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お料理教室ですか?

 お疲れ様です。

 ヘルプデスクです。


 今回は、ギャグというよりは、ほのぼの話です。

 そして、実話が元になっております。

 たぶん、同じ経験をした人は、10人に5人はいるはずです!(根拠なし)


 そんな経験とともに、一笑に付していただければ幸いです。



※質問ネタ協力者:やがみけい氏

――プルルル……


「はい。ヘルプデスクです★」


 本日は、圭子が電話を取りました。


〈もしもし。アルバイトの山田です〉


 少し暗い男性の声に、圭子は努めて明るく返します。


「お疲れ様です。どうなさいましたか?」


〈なんで……時間が経つのって早いのでしょうか……〉


「……えーっと……光陰矢のごとしと申しまして……」


 いつでも真面目な圭子です。


〈僕はトイレに行きたかったんです。我慢できなかったんです〉


「……はあ。我慢は体に良くないですから、行きたい時に行けるならベストですよ」


 医者としての立場も忘れません。


〈でも、行ったせいで間に合わなかった……タイムアウトしてしまった……もう失った時は戻らない!〉


「そうですね、覆水盆に返らずと申しますか……それで何に間に合わなかったんですか?」


〈三分……〉


「三分? ウルト○マンの活躍を見逃したとか?」


〈違います!〉


「カップラーメンですか?」


〈違います!〉


「ではなんでしょう?〉


〈カップ焼きそばです!〉


「……なるほど」


 ここで夢子なら、「同じようなもんだ!」とツッコミを入れるところですが、圭子は冷静に受け取ります。


「つまり、カップ焼きそばがのびちゃった……ってことでしょうか?」


〈僕には今日、唯一の食事だったんです。なけなしの金をはたいて、楽しみにしていた夕飯……それが便意にじゃまされるなんて……〉


「まあ、便意に悪意があったわけではありませんから……」


 当たり前ですね。


〈でも、僕のカップ焼きそば、見るも無残なんですよ! 知っていますか、ふやかし過ぎた焼きそばの末路! でっぷりと太ってメタボ体質の麺! 口に入れると、コシなんてかけらもない、まさに腰砕けで、ちょっと『ぐちゃ』とした歯触り! お世辞にも『まずくない』と言えないレベル!〉


「まあ、確かにまずいですね」


〈でも、僕はもうこれしか食べるものがないんです! どうしたらいいんですか!? 気持ち悪いけど我慢して食べるべきですか!?〉


「……えーっと、今はご自宅ですか?」


〈え? あ、はい……〉


「小麦粉はありますか?」


〈……あります〉


「卵は?」


〈ええ、あります}


「かつおだしの素とかありますか?」


〈ないです。鰹節ならありますけど……〉


「なら、それで。今回は、それでモダン焼き風お好み焼きを作りましよう」


〈え!? そんなに簡単に作れるんですか!?〉


「できますよ★ まず、小麦粉100g、卵1個、お水100ccをボールにいれてよくかき混ぜます。本当はだしを入れたいところですけど、今回はなしで」


〈…………まぜまぜまぜ…………〉


「それから、小さめのフライパンをよく熱してから、中火ぐらいでのびちゃった焼きそばを入れて、炒めるようにします。まあ、鉄板で焼きそばを焼いているつもりでほぐしながらやってください。目的は、水分を少し飛ばすことです」


〈…………いためいためいためいため…………〉


「ある程度、熱したら、麺を取りだして、サラダ油を軽くしきます。そして、少し熱したら麺を入れて、上から、さっきまぜまぜして作った、お好み焼きの生地をまんべんなくかけます」


〈…………かけかけかけかけ…………〉


「焼きあげたら、お皿に盛ってたっぷりの鰹節をかけましょう。だしも足らないのでたっぷり目に。そしてソースをかければ出来上がりでーす★」


〈…………んっ!? 食える! 違和感はあるけど……むしろうまい!〉


「そうですか。それはよかったです」


〈おお。助かりました! あなたはまさに女神だ! さすがヘルプデスクですよね! 究極の料理勝負で某新聞社と対決して勝利したという噂は本当だったんですね!〉


「?? ……それはしりませんが……」


〈ありがとうございました!〉


 何はともあれ、解決できて圭子は一安心です。


 安堵とともに、受話器を置きます。


 ふと気がつくと、圭子の横で夢子と皆藤が跪いていました。


「圭子ちゃん!」

「けーちゃん!」


 二人の目は、尊敬で輝いています。


「「お嫁に来てください!」」


「お好み焼きぐらいでやめてください!」


 まったく料理ができない、夢子と皆藤でした。


■用語説明


●「ふやかし過ぎた焼きそばの末路」

 この一番の問題は、焼きそばから、うどんを超えて、そして伝説へ行ってしまったほどの柔らかさです。

 頭は「麺」として認識しているので、その柔らかさがとにかくまずく感じます。

 というわけで、麺とは思えない形で食べるのがよいようです。

 小麦粉等がない場合は、フライパンで油をしいて、(健康にはよくありませんが)焦げ目がつくぐらい炒めて、溶き卵でとじてみるのもいいかもしれません。

 天かすなどを混ぜるのも触感が出て良いかもしれません。


 他にいい調理法があれば教えてください。

 ええ。作者はよくぺヤ○グでやらかしますので……。


●「究極の料理勝負で某新聞社と対決」

 そういえば、あの話って勝負はついたのでしょうかね。

 途中で読むのをやめちゃったんですよね……。

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