イメージアップなのですか?
こんばんは。
ヘルプデスクです。
今日、プロのラノベ作家である友人に「ポイントくれくれと言って、ガツガツ宣伝しろ」と助言をいただきました。
なるほど、ガツガツですか。
しかし、宣伝と言ってもいろいろとありますね。
どのように宣伝しましょうか?
……と、どうやらヘルプデスクの中でも、そんな話題が出たようです。
本日も、一笑に付していただければ幸いです。
四つのテーブルが「田」の形にならんだヘルプデスクの席に、今はみんなが座っています。
「皆籐部長」
その中で、夢子が立ちあがりました。
「なんでしょう、花氏さん」
全員の注目が、夢子に集まります。
「私、思ったんですが……誤解されていませんかね?」
夢子がメガネを指で押しあげ、瞳をきらりと光らせます。
「誤解……ですか?」
「ええ。たとえば私、かなりかわいいわけですよ」
さすが、夢子です。
恥ずかしさの欠片もなく、言い切りました。
「そして、中身は別にして上空さんも見た目だけは、かなりの美人で、スタイルもいいですよね」
「あらあら。そんな正直に褒めても何もでませんわよ」
微妙にバカにされていることに気がつかない悠は、やはり残念な子です。
「さらに、圭子ちゃん。もうぶっちぎりのかわいさなわけですよ」
いきなりふられた圭子は、「いえいえ」と顔を赤くします。
「ええ。まったく、その通りですね」
そこだけは皆籐も同意します。
「……なんで、圭子ちゃんしか同意しないんですか」
「正直なんで」
「……まあ、それは置いといて。ともかく、ブキミー族の皆籐部長を除けば、蝶よ花よのヘルプデスクなんですよ」
「ちょっとひっかかりますが……それで?」
「なのに、なんで先日、私たちは営業本部長に怯えられなければならなかったのですか? それだけではなく、なんか変な噂が広まっていますよね」
「噂ですか?」
「はい。『ヘルプデスクに行くと、涙涸れ果て、泣く子も黙る』とか、『ヘルプデスクに電話すると、子々孫々呪われる』とか、『ヘルプデスクに逆らいし者、現れし時、神々は怒り、天変地異が起こり、人類は滅び去るだろう』とか」
「どこの黙示録ですか、それは……」
「あら。そんな酷い噂まで。どうしてなのかしらねぇ」
悠が横で首を捻ります。
そして夢子も「ほんとですよねー」と同意して首肯します。
「……あなたたち、本気で理由がわからないわけではありませんよね?」
「え? わからないですけど」
「わかりませんわねぇ~」
「あ、わたしもわかりません」
「まあ、石野さんはともかくとして……。あなたたちに自覚がないとは思えないのですが……」
「自覚というなら、皆籐部長の方こそですよ」
「はい?」
予想外の反撃に、皆籐が裏返った声をだします。
「皆籐部長って、『悪鬼を引き連れた魔王』とか、『極悪囚人のいる監獄長』とか呼ばれているんです! 悪い噂も皆籐部長のせいかもしれませんよ!」
「……いや。そう呼ばれていたこともショックですが、『悪鬼』とか『極悪囚人』が誰をさしているのか考えましょうよ」
「ともかく、このままだとダメだと思うんですよ!」
皆籐の言葉は、見事にスルーされます。
「そうですわね」
「確かに、ヘルプデスクが悪く言われるのはイヤですね。みんなで一生懸命やっているのに」
「でしょ! たがら、私、イメージアップ宣伝作戦を考えました!」
そう言って、夢子は足下から大きな紙を取りだしました。
そしてそれを部屋の隅のホワイトボードへ、磁石で貼りつけます。
「これです! はい、拍手!」
――パチパチパチパチ
悠と圭子はノリがいいですが、皆籐は唖然とします。
「……なんですか、それは?」
――――――――――――――――――――――――
1) ヘルプデスクのテーマソングを作る!
かわいらしい曲でイメージアップ。
電話の保留中にも流す!
そのうち、CD販売で売上はお茶代に!
2) プロモーションビデオを作る!
各メンバーのテーマソングも作る。
各自が踊ったり歌ったりしてアピール!
3) 芸能界デビュー!
ヘルプデスクガールズとして歌番組に。
新ジャンルのアイドルとして話題騒然に!
ここが目標!
――――――――――――――――――――――――
「どーですか!? これで私たちも怯えられるどころか、みんなの人気者ですよ!」
――パチパチパチパチ
「なるほど、なるほど。すごい作戦ですね」
皆籐も、今度は拍手します。
「おお! 皆籐部長もわかってくれましたか!」
「ええ。ただ、イメージアップとしてもっとすばらしい手がありますよ」
「えっ!? なんです、それは!?」
「簡単ですよ……。まじめに仕事しなさい」
「…………は、はい…………」
その時の皆籐の顔は、かなり怖かったようです。
まさに魔王の顔だったそうです。
■用語説明
●「ブキミー族の皆籐部長」
登場する時はきっと、「ブキミー♪ ブキミー♪ ヘルプデスク♪」と言いながらでしょう。
●『ヘルプデスクに行くと、涙涸れ果て、泣く子も黙る』
涙涸れ果て……ポカリ飲まなきゃ!
●『悪鬼を引き連れた魔王』
いつの間にか、社内に対してものすごい影響力を得ているのかもしれません。
彼らを倒す勇者は果たして現れるのでしょうか?




