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天才女優と異世界へ!  作者: 泡沫
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序章 異世界転移は突然に?

はじめまして、泡沫と申します。初投稿の作品となります。暖かい目で見てもらえれば幸いでこざいます。


 国民的人気女優、三國杏音(みくに あんね)の名を知らぬものは日本にはいないだろう。

そういっても過言でないほどに今日日会話の種は彼女の話題で持ちきりである。


彼女は16歳の高校2年生でありながら、その美貌や演技力でデビューからわずか1年で今や駅のポスターは彼女で埋め尽くされ、映画やドラマに彼女が出演しようものならばその作品は爆発的ヒットを生むという次第である。近頃はバラエティ番組への露出も増え、今まさに日本中が彼女の虜となっている。


そんな天才と打って俺、樹神宝こだまたからは今日も平凡な日常を送っていた。


20XX年7月3日

 

俺は樹神宝、16歳 高校二年、帰宅部、身長は175㎝、髪型は世間一般でいう黒髪マッシュ、運動も勉強もそれなりに努力している。顔は普通、特に才能があるわけではないが一つ上げるなら努力が好きってとこだろうか。


「なあ宝、この問題の解き方教えてくれよ・・・次の期末赤点だったらスマホ没収なんだよ…頼むよ…」

「またかよ…少しは自分で考えろよ、俺は早く帰りたいんだ。」

「またそんなこと言って、結局教えてくれるもんな!」

「そんなこと言うなら教えねえー。」

「おい冗談だって!ジュース奢るから!なあ?頼むよ後生だよ!」


2本な、と吐き捨てると俺はいつものように隣の席の坊主頭で野球部の若林に勉強を教えた。こいつとは1年から同じクラスでなにかと面倒な奴だが一応俺の友達だ。


なぜこんな状況に陥っているかというと、若林がバカということは前提として、俺が中間試験学年3位の秀才だからだ。まわりは天才とはやし立てるがそうではない。1年の最初の頃は下から数えたほうが早かった。1年間努力してテストの有無関係なく努力した結果が二年の中間テストで現れたことはとてもうれしかった。


「てかさー、宝ってなんで彼女できないわけ?頭もいいし、帰宅部なのに運動できるし、顔だって悪くないのにな。」

「買いかぶりすぎだ、そんなこと言ってたらスマホ没収されるぞ。」とため息交じりに言う。


その答えは俺自身がよく知っている。今まで恋をしたことがないのだ、もちろんきれいな女性や可愛い女の子がいたら、思春期男子相応の反応はするし、身だしなみも気を使ってるほうだし、性欲だってある。まだ16歳なわけだから焦る必要もないのだが。


「その公式使うのか!さすが樹神先生! 助かったよ!」

「本当に理解したのか?まあいい…報酬はもらうからな。」

「あー・・・悪いこのあと部活のミーティング!明日絶対奢るから!」

そういうと若林は急いで教室を飛び出していった、


俺は部活には所属していない。中学のときはサッカー部で区内の選抜に選ばれるくらいには努力した。しかし、高校は勉強に力を入れたいと思った。運動は休日にランニングや筋トレもしているし、特に帰宅部だからといって困ったことはない。努力すること自体は好きだから勉強も運動も苦でもない、小さな結果でも俺はうれしい。


若林が教室を出た数分後に帰りの支度を済ませ、いつも放課後に必ず立ち寄る古本屋に向かう。

ここで週2回のバイトで稼いだお金を参考書やゲームソフトに使う、ゲームソフトはRPGしか選ばない。コツコツレベルを上げて強敵に打ち勝つ喜びを味わえるという点で自分にとって最高の娯楽であって、唯一の趣味だ。


家に帰り、ただいまと一言、夕食までレベルを上げる。

家族は父と母の3人家族、兄弟はいない。父親は毎晩遅くまで仕事をしているので顔を合わすのは休日がほとんどだ。


「夕食できたわよ。」


いつものように二人で夕食を食べる。


「杏音ちゃんって子すごいわねえ、あんたと同い年でしょ?」

「そうらしいね、天才ってやつだよ」

現役女子高生女優、三國杏音。彼女がテレビ画面に映らない日はない。学校に行っているかどうかさえも疑うほどだ。


彼女の出演作品はいくつか見たことがある。同じ人物が演じているとは思えないほどの演技力、誰もが虜になる美貌、もはや彼女自身が作品そのものといってもいいだろう。サッカーで例えるならオーバーヘッドで毎試合ハットトリックしているようなものだ。それが同い年というのだから、彼女の名前を聞くたびに劣等感に襲われる。


さて勉強して寝るとしよう。


20XX年7月4日

キーンコーンカーンコーン


今日も6時間目の授業が終わると俺はすぐに帰りの支度をする。昨日は邪魔者がいたせいでRPGゲームの時間が減ったので今日は早く帰れることに喜びを感じている。その時だった。


「おーい!!宝~!」


今のはフラグを立てた俺も悪かったと思いつつも若林を鋭く睨む。


「おいおいそんな睨まないでくれよ…今日は勉強じゃないんだって!」

「?」

「実はな!今同じ部活のやつから聞いた情報なんだけど、今商店街に三國杏音がロケにきてるんだってさ!」

「まじか!よし行こう。」

「え?そんなあっさり?」

「当たり前だ!そういうことには率先して時間を使いたい!」


お前の勉強にはと言いかけたが言葉を飲み込み、俺と若林は商店街に急ぐ。


商店街は大勢の人が集まっていた。


「あれじゃね?ほら?あれだよ宝!」

「どれだ?」

「あれだよ!あの白いワンピースの!」


そこには映画の中で、ドラマの中で動いていた天才がいた。肩にかかる艶のある黒い長髪、透き通るような美しい瞳、身長は165くらいあるだろうか、俺より10㎝ほど小さく見える。胸は年の割に大きい 手足は白く細く美しい。これが本当に16歳の高校2年生なのか、まるで時が止まったように呆然と見つめていた。


「やべえ!宝!可愛すぎるだろ、実物のほうが何倍も可愛いな!!」

「ああ…言葉が出ないぞ。」


毎秒ごとにまわりには人が集まっていた、情報を得た人が1秒でも長くその姿を見ようと

急いでいた。大勢のテレビ関係者がピリピリしていた。群がる人々を抑えるもの、写真撮影を禁止させるもの、車の誘導を行うもの。その時だった


ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

と遠方から一台のトラックが近づいてきた。

三國杏音に見とれていたためかその様子に気づく人々は少なく、またテレビ関係者も自分の仕事で精一杯だった。


よく目をこらして運転席を見てみると、頭に白いタオルを巻いた中年男性がおもわずツッコミたくなるような巨大な鼻ちょうちんを膨らませ、ハンドルにもたれかかっていた。。

俺はすかさず叫んだ。

「危ない!トラックがきてる!」


しかし野次馬の声にかき消され俺の声が届くことはなかった。

俺は人込みを強引に突破し三國杏音めがけて走った、そのときようやくトラックに気づいたスタッフが慌てて声を荒げる。


「え?」

三國杏音が振り向いた瞬間、トラックは止まることなく直進をしていた。


間に合え! 俺は全力でダイブをし、三國杏音の体を押した。時間が止まって見えた。

若林が涙を浮かべながらなにか叫んでるのが見えた。ああ俺はここで死ぬのか、若林、お前といるのはなんだかんだ楽しかったぞ、母ちゃん父ちゃん元気でな。これが走馬灯ってやつなのか。でもこれで一人の命が助かったなら… そして俺の意識は途絶えた。





「ちょっとあんた起きなさい!ねえってば!」


誰かに揺さぶられている。声が聞こえる。ここは死後の世界なのか。どうか天国でありますように

目を覚ますとそこには同い年くらいの女性がいた、どこかで見たような顔だ。


「天使?」

「はあ?何言ってんのあんた、まあ天使ってのはあながち間違いじゃないわね。寝ぼけてないで答えてここはどこなの?周りは木しか生えてないし7月だってのに肌寒いわ。」


「木?」

あたりを見回すと針葉樹に囲まれていた。2人がいる場所は草が生い茂っている

「え?ここ天国じゃないの?地獄?俺悪いことした覚えないんだけど…」

「まだ寝ぼけてるの?そもそも私のこと知らないわけ?」

「え?」


よくみるとそこには俺が決死のダイブで押したはずの国民的女優が立っていた。


最後までご覧いただきありがとうございました。序盤は説明文が多く退屈させてしまいましたが、次回からは冒険が始まります。女優としての才能を異世界でどう奮っていくのか、秀才の努力は異世界の理に通用するのか、執筆するのが楽しみです。よろしければ感想をいただけると嬉しいです。

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