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お好みは変態ですか?

 日曜の夜に、こんばんは。

 ヘルプデスクです。


 皆様のおかげで、450ポイントを超えることができました。

 そして、とうとう50話です。

 読んでくださった方々、本当にありがとうございます。


 これからも地道に書いていこうと思っています。

 それでは記念すべき50話、一笑に付してくだされば幸いです。

――プルルルル……


 今日も今日とて、ヘルプデスクに助けを求めるベルが鳴り響きます。


「はい、ヘルプデスクでーす」


 電話を取ったのは、ミクリです。


 夢子は報告書作り中だったので、姿なきミクリが電話応対をがんばっています。


〈あのぉ、ヘルプデスクにはミスコン上位者が集まっているって本当ですか?〉


「……はい。本当ですねー。ご都合主義の割合に、1位とかいないのがミソですねー」


 そういうことは、言わないで欲しいものです。


〈しかも、そちらにいる上位者は、みんな彼氏がいないって本当ですか!?〉


「……プライベート情報なのでお答えできませんが、そのようですねー」


 しっかりと答えてますね。


〈やった! これで望みが繋がった!〉


「それはよかったですねー。では、本件はクローズさせていただき――」


〈待って! まだ、これからが本番!〉


「本番はNGとなっておりまーす」


〈なっ、なんの話!? ……質問はまだあるって事だよ! いや、ボクさ。実は彼女が欲しくて。しかも、できる限りかわいい女性とか美女がいいなって〉


「なるほど。……統計によりますと、恋人に具体的な要望を持っている人ほど、恋人ができにいくそうです。特に高望みをしている人ほど、絶望的ですねー」


〈絶望的って言うな!〉


「はい、あきらめましょうねー」


〈爽やかに、あきらめさせないで! 欲しいんだよ、彼女! 助けてよ、ヘルプデスク!〉


「ドラ○もんとまちがえていませんかー? そんな便利な道具はありませんよー」


〈じゃあさ、せめて好みとか教えてよ! 君はミスコン何位?〉


「推定1位ですねー」


〈す、推定ってなに!?〉


「写真がNGなので参加できないんですよー」


 体がないのですから当たり前です。


〈……よくわからいけど。じゃあさ、他の人の好みを聞いてよ!〉


「えー。めんどー」


 非常に人間的で、優れた人工知能プログラムです。


〈面倒言うな! 働けよ!〉


「……そんなんだから、彼女できないんですよー」


〈ウグッ!〉


「まあ、しかたないですねー。少しお待ちください」


――ピンコンッ!


 同報メールが、夢子、悠、圭子の手元に届きます。


「……ミクリ。なんなの、これ」


「ですから、メールにも書いたとおりの問い合わせでーす。問い合わせ者をお待たせしているので、お早めにおねがいしまーす」


「――ったく」


 他の2人も、その会話を聞いてキーボードを叩き始めます。


 そして、ミクリの元に1通目の返事が来ます。


「大変お待たせしました。プライバシーに関わるので、名前は申し上げませんが、1人目の好みを説明しまーす」


〈おお! サンキュー! よろしく!〉


 電話の向こうで、喜々として答えながら、メモを用意しているのか紙の音が聞こえます。


「では、行きます。放送禁止用語が多いので意訳しますと、『精神的サディスティックさがある男』ですね」


〈……いきなり、ハードコア!〉


「肉体的には、ソフトがいいようです。具体的には、死んだような目をした無感情な瞳で、冷たく見下しながら罵ってくれる男性。つまり『変態』ですねー」


〈ちょっと……ハードルが高いかな……〉


「では、次に行きますねー。次の方は、いろいろありますねー。まず、『無免許医師に理解がある人』」


〈そんな奴いねーよ!〉


「それから、『血のつながりのない子供を犯罪者になることもいとわず助けようとしてくれる人』」


〈な、なに、その意味深(いみしん)さ……〉


「さらに、『わたしのこと』……えーっと、この場合は要するに『女子中学生が好きな人』ということですねー。つまり、『変態』ですねー」


〈なんかいろいろと怖いかな……〉


「それでは最後でーす。……『特になし』」


〈役に立たねーな!〉


「ああ、でも、続きがありますよー。『強いてあげるなら、金にがめつくなく、酒も博打も女もやらず、優しく、頭がよく、かっこよく、相手に理解があり、相手の親の面倒を見る必要がなく、落ちついていて、家事が得意で、うざくないぐらいに社交的な人』だそうでーす」


〈どこが『特になし』なんだよ!〉


「さらに付加要素として……」


〈まだあるの!?〉


「『マシン語を眺めるだけで逆アセンブルできる人』『精神的に病んでも、嫌なことからすぐ逃げない責任感のあるマゾヒスト』『ロハで働いてくれるデバッガー』『パケットキャプチャーしてニヤニヤできる人』……つまり、『変態』ってですねー」


〈……なるほど。ミスコン上位者なのに、ヘルプデスクの女性たちに恋人がいない理由が、よーくわかりました……〉


「はい。では、立派な『変態』になって出直してきてくださいねー」


〈ど、努力します……〉


 こうして、本件はクローズしました。


「戻りました」


 そこに、ミーティングに行っていた皆籐が戻ってきました。


「お帰りなさい。皆籐部長。聞きたいことがあるですが……」


「なんです、ミクリさん」


「皆籐部長って、総合的に見て変態ですよね?」


 ビクッと3人が体を震わし、皆籐から顔をそらします。


「……いきなり、変なレッテルを貼らないでもらえますか?」


「あれー? やっぱり『変態』って褒め言葉じゃなかったんですね-。修正しまーす」


「……みなさん、ミクリさんにどんな私の話をしていたんです?」


 誰も答えられず、微妙な雰囲気が漂うヘルプデスクでした。


■用語説明


●「ミスコン上位者が集まっているって本当ですか?」

 正確にはミスコンではありませんが、似たようなものです。

 第28話参照。


●「本番はNG」

 物理的に無理ですね。

 それ用のアンドロイドを作るネタなどはよくありますが、本作は品行方正で健全な話なのでそういうことは行われません。


●「統計によりますと」

 ソースは不明。


●ドラ○もん

 無敵のロボット。


●「写真がNG」

 CGで合成した姿はありますので、完全に不可能ではありません。


●〈いきなり、ハードコア!〉

 「今夜は○ードコア」っていうアニメ知っていますか?

 もし、万が一、知っているなら、「な○すスクランブル」って知っていますか?

 ……いえ、何でもありません。

 忘れてください。


●『血のつながりのない子供を犯罪者になることもいとわず助けようとしてくれる人』

 なんなんでしょうね、これ。


●『ロハで働いてくれるデバッガー』

 これは要するにMですね。

 他の好みに関しては、過去の話をいろいろと参照してください。


●『変態』

 女の子よりロボットに興奮する変態が主人公の小説【魔生機甲レムロイド~異界のロボットデザイナー】もよろしくお願いします。

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054880245000


●「『変態』って褒め言葉じゃなかったんですね-」

 あえて言おう!

 褒め言葉であると!!!!!


※本作のテーマソングをまだ聞いていない方は、下にあるリンクからぜひお聞きください。

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