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じーべん フィルストの森

Sieben――Lasst uns zu First Wald gehen

フィルストの森とやらは村のすぐ近くにあるようで、確かに村のすぐ近くには大きな森林があった。


少し薄暗く、密集した木々と、色とりどりの茸が生えている。空気は湿っており、細菌が繁殖しやすそうな森だ。


また、空気中には胞子や花粉のようなものが漂っており、ヤバそうな雰囲気がある。



「……白兎くん。この森にはですね、動物達、トレントやゴブリン、妖精たちなどがモンスターとして現れます」



どうやら自然っぽいモンスターが出てくるようだ。……あの伏字の魔法には、生物に対して威力が倍になるとあったけれども、妖精は生物……なのか?  威力倍になったりするのかな……? 戦うかは知らないけど。



さて、少し進むと、モンスターが現れた。ハエトリソウみたいな見た目だ。



No060 ヒトクイグサ 草属性

Anthropophagus mandibula

双子葉植物綱ナデシコ目モウセンゴケ科ヒトクイグサ属

人を挟み込んで溶かす草。運が良ければ服だけ溶かす……かもしれない。

生息地:森林



R-18になりかねないよ……服だけだろうが人体だろうが……。えっちかグロかの違いはあるけども……。



あ、言い忘れていたが、モンスター限定で草属性という属性も存在はする。土属性に強く、火属性に弱い。


離れたところからファイアを撃ったら、簡単に倒れた。



〘経験値40EXPを獲得!〙



進んでいくと、分かれ道となった。看板が立っているのだが、文字は読めず、どっちに進めばいいのか全く分からない。



『Μιγννι ικεβα κικεν καμονε?  ηιδαρινι ικεβα ικιδομαρι δαττατο ομουο?』



……最後が疑問形であることは分かるのだが、それ以外が何と書いてあるか全く分からない。というか何で疑問形になってるんだ? あ、もしや字形が被ってるだけだったり?



まぁなんであれ進んでいこう。そう思っていた瞬間、どこかから声が聞こえた。



『おーいキミら、この森は迷いやすいで、すごい危険やぞ? ワイが案内しよか?』

「……?」



関西弁である。

もしかして:や○う民


しかし、辺りを見渡してもその声の主のような存在はいなかった。じゃあもしかしたら幽霊なのだろうか……?



あっもしかして樹木……トレントとかが喋ったり? いや、お花だったり?



『……ここやで、ここ。確かにこんなのが喋るとは思わんやろうけどな』

「えっ……どこ……?」

「な、なんでしょうかこの声は……?」

「……ひっ、あっ……カタツムリ……っ」



リリィは怯えたような、嫌がっているような声を上げる。



『おっ、そこのキミは分かったようやな。でも目の前でそんな反応しやんといてくれや……。泣くで……?』



へ? カタツムリ……?

……辺りを探すと、看板の上にいた。カタツムリの形したゆるキャラみたいなものだったが。確かに体はカタツムリではあるが、顔は完全に・v・である。……なんだか小学生が描いていそうな見た目だ。



まぁ顔以外は若干リアルなので、気持ち悪いという気持ちも少し分かる。



「リリィ、でもこれデフォルメされてるカタツムリだよ……? 気持ち悪くは……」

「違う……寄生虫……いる……」

『そんなんどの生物にもおるで? 別にカタツムリだけやないんやがな……? でも酷ないか……?』



リリィが色々言っているが、迷いそうなので頼ることにした。まぁ広東住血線虫かんとんじゅうけつせんちゅうとかいそうだしね……。


ところでこれゲームですけども? そういうのが再現されてる可能性もあるけども……。



『……あと一応言っとくんやけど、この世界[体長10cm未満の生物]に寄生する生物はいないで。危険な細菌とかウイルスなんかもいないでな?』

「わぁゲームの設定って便利……」

「安心……?」



ゲームって便利だなぁ。

とりあえずこのカタツムリさんに案内され、僕達は右側へと進んでいった。



『あ、うちの名前はカタツムリくんやでな』

「くんまでが名前?」

『せやで』



カタツムリくんさんに案内され、右側へ進んでいった。……変な生き物である。





森の中を進んでいき、道はなく通れないものの、大きな茸が生えていた。



『このへんにはモリノスゴクキケンナキノコがおるで、近寄らんほうがええよ』

「何ですかその……その場のノリで名付けられたような名前の茸は……?」



No066 モリノスゴクキケンナキノコ 無属性

Amanita periculum silva

菌綱ハラタケ目テングタケ科テングタケ属

凄く危険な茸。動かないけど触れば死ぬ。

生息地:湿った森林



……いやなんだこの……ネタで考えたようなモンスター? 触れば死ぬ……?

シンカンセンスゴクカタイアイスみたいな名前だけども物騒すぎる……。



〘経験値20EXPを獲得!〙



さらに森を進んでいく。



『……あっ、あの辺にモリツノゾウがおるで』

「……モリツノゾウ……?」



カタツムリくんさんの視線の先に、馬っぽい鹿がいた。どう見てもゾウ要素はない。



No035 モリツノゾウ 無属性

Capra caballus

哺乳綱鯨偶蹄目ウシ科ヤギ属

角はシカのような大型草食哺乳類。

生息地:草原、森林



……いや結局何ですか? ウマ? ゾウ? ウシ? ヤギ? シカ? ……草食の哺乳類という事だけは分かったけども。



『OinkOink!』

「鳴き声豚……英語表記……?」



しかし結局こいつは何なのだろう……?

馬みたいな見た目してるくせに、鳴き声は豚だし、分類はどうやらヤギに近いみたいだし……。えっこいつヤギなの……?



……さらに進んでいくと、今度は赤っぽいミノムシがいた。



『……あ、あれはヒフキミノガやで』



No072 ヒフキミノガ 火属性

Eumeta ignis

昆虫綱チョウ目ミノガ科ミノガ属

火を吹いてくるミノムシ。自身の命の危機を感じるとTNT1kg分の爆発をする。樹木全体を(みの)にしている可能性がある。

生息地:森林、砂漠



えっ怖……ば、爆発するの……? TNT1kg分……えーっと……どれぐらいの規模? 食われるくらいなら自爆したほうがいいってこと……なのかな……?



『ほら危険やろ? 迷子になったら死にかねへんのやで? 案内必要やったやろ』

「ひぇー……、森ってこっわいなぁ……」

「ゲームだからですよ……? 現実の森がこんなに危険なわけではありませんよ……?」



あ、そうなの(当たり前)? ならちょっと安心……。



『おっと、この奥は危険やで。……ドライアドが理性を無くして暴れとるんや』

「あ、暴れている……?」

『せや。目も赤くなっとったし、目的も無しにとんでもなく荒れとったんや……話すこともできへんし……』



うわぁ、なんか有りそうだなぁ……。完全に暴走してるじゃん……。



『ほんまに進むんか? ドライアドは強いで? 完全に暴れ狂っとる』



さて、緊張感はあるものの、進んでいくことにし……



「私……心の準備……」

「わたくしもです……あとご飯を食べていませんし……」



……い、一旦休憩となった。

確かにお腹空いたかも……。





料理は面倒だし「お兄ちゃん夕飯くらい作るよ?」……勿論妹は料理が壊滅的に下手なので、出前を取ることにした「は?」。


いつもなら出前なんて高いので、どう足掻いても使わない。だがなんとロリコ……じゃない、篠宮先生がお金を出してくれるらしい。なので喜んで出前を取っている。勿論ありがたく高めのやつを頼んでいる。



「わぁ幕の内弁当だぁ」

「……」



しかし、少し不満がある。……いや、嬉しいには嬉しいのだが、精神的には複雑なのだ。


僕の分が何を頼もうがお子様ランc……ディナーになるのである。まぁ、嬉しいのだけど……。お子様ラン……ディナーって贅沢だしね?


……オムライス、ナポリタン、ハンバーグ、フライドポテト、エビフライ、ミートボール、ブロッコリー、ミニトマト、プリン。


うん。お子様ランチは美味しいんだよ? すんごく贅沢だしなんなら大好きだよ?



でも僕の年齢は15なんだよ。食べるにも結構恥ずかしいんだよ。7年くらい前ならなんとも思わなかったけど、今となっては……。



「? どしたのお兄ちゃん。食べないの?」

「いや……だって小さい子とかが食べるやつだし……年齢的に恥ずいし……」

「大丈夫だって。その見た目相応だよ?」

「中身相応が良かったんだけど!?」



そもそも高校生の兄がお子様ランチ食ってる絵面をどう思うよ。いくら見た目が変わったとしても……嫌でしょ?



「文句言ってないで食べなよ。料理してくれてる人が気使ってお子様ランチにしてくれてるんだから」

「わかったよぉ……」



まぁ、当たり前っちゃあ当たり前なのだけども、とっても美味しかったです。



プリンは黒菜に食べられたのだけども。いや別に食べたかった訳じゃないし……。食べようと思ったのに、気づいたらプリンを盗られてて拗ねてるわけではないから……。



怒ってるわけではないんだ。別にプリン一つくらいどこにでも売っているし。



……で、妹よ。美味しかったか? 僕からプリンを奪って満面の笑みで食べていたんだから、さーぞ美味しかったんだろうねぇ?



「……ごめんお兄ちゃん……」

「べつに……ひゅっ……いいもんね……ひっぐ……プリンなんて……っ……」

「あっ泣いちゃっ……ご、ごめん……」

「泣いてないよぉ……うぅ……ひゅぅ……」



……言っておくが僕は泣いていない。本当に泣いてなんかいないからね。……あ、やっぱ無理があるか……。



プリン……。





さ、さて、泣き止んだのでゲームを再開する。二人は待ちくたびれている様子だった。



「ご、ごめん待たせて……」

「大丈夫、心の用意できた、ありがと」

「……え、あ、そうなの……?」



……あれっ気のせいだった……? 気を使ってくれてるのか……?


では、森を進んでいく。

急に霧が出始め、空は全く見えないほど葉が生い茂っている。



少し歩くと、モンスターが大量に現れた。

壁のようにずらっと現れて、道は進めない。



No064 トレント 草属性

Mollisarbores torrens

双子葉植物綱ブナ目トレント科トレント属

一体のドライアドをリーダーとして動く木。関節部が柔らかいため材木にはできない。

生息地:森林



樹木のような魔物だった。とんでもない数で群れているし、動きは遅い。



「待てよ? これ……伏字の魔法を試してみるいい機会なのでは……?」



……範囲が広いとあったので、一網打尽にできるかもしれない。しかし、無差別攻撃……恐らく望乃やリリィにも攻撃が当たると思われる。そのため、そこそこ離れて撃つ。



……ところで、放つ時何と唱えればいいのだろうか。色々と試してみるか?



「……伏字! ……違うか、アスタリスク! ……違う」

『なぁ、何をやっとるんや……?』

「……多分、名前が伏字の魔法、撃とうとしてる……と思う」

『伏字……?』



「アスタリスクアスタリスクアスタリスクアスタリスク! ……違うかぁ、伏字伏字伏字伏字! ……これも違う」

「……呪文?」

「……えーっとですね、白兎くん。魔法名が分からない時は、放ちたい魔法を思い浮かべて杖を振り下ろすだけでいいんですよ。その分クールタイムは倍になりますが……」



10分待ちになるの? でもまぁいいや、わかんないしそうしよう。



杖を振り下ろすと、杖の先端がカアッと光る。そしてトレント達の少し上に、白い光の球ができ、爆発した。


爆発の影響で、大きな煙の塊もできていた。



「ぐわっ……!?」



少しすると、衝撃波が来る。立ってはおれるのだが、そこそこな衝撃波だ。


……煙が晴れてくると、トレント達は消え失せていた。



〘経験値5000(250*20)を獲得!〙

〘ゆきうさぎさんのレベルが7上がった!〙

〘スキルポイントを14つ獲得!〙



結構倒してて草。……いや草じゃないが。バランス調整ミスってるだろ。


……さて、望乃のレベルは越して、29になっていた。スキルポイントがそこそこ溜まったので、以下の二つの魔法を覚えた。



フレイム 8SP 火属性 70 7S 弾

炎で広範囲を燃やす魔法。

相手を炎上状態にすることがある。



シャイン 6SP 光属性 80 6S 弾

強い光を放つ魔法。

頭のてっぺんに使わないで。



それぞれファイアとライトの強化版そうな魔法だ。どうやら、僕はフレイム以降の火属性魔法は覚えられないようで、他の火属性の魔法は探しても無かった。



……というかシャインの技説明、誰かの逆鱗に触れてそうだな……。



「し、白兎くん……!? い、今の魔法は……!?」

「あば……あばばばば……」

『な、なんや……あの威力……?』



後ろを見ると、望乃は困惑して、リリィは泡を吹きながら震えていて、カタツムリくんさんは唖然としていた。


まぁ、自分でもヤバさがよく分かる魔法だ。凄い広範囲だったし、数字だけでも桁違いの威力してたんだもん。



しばらくすると、煙が晴れた。道は煙こそないが、少し赤い光が見える。



……その光が見えなくなってから、道を進んでいく。



道に生えていたはずの木々は焼け焦げ、生物の気配を全く感じることができない。全ての生物の欠片はひとつも残らず、粉末状の灰だらけとなっている。勿論、小さな草すら残っていない。


そんな不気味な光景が少し続いた後、急に草木が生い茂り始め、少し開けた場所に出た。

奥には大きな切り株のようなものがある。



『ここがドライアドのおる場所……森の中心……フィルスト大樹跡地や』

次回:ボス戦だぁ

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