君と出会い。
世界が終わる時に君は誰といたいですか?
それは、大切なひとですか?
それとも…
久々に地元の駅に降りた。大学も県外だったし、就職した先も県外の学校だったから、久しぶりのこの土地が懐かしく感じる。
変わったことといえば、家の前の畑が宅地開発されていたことぐらいだ。
相変わらず両親は忙しそうで、なによりだった。帰ってきたことを仏壇のばあちゃんとじいちゃんの遺影に線香をさしながら報告し、手早く昼飯を済ませて、俺は出かけた。
ここに帰ってきたのには訳がある。高校の時の彼女との思い出に蹴りを付けるためだ。
電車に乗って数駅したところに、俺の母校である高校がある。周りは特に住宅街という訳でも、街中という訳でもない。周りは田んぼと畑で、主要な道路といえば、トラクターが通るような農道、高校の最寄り駅の近くにあるのは、駄菓子屋(古臭い看板がトレードマーク)と牛舎で(酪農家が多い地域だった。)、駅を降りた途端牛舎独特の匂いに、高校の頃の思い出が蘇ってきた。
俺の在学していた当時、その学校は総合学科の学校だった。普通科の学校とは違い、より専門的な授業を自分で選んで受けられるという変わった方針の学校だ。だから、進路も様々で、進学といっても、普通の文系、理系の大学から、看護関係の専門学校まで多様だった。もちろん、高校出て就職する奴もいた。
部活も様々だった。募集定員の少ない学校にしては、部活がありすぎると、入学してから思ったことがあった。僕はその多すぎる部活のなかから、音楽創造部という、部に入った。吹奏楽と合唱部の融合みたいな部活で、もともと、中学の時にフルートを吹いていたこともあり、その部に入部というか、あるひとに、強制的に入部させられた。そのあるひとというのが、彼女であった。
「ね、高林くん、高林くんてばぁ、無視しないでよぉ。もぉ。」
俺はこの一見ドジっ子にも見える先輩に無理やり、部活に入れられた。
「なんですか? 門倉先輩。僕に何かようでも?」
無愛想に答える。
「その、門倉先輩って呼び方やめてくれない?、桜でいいっていったのに。」
「じゃあ、桜先輩、」
「なんでしょうか?」
「もう一度聞きますが、何かようでも?」
俺はまた無愛想に質問する。
「今度の休み、あいてる? 新入生の歓迎会やるから、」
「わかりました。開けておきます。」
あの門倉桜にまたも、俺は調子を崩す。
まったく、あの元気というか、ドジっ子っぽいひとが、部長なんだから、びっくりしたよ。
あ、つまずいた。