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何位ですか?

 お昼休みにこんにちは。

 ヘルプデスクです。


 もうすぐ会社によっては新人社員が入ってくる季節です。

 ある程度、年齢がいっている人から見ると、新人社員はまぶしく感じるかもしれません。

 だからと言って、「新人にかわいい子いるかなぁ、うひひひひひ」というような目で見ないようにしましょう。


 それはともかく、今回はほのぼのとした、落ちのないお話です。

 一笑に付していただければ幸いです。

「おや? 『みんなのアイドル的存在ベストテン』が発表されていますね」


 全員集合のヘルプデスクで、皆藤がパソコン画面を見ながらボソッとつぶやきます。


 それにいち早く反応したのは、悠でした。


「発表されましたの!? こ、今度こそ……」


 悠は慌ててマウスを操作します。


 一方で夢子は圭子と顔を見合わせながら首をひねります。


「皆藤部長、そのベストテンってなんですか?」


 夢子の質問が聞こえた途端、悠が「いやあぁぁぁ!」と悲鳴を上げて机にひれ伏しました。


 そんな悠を無視して、皆藤が開口します。


「ああ。あなたたちが来てから初めてでしたね。簡単に言えば、本社の有志が始めたミスコンです。いつもは大して気にしないのですが、今回はそうも言ってられないので」


「なぜです?」


「まず、上空さんは、このミスコンで2位常連です。別の言い方をすると、万年2位です。1位に勝てません。所詮、本社で2番目です」


「――はぐっ!!」


 悠は心臓をつかみながら、体をビクッと痙攣させます。


「……鬼ですね、皆藤部長」


 夢子も、さすがに冷や汗をかきます。


 気のせいか、皆藤は悠に非常にきついです。


「もしかして、1位の人もずーっと一緒なんですか?」


 訊ねてきた圭子に皆藤が「ええ」と答えます。


「十文字さんという有名な美人秘書さんで。常勝女王と呼ばれています。胸だけの上空さんと違って才色兼備で、上空さんと違って性格もよく、上空さんと違って浮ついた噂もあません」


「――はぐっ!!」


「皆藤部長、もうやめてあげて! 上空さんのHPは0よ!」


「マイナスになるまでやめませんよ」


「悪魔ですか……」


蘇生(レイズ)した途端、即死攻撃します」


「ハメですか……」


 夢子のツッコミ中に、皆藤は「全ちゃん、メッでしょ!」と圭子にお叱りを受けて引き下がります。


「でも、それなら今までどおりで、別にヘルプデスク関係ないですよね?」


「いえ。それが、花氏さんが4位なんですよ」


「…………へ?」


「すごいですね、花氏さん。まだ入ってから少ししか経っていないのに」


「え? え? え? なんで私が? 確かに私はかなりかわいいですけど、頭もいいですけど、4位になるぐらい魅力的ですけど……まさか4位になるなんて!? どうして!?」


 自信があるのかないのか、よくわかりません。


 混乱しているのでしょうか。


「えーっと、花氏さんの票にあったコメントのピックアップを読みますと……『ない乳が素敵!』『神的貧乳!』『まな板最高!』『安心してください、我ら貧乳ファンクラブがついています!』『ペッタンペッタン』『幼児体型、だがそれがいい』『JCに負ける成人バストを応援します!』……などです」


「――はぐっ!!」


 夢子も心臓をつかみながら倒れこみます。


「さらにすごいのが、けーちゃん……もとい、石野さんです。なんと入ったばかりなのに5位です」


「えっ! わ、わたしがですか!?」


「コメントを読みますと……『妹にしたい!』『結婚してください!』『かわいいJCというだけで勝ち組』『圭子ちゃんはオレの嫁』『ペットにしたい』『いつまでも制服を脱がないで』……などです」


「…………」


「安心していいですよ。こいつら、今からすべて調べ上げて消してきますから」


「やっ、やめてください!」


「だって、もうこのコメントを読めば、生きているだけで性犯罪者ではないですか」


「その中に皆藤部長も含まれていますよ!」


 少しダメージから回復した夢子が、ガバッと起き上がりとツッコミをいれます。


「……え? 私はけーちゃんを愛でたいだけですよ」


「もう、それが変態なんですよ!」


「――はぐっ!!」


――皆藤に200ダメージ!


「くっ……けーちゃんにも負ける胸に言われるとは……」


「――はぐっ!!」


――夢子に400ダメージ!


「無表情ロリコン! 圭子ちゃんも本当は気持ち悪いと思ってますよ!」


「――はぐっ!! うぐっ!!」


――皆藤に、200ダメージ! 追加効果1900ダメージ!


「ミクロの決死圏でも丘として認識されない胸のくせに……」


「――はぐっ!!」


――夢子に400ダメージ!


「変態サド部長!」


「夢の中でもぺったん子!」


――皆藤に200ダメージ!


――夢子に200ダメージ!


――皆藤は倒れた!


――夢子は倒れた!


「…………」


 こうして死屍累々の中、生き延びたのは圭子だけでした。


「……大人のケンカも子供とあまりかわらないんですねぇ、やれやれです★」


 大人より落ち着いた雰囲気の圭子が、ベスト3になるのも時間の問題かもしれません。


■用語説明


●『みんなのアイドル的存在ベストテン』

 どこかで聞いたことがあると思った人には、感謝の言葉を送ります。

 ちなみに、三位は「神寺」という人らしいです。


蘇生(レイズ)

 FFの伝統的な魔法ですね。

 しかし、自分でかけるなら「リレイズ」です。

 したがって、レイズは誰かが悠にかけることになります。

 たぶん、皆藤が悠にレイズをかけた後に即死攻撃を行うのでしょう。


●ミクロの決死圏

 1966年のアメリカ合衆国のSF映画。

 名作です。


●ベスト3になるのも時間の問題

 実は次回の人気投票で、3位の神寺さんにボーイフレンド疑惑がもちあがり、順位が変動します。


1位:十文字 教子

2位:上空 悠

3位:石野 圭子

4位:花氏 夢子

5位:神寺 宮


 しかし、悠は相変わらず2位で、夢子は圭子に抜かれてしまいます。

 でも、夢子は圭子のことが気に入っているので複雑な心境になるようです。

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