう。レールの上に乗せれば部屋まですぐなんだが、使用人六人がかりで何とか乗せるくらいだったもんな。

「配信されるまであと一週間だよ!早めにVRに慣れないと。本体に動作確認用のアプリが入ってるからやらなきゃね」

「そうだな。リアルとの差ができるだけ少ないといいんだが」

「この最新のタイプだとほとんど現実との差がないんだって。なんでだろうね?」

「電気信号の読み取りと返信の速度が普通のヘッドギアタイプよりこっちのコクーンとやらのほうがいいんだろう」

コクーンというのは俺たちの買った黒いそれこそ繭のような形状のVR用の機器だ。

「ふーん。そういうことなのかな」

「そこまで詳しくないから自分で調べてみてくれ。じゃ、俺たちは先にVR慣れをしときますか」

「そうだね。一足先に始めよう」


「おお、かっこいいな」

黒い筐体に虹色に輝くラインが走る。ほかにも色はいくつかあったがこれが気に入った。光がくどすぎない感じがグッドだ。ちなみに里奈は白色の筐体だ。男は黒、女は白にしておいた。城もなかなかかっこいいと思う。

縦に裂けるように筐体が開く。中は最新最高機種だけあって革張りのふわっふわの椅子に温度湿度を完全管理された空間。今は見えていないが専用の栄養剤を注射するための機構や排せつ物を処理する機構もあるらしい。最長で一週間の活動が可能だそうだ。もちろん寝る必要はあるが、出入りをしなくてよかったりするのはプロゲーマーに人気らしい。排せつ物の処理をするため部屋がどこでもいいわけじゃないので面倒だったがいっそと思い部屋一つをゲーム用にしてしまった。まあ問題ないだろう。

「お兄ちゃん、もうやっていい?」

「あぁ、さっそく始めよう。早く慣れておきたい」

そういいつつ筐体の中に乗り込む。出入口が閉じ真っ暗になる。少し浮遊感を感じた後、全体がサイバーな感じに光りだす。色としては水色だな。

『脳波登録。ようこそVRの世界へ。私はナビゲーター。気軽にお声掛けください』

と、中性的な声が喋りかけてきた。気付かぬうちにダイブしていたようだ。

「よろしく頼むよ。何と呼べばいい?」

『ナビゲーターと呼び掛けていただければお答えします。早速で申し訳ありませんがアカウント名をお決めください。ゲームと共通した名前を使うことになりますが、名前の開示は選べますのでご自由に付けていただいて問題ありません』

「わかった。ん~、そのまま想丞でいいかな」

『想丞で登録しました。利用可能なアプリケーションを表示します』

と言われると動画視聴アプリ、検索エンジン、アプリ購入のアプリ、そして道場と書かれたアプリがあった。

「道場で動きの確認をしたい」

というといかにもな和風の屋敷が現れ、中に入ると運動モード、鍛錬モードそれぞれが書かれた襖があった。

「確認だから運動モードにしよう」

襖を開けると広い運動場に様々なスポーツ用の道具やコートがあった。

木刀と案山子を見つけたので打ち込みをしてみた。現実と差分なく動くことができた。それが確認できたので今度は鍛錬モードに挑戦してみる。

鍛錬モードはゲームでの動きを高めるためのシステムだったようだ。現実ではありえない動きになった時の練習用らしい。

「こっちは追々やってみればいいか。現実と変わらないならほぼほぼ問題ないな。一度現実に戻るか。ナビゲーター、ログアウトを頼む」

『了解しました。ログアウト開始します』

その言葉とともに道場の風景が薄れていき視界がブラックアウト。一瞬の浮遊感の後、暗闇が裂け光が見えてきた。外に出ると筐体はひとりでに閉まって待機状態になった。固まった体をほぐしていると白の筐体が動いて理奈が出てきた。

「お帰り理奈。どうだった?初めてのVRは」

「すごかった!現実とほぼほぼ変わんないんだもん!あ、お兄ちゃんとフレンド登録したいからアカウント名教えて?」

「想丞にしたぞ」

「やっぱりか~、私も理奈にしたからみんなが来たらやろうね」

「そうだな。みんなも現実との差を確かめるだろうからその時にやろう」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ