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そうですか?

 おはようございます。

 ヘルプデスクです。


 皆様のおかげで、10,000PVを超え、150ポイント達成しました。

 本当にありがとうございます。


 しかし、純粋なギャグは、普通の話にない辛さがあります。

 決して「描写がないから簡単だろう」などと、軽んじてはいませんでしたが、続けるには小説と違う特殊なエネルギーが必要ですね。


 そんな笑いエネルギーを一笑に付していただければ幸いです。

 言葉遣いはさておき、親しみのわく彼女に、皆藤が笑顔で応じます。


 もちろん、本当に笑顔になっているわけではなく、たぶん心の中ではそうであろうという予想です。


「よろしく、山口さん。私は皆藤。ほかのメンバーも紹介しておきましょう」


 ロリコンのためなのか、皆藤の態度は、菊池や平山に対する態度とかなりちがいます。


「こちらが上空さんに、あちらが花氏さん。あと今は――」


「――花氏!?」


 皆藤の紹介で、京子が突然叫んで、夢子の方を見ます。


「……なにか?」


 自分の名前を呼ばれて、夢子は京子を睨みます。


 すると、睨まれた京子の顔が見る見るうちに驚愕に変わっていったのです。


「まっ、まさか……まさか……DOD師匠じゃないっすかああぁぁぁ!!!!!」


 そう叫ぶと、京子は疾風のごとく夢子の前に走り寄り、そして深々と頭をさげた。


「初めまして! おれ……じゃなく、わたくしですね、師匠にあこがれてこの世界にはいったんっす! お会いできて光栄っす!」


 夢子は、あきらめたようにため息をつきます。


「ふぅ~。……私の顔を知っているとは、なかなかね」


「そりゃあ、もう! 師匠は憧れの人っすから!」


「あなたの師匠になったつもりはないけど?」


「あっ! すいませんっす! おれ……わたくしの中では、心の師匠ってか……」


「まあ、私の言うことを聞くなら、師匠って呼ぶことを許可してあげるけど」


「マジっすか! 聞きます! 何でも言ってください! あ。ちなみにわたくしですね、【ひよこまんじゅう】という名前で活動してるっす」


「……ああ。もしかして、バックドアの【ドアノッカー】の作者?」


「うっ、うおおおおっ!! ご存知すっか! まさか知っててもらえるとは感激っす!!」


「あのアプリ、なかなか良くできてたから覚えてた」


「マジっすか! マジっすか! マジっすか! ヤバイ! ちょーヤバイ! うれしくて涙でそう!!!」


「――ちょっと待てぇーい!!!」


 暴走する山口を菊池が大声でストップさせます。


「山口くん。そのDOD師匠ってのはなにかね!?」


「IT部なのに知らないっすか!? 弱冠3才でアメ○カの国家システム全権をのっとり、『核戦争を起こされたくなかったら、アイス買ってこい』と、大統領に使いっぱしりをさせた伝説のハッカーが、ハンドル名【酔生夢死デス・オブ・ドリーム】、略称【DOD】! それがこの方っす!!」


「もう。若いころの話を持ち出さないでよ。若気の至りなんだから」


 3才ならば、確かに若気の至りかもしれません。


「あの時は、ロス限定のクッキーアイスが食べたかっただけなんだから」


「うおお! アイスのために、さすがっす! わたくしなんて足元にも及ばないっす! もっといろいろとお話が聞きたいけど……ああ、もう今日は時間がないっす! すいません、ぜひまたお話させてくださいっす!」


 嵐のようだという言葉がぴったりでした。


 京子は話すだけ話して、「失礼するっす!」という言葉と菊池を残して、部屋を去っていってしまったのです。


 というか、たぶん彼女の頭の中から、すでに菊池の存在は消されていたことでしょう。


「…………」


 呆気にとられる一同の中でも、菊池の顔が引きつっていました。


「さ……3人クビにしたんだぞ……」


「そうですか……」


 菊池の噛みしめるようにもらした言葉に、皆藤はいつもどり無感情に返事をします。


「周りから『女子高生を雇って、このロリコンめ』と、バカにされながらも雇ったんだぞ……」


「そうですか……」


「なんでも言うこと聞くとか……どういうことだよ……意味ないじゃん……」


「そうですか……」


「ひよこまんじゅうって……なんだよ……うまそうじゃんかよ……」


「そうですか……」


「…………」


「…………」


 沈黙が痛いです。


 しかし、その痛い沈黙を菊池自ら破ります。


「うわっははははははははははは!!!!!!」


 全員の耳をつんざくような超大笑いをかまします。


「こ、こ()で勝ったと思うなよ! 俺たちの戦いは、今は()まったばかり!」


「舌が回ってませんよ。それに始まる前に終わったも同然ですから」


「…………」


「…………」


「…………ばーか! ばあああぁぁぁぁ~~~かああぁぁぁ~~~!!!!」


 菊池が泣きながら走り去っていきます。


 その背中を見て、夢子はポンと手を叩きます。


「読めました!」


「なにがです?」


「次の話は、上司が来て『ヘルプデスクが依頼者たちを次々と泣かしていると聞いたんだが、どういうことかね?』と問い詰められる話ですね!」


「……やりにくいので、他人事のように予測しないで下さいよ」


 本当にやりにくくなるので、ネタバレはやめてほしいです。

■用語説明


●ひよこまんじゅう

 「銘菓ひよ子」は、吉野堂の商品です。

 商品名は有名ですが、店の名前は知らない人も多いと思います。

 本当に為になる用語説明ですね。


●バックドア

 秘密の入り口をパソコンに作り、外から自由にではいる出来るようにする仕組みです。

 たとえるなら、好きな女子の家の勝手口に自由に出入りできるようにしておき、いつでも好きな時に好きな女子のパンツを盗めるようにしておくようなものです。


●『核戦争を起こされたくなかったら、アイス買ってこい』

 よほど食べたかったのでしょう。


●「大統領に使いっぱしり」

 今、大統領選挙に出ているヒ○リーさんや、トラ○プさんも、こういうことがあると肝に銘じておくべきでしょう。


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