Cupid of the love
初めて書きます。どうぞ、お手柔らかに。
そして、以後お見知り置きを。
プロローグ
この学校には奇妙な噂がある。
「どんな恋も、お金を払えば叶えてくれる、キューピットと呼ばれる人物が居る。」
という噂だ。
…。
なんて素晴らしいんだ!
金さえあれば、気になるあのことも、気軽にイチャイチャ出来る関係になれるということじゃないか!
実は僕、三宅 奏太は、高校に入学した時から気になる人がいる。
一学年上の先輩、鯉野 天使さんだ。
容姿端麗、才色兼備。これ以上ない高スペックな人物である。
付き合えなくていい…。
せめてお近づきになりたい!
あわよくば付き合いたい!
そして結婚したい!
だから、僕は今から、根も葉もない噂を頼りに、鯉野さんと仲良くなろうとしてるわけなんだけど。
それは言ったら、占い師から貰った、無敵になれるという怪しげな数珠一個だけ所有し、全裸のままエベレストを登るようなもの。
だけど僕は、そんなことも気にならないほど、鯉野さんが好きだ!
だから僕は、キューピットに会いに行く!
講義室。ここにそのキューピットはいるらしい。
正直、心の何処かで、何やってるんだろう。
俺のバカ。
とは思っているが、もうここまで来たからには行くしかない。
ええい!ままよ!
僕は勢いよく、講義室の扉を、横にスライドさせた。
…っ!
扉を開けた先には、セミロングの栗色の髪。
華奢な体、艶っぽい鼻歌。
何処か見覚えのある女性が、窓を見つめながら、机に座っていた。
「…あの。」
恐る恐る話しかけると、その女性は柔らかく振り向いてみせた。
「えっ。」
思わず、驚嘆の声を上げてしまった。
それもそのはずだ。
そこには、キューピットでは無く。鯉野先輩がいた。