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ロリコンなのですか?

 ご無沙汰しております。

 ヘルプデスクです。


 いろいろとあり、かなり適当更新となっております。

 これからもまったりと、一笑に付してくだされば幸いです。

〈ぼく……実はロリコンなんです……〉


「――通報しますたっ!」


〈ちょいっ! まだナニもしてませんから!〉


 電話を取った夢子は、容赦なく相手を斬ろうとします。


 切ろうではなく、もう斬ろうとしています。


 それはもう、バッサリと。


 夢子だって、胸はないけど普通の女の子。


 質問を受けた途端に、そんな性癖を告白されても困るわけです。


〈話ぐらい聞いてくださいよぉ~〉


 泣きそうなまだ若い男の声に、夢子はわざとらしいぐらい大きなため息を返します。


「……で、なんですか?」


〈ぼくもね、今はアニメでごまかせているんですけど、こう……小学生とか見ると……〉


「――通報しますたっ!」


〈大丈夫っ! まだ大丈夫だから!〉


「いや、もう、捕まっておけばいいと思いますよ?」


〈そんな気楽に言わないでよぉ~〉


「じゃぁ……ちね♥」


〈そんなプリティに言ってもダメ! ぼくもまずいなと思って直したいんですよ! そのために恥を忍んで電話したんじゃないですか!〉


「……専門家にかわりますね」


〈専門家!?〉


 相手が驚いている間に、夢子は保留にします。


 そして、斜め前に座っている悠に声をかけました。


「上空さん、ロリコンです」


「ちょっと! わたくし、ロリコンではなくてよ! というか、女性ならショタコンですし。そもそも、ロリコンは正式にはパラフィリアの中のニンフォフィリア、ニンフェット、ペドフィリアに分類される……」


「ああ、違います。相談者がロリコンさんです」


「ま、紛らわしくてよ!」


「性犯罪に走りそうでなんとかしたいと……。相談に乗ってあげてください、専門家」


「専門家! ……ふふふ。よくてよ」


 心理学者に憧れている悠は、その割りにチョロいです。


「もしもし、専門家よ」


〈おお、さすがヘルプデスク! ロリコンの専門家がいるんですね!〉


「ちょっと! 誰がロリコンの専門家ですか! 心理学の専門家ですわ!」


 もちろん、嘘です。


〈おお、そうですか! じゃあ、教えてください。ぼくのロリコン、どうやったら止りますか!? このままだと性犯罪に走りそうで……〉


「そうね……ちね♥」


〈さっきの人と変わらないし!〉


「冗談よ。……ところであなたは、小さい子を見てかわいいと思うのよね。同年代はどうなの?」


〈……なんかかわいくないというか……〉


「同年代の女性は怖いとか、小さい子なら言うこと聞いてくれるからとか……そういうことはないのかしら?」


〈ああ、ロリコンにありがちなやつですねぇ。ぼくはちがいますねぇ。とにかくかわいさがもう、ムフフです〉


「――通報し――」


〈待って! まだ未遂! ホント、待って!〉


「……まあ、でも、それならまだ救いはあるかもしれませんわ」


〈ホ、ホント!?〉


「今から教えるゲームをやりこんでみなさいな。それからお薦めの漫画をお教えしますので読んでみてくださいな」


〈……ぼく、せめてJCぐらいが出てこないと……〉


「大丈夫よ。あなたの嗜好にピッタリなゲームと漫画ですわ。その代わり、そのゲームと漫画を制覇するまでは、他のメディアでロリコンを楽しまないようにしてくださいね」


 横で聞いていた夢子は不思議でした。


 ロリコンにロリコンのゲームをやらせたり漫画を見せたりして、性犯罪を防げるのでしょうか?


 しかし、夢子は面倒なので口を出さずに放置します。


 彼女は面倒なことは放置する性格なのです。


   ◆


 あれから数週間後。


〈もしもし! 先日、ロリコンで悩んでいたロリコンです!〉


 夢子が電話に出ますが、もう名乗りがよくわかりません。


 ですが、その声は前に電話をかけてきた時よりイキイキしています。


〈上空さんはいますか!? お礼を言いたくて!〉


「今は居ませんけど……ロリコンは治ったんですか?」


〈治ってませんよ! でも、もうJSやJCを見ても興奮しなくなりました!〉


 夢子の明晰な頭の中で、「?」マークが飛びまくります。


「……え? なんでです?」


〈だって、あんなのただ小さくてかわいいだけじゃないですか!〉


「はぁ。だってあなた、そういうのが好きなロリなのでは……」


〈いやだなぁ~。今のぼくは違いますよ! ぼくが好きなのは、ロリババアですよ!〉


「……はいっ?」


〈ロリババアですよ! ただロリでかわいいだけじゃない。その中に年季の入った知性と、男を甘やかせてくれる包容力! すなわち母性! これ、神秘の究極合体じゃないですか!〉


「…………」


〈もうそう思ったら、ただのロリになんて興味がなくなりました! ぼくはこれから、ロリババアを求めて生きていきます! ありがとうございました!〉


「……はい、お疲れ様でした」


 電話を切った後、少し夢子が唖然としていると、そこに悠が戻ってきます。


「あら。花氏さん。どうなさったの、ばよえーんみたいな顔をなさって」


「どんな顔ですか、それは! ……というか、上空さん。あなた、ロリコンにロリババアを勧めたんですか!?」


「あら。……ということは、成功したのね」


「成功って、ロリコンは治ってませんよね?」


「ロリコンが問題なのは、実際に性犯罪に走ってしまった場合で、その嗜好自体は別にとやかく言わなくてもいいではないですか。ならば、同じロリコンでもロリババアにベクトルを向ければ、現実にはいないのですから性犯罪に走ることもありませんから安心でしょう?」


「……なんと画期的な非実在青少年活用方法」


 夢子は感心しながらも、「この人、マジ怖いわ」と思わずにはいられませんでした。


■用語説明


●ロリコン

 ご存じ、ロリータコンプレックスですが、これってもともと「幼女が中年男性に興味を持つこと」って知っていました?

 逆だったんですねぇ……。


●「――通報しますたっ!」

 たいてい、していませんね。


●「ちね♥」

 たいてい、本気ですね。


●「パラフィリアの中のニンフォフィリア、ニンフェット、ペドフィリアに分類される……」

 パラフィリア:性的倒錯

 ニンフォフィリア:4歳から11歳頃の女子児童への性的嗜好

 ニンフェット:9歳から14歳の少女への性的嗜好

 ペドフィリア:11歳から13歳頃の少年や少女への性的嗜好


 あなたは、どれ?


●ロリババア

 見た目は子供、中身は大人。

 つまりコ○ン君の女性版の「灰○ 哀」ですね。

 そういう意味では、コ○ン君は「ショタジジイ」ということになります。

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