ぜくす オーク襲来
Sechs――Bekämpfe die Ork
オークは巨木を片手に持ち、野性的な毛皮を羽織っている。また、角は長い手を向かい合わせたかのような形で、歪に枝分かれしている。
No017 オーク 無属性
Daemonicae goblini
哺乳綱霊長目鬼科ゴブリン属
ゴブリンの成熟個体。力が強く、大木を担げるという。
生息地:水辺を除くほぼ全て
No017+ ワイルドオーク 無属性
Daemonicae goblini ferus
哺乳綱霊長目鬼科ゴブリン属
オークの亜種又は歴戦の個体とされる生物。オークよりも強力で獰猛。
生息地:?
もしかして……ただのオークではない?
あと付いてるワイルドって何……?
「ワイルド……オーク?」
「し、白兎くん……! 今すぐ逃げたほうがいいと思いますよ……! ワイルドオーク……ゲーム実況で聞いたのですが、40レベル近くでも倒されたらしく……」
「なんでこんなのが出るの……?」
どうしてそんな強いのが出てくるんですか? 教えてください……。
あと望乃によると、普通のオークもこのワイルドオークと同じ大きさであるという。
……しかし、僕が縮んだといえども、オークの大きさは3メートルは下らない。とんでもなくデカい。迫力があるなぁと思ったが、普通のオークもこの大きさなのか……。
……いや普通のオークデカくね……?
『グルォォォォォ!!!!』
そう思っていたら、ワイルドオークに気づかれてしまった。急いで逃げなければいけないのだが……正直、逃げられる気がしない。
僕は杖を構えながら、ゆっくりと後退する。
攻撃されても避けられる自信はないのだが。
後ろを振り返ると、誰もいない。
望乃とリリィ? ……どこ行った?
よく目を凝らすと、遠くの方に二人の影が見えた。
「……ちょっ!? 二人とも!?
あっ逃げ足が早い……! ちょ待てよ……(キ○タク)!」
二人は僕を置いて全力疾走で逃げていた。あ、あのー、誰か助けてくれませんかね? あ、そ、そういやライがいたような。
出してライの方を見るが、物凄く頭……頭? というよりも体? をブンブンと横に振っていた。無理そう!
「やっぱ無理か」
分かってはいたが、どうしようもないみたいだ。……後であの二人をどうしてやろうか……?
僕の本能が言っていることからして、全くと言っていいほど逃げられる気がしない。
もう戦うしかないと、杖を構える。せっかくだから魔法を試してみようか。多分、あんまり威力は出ないだろうが……。
「ファイア!」
杖を突き出し、魔法を放つ。
杖の先端から火の玉が出て、それがオークに飛んでいく。見た目からしても、威力は低そうだ。
……しかし、僕の魔法は、オークの持った丸太によって受け流され、消された。攻撃のしようがない。
「うそでしょ……ら、ライト!!」
ファイアがダメなら、ライトを放つ。
……だが効果は薄いだろう。
杖の先が一瞬光り、その後オークの体から一瞬だけ光が出た。
『グルォッ』
少しの反応はあったが、ライトでもちょっと声が漏れた程度であり、大した威力でもないようだ。……あっ……これ、ダメそう……。
「……え、こっからどうしろと!? ……僕白兎……なんつってな……。ハハ……。
えっ本当にどうすればいいの……?」
くだらないギャグは無視してください。
しかし本当に詰んでいる……。
魔法がダメなら物理で、って事で杖で殴りかかってもみるが、やはり効果はない。
終わった……終わったぁ……! もうダメだこりゃ。あーゆーもうほんと悲しい。
「……とりあえずあの二人は後でシバく」
可愛い幼女(自分で言うのか?)がこんな目に遭っているのに逃げやがって! 許せんなぁ……許せんなぁ……!
とりあえず望乃は手首、リリィは脇の刑だ。
勿論擽る。リリィは擽ると凄く泣くんだけど……その反応が……なんか……楽しいんだよね……(急なS)。
さて、オークは丸太を右から振ってきた。
あー終わった。ここで一乙確定です。
頼むよやめてっ! あーっ!
……もうダメだこりゃ。
これが初乙かー、いい人生でした……。
『グルァァッ!?』
「!?」
最初の乙を覚悟して現実逃避をした時、オークの叫び声が聞こえた。攻撃も何もされていない。
驚いてオークを見ると、不意打ちをされたような反応をしており、その手に持っていた丸太は吹っ飛んでいた。
オークの後ろには金髪で橙の瞳の、蝙蝠のような翼を持った女の子がいた。手刀をオークの背中にぶっ刺して、オークを怯ませている……いや強いなこの人……人? どう見ても翼生えてるけど人間なのかこれ……?
彼女は赤い部分の見える髪を揺らしながらオークに回し蹴りを喰らわせ、見ただけでもオークに結構なダメージを与えていた。
「……え、あ、あ……ありがとう……ございます……?」
「……」
彼女は僕を少し見た後、僕ではなく、その隣のライに頷き、足技だけでオークを倒していった。
〘経験値6000EXPを獲得!〙
〘ゆきうさぎ さんのレベルが17つ上がった!〙
〘スキルポイントを34つ獲得!〙
……とてつもない量の経験値を得たが、本当に経験値を貰って良かったのだろうか……? ありがたく貰っておくけど。
「……あ、ありがとうございます……?」
「……」
彼女は僕に少し頭を下げる。
……先程から彼女はずっと無表情から少しも変わらず、何を考えているかが全く分からない。
そう思っていたら、彼女は何故か少し不敵そうな笑みを一瞬だけ浮かべ、僕に向かってくる。
彼女は、右手を床に置き、逃げられないようにした状態で、僕を押し倒した。
「ふぇっ!? あ、あの……っ!?」
左手で僕の顎をクイッと動かし、顔をじーっと見てくる。彼女の顔が結構いいものだから割と恥ずかしい。彼女は少し口を開けていて、そこから覗かせる歯は鋭く尖っていて、牙と言った方がいいだろうか。
……そのまま、一分ほど拘束されたまま僕の顔を覗いてくる状態が続いた。彼女は口を少しずつ開けて、その牙を覗かせる。
口からはよだれのような、少し赤みがかった液体が垂れてくる。
彼女はいつの間にか大口を開けて、少し呼吸が荒くなっていた。
僕がその事に反応するには遅かった。彼女は僕の首に向かって齧り付こうとしていた。
「……ちょっ……あっ……!」
彼女から伝わってくる、口から出てくる少し湿った空気と、現在の状況により、噛まれるという恐怖心と、謎の混乱が頭を支配した。
少しずつ、首から鋭い感触が伝わってくる。
そんな時だった。彼女から伝わってきたのか、少し衝撃が来た。
「……ぅぁっ!」
「……えっ!? ちょっ、な、なにしてんのライ!?」
ライは彼女に向かって、跳ねて突進をしていた。突進された衝撃で動いた彼女から、漏れた吐息が僕の口や鼻へと入っている。不思議にも吐息というより風のようで、匂いやら多少の熱やらを全く感じない。
彼女は今やろうとしたことからか、それとも怒りか。どちらにせよ顔を赤く染めていた。
「……っ!」
彼女は赤くなった頬を膨らませ、ライをつついていた。もしかしたら、この人……いやだから人なのか……? は、ライと会話ができているのかもしれない……。
「……え、えっと……あ、そうだ、良ければ僕のパーティに入りますか?」
「……」
……彼女は冷静さを取り戻したのか、顔の色は元に戻っていた。彼女は少し考えるそぶりをした後、静かに首を振って、拒否した。
その後、彼女は手を振り、近くの木の影に向かって隠れた。……隠れて見ているつもりなのだろうが、バレバレである……。言わないではおくが……。
あと、犬歯というよりも牙みたいなのとか、翼とかあったし……あの様子だったし……あ、吸血鬼というやつなのか? いるのかはどうかは知らないけど。
とりあえず擽りに、二人を探すとしよう。
◇
リリィはビクビクッ……と震えながら、ぐっしゃぐしゃな涙目で、息を荒くして赤くなっている。……はい。僕がやりました。……一応言っておくがヤりましたってことじゃないからね?
「……ご、ごめ……っ……しろとぉ……! はぁ……はぁ……だからぁ……やめてぇ……! はぁ……はぁ……わた……っわたし……わき、よわい……からぁ……はぁ……はぁ……しってるでしょぉ……ばかぁ……!」
「……すみませんでした白兎くん……で、ですがどうしてリリィさんにばかり擽りを……」
「だって楽しいんだもん……リリィの反応が特に……ゾクゾクしてくる……」
「やめてぇ……はぁ……はぁ……」
……言っておくが、僕はSではない(?)。勿論Mでもないけどね?
「……あ、そういえばスキルポイントが溜まってたような……。魔法覚えよっかな」
「そういえばでリリィさんを放置するんですか……?」
「はぁ……はぁ……っ」
というわけで魔法を覚えるのだが、僕は思ったのだ。あの伏字になっていた属性。あの属性の魔法ってないのかな? と。
それで探していたら、それらしき魔法を見つけた。見つけたのは七つ程度であるが。
****** 4SP *属性 60 5S 弾
小さな粒を飛ばす魔法。
少し当たりづらい。
……この魔法の威力は60であるようだ。ライトより威力が高いし、弱くはなさそうだ。当たりづらいってのが気になるけど。
******* 6SP *属性 5S 支
目に見えないレーザーを出し、相手を状態異常にする。
……状態異常とはどんな異常……? どう異常なのだろうか……?
******** 10SP *属性 40 防
威力が200以上の場合、攻撃を40分の1に軽減する。それ未満の場合は無効。相手が武器や素手で攻撃してきた場合、相手を状態異常にすることがある。
なるほど、滅茶苦茶軽減するじゃん。
……だから状態異常ってどう異常なの!?
******** 20SP *属性 90 斬
相手を見えない斬撃の波で攻撃する魔法。水属性の相手に半減される。生物を状態異常にする。
……いやだからさ、状態異常って以下略!?
******* 15SP *属性 100 打
相手の頭上に石を落とす魔法。生物を状態異常にする。
……いやだから状態以下略!?
***** 25SP *属性 1000 爆
水辺で放つと、相手を状態異常にすることがある、大きな波になる魔法。範囲が広く、無差別攻撃をする。生物には威力が倍になる。
無差別攻撃……? 味方にも攻撃しちゃうのかな……。生物に威力が倍?? 2000!?
あと状以下略!?
**** 35SP *属性 4500 300S 爆
相手を状態異常にすることがある、とても威力の高い魔法。連発は難しい。範囲が広く、無差別攻撃をする。生物には威力が倍になる。
4500!? で生物に倍……9000!?
ファイアで40、ライトで50だったのに!?
以下略!?
……まぁ僕は威力しか見ていない脳みそ筋肉なので、*が四つの魔法を覚えることにした。
〘ゆきうさぎ さんは****を覚えた!〙
……てか放つ時に何って言えばいいんだ?
伏字っ!!!! って叫ぶのかな?
それとも*をその数だけ?
「……はぁ……はぁ……落ち着いてきた……何覚えたの?」
「****」
「……えっあ……???? 呪文……?」
……滅茶苦茶言いづらかったです。……しかし、この魔法を放つ時にどう言えばいいのだろうか……。
「……え……あっ……アスタ……ふんふんって……?」
「……*だよ。……どう説明すればいいのかな」
「どういうこと……? 」
勿論お○りの穴なんて説明はできないし(下ネタ発言)。
……どう説明すればいいのやら。
「……え、えっと、魔法名が伏字になってて……それでその伏字が*で……」
「伏字に……そんなことある……?」
「あるから言ってるんだけど……!?」
……まぁそうなるのも無理はないだろう。
しかし伏字である理由は本当に何なのだろうか……?
「……え、えっと……その魔法……どんなの?」
「えっとー……威力が4500で……特定の相手には威力倍で……相手を状態異常にして……範囲バカみたいに広くて無差別攻撃……」
「……!? 壊れてる……威力高すぎ……」
あ、やっぱりおかしいっぽいなこれ。
……思ったのだが、もしかして生物って僕が思っているような動物とか植物とかそういったものを指しているのだろうか……? だとしたら、基本的には威力9000になると考えた方がいいのだろうか……?
あれ? そういえば僕の装備って、攻撃威力が倍とか、ボス相手への威力が倍とかあったような……。
つまり? ボス以外は基本18000、ボスには36000の威力ってなりそう……? ……いや、威力おかしいだろ……バカなのか……?
基準がどのくらいか知らないせいで、どのくらいかピンと来ないけども……。値がバカすぎるせいで、ヤバいことだけはわかる……。
そう考えると……この魔法のクールタイム滅茶苦茶短くないだろうか……? たった300秒……5分だぞ……?
5分毎に36000の威力の魔法を放つことができるとは……本当に何なんだ……?
色々と調整がバカすぎやしないか……?
……まぁいいか。二人のレベルに追いついてきているが(Lv22)、まだまだレベル上げをする。
「……でしたら、近くにある、フィルストの森はどうでしょうか?」
「ふぃ、フィルストの森……?」
魔法の種類
弾(光弾) エネルギーの弾、塊を発射する
線(光線) エネルギーの流れを放つ
爆(爆発) 爆発または破裂する
斬(斬撃) 剣などで斬り捨てる
打(打撃) 重いものなどで押し壊す
防(防御) 物質やバリアなどで攻撃を防ぐ
支(支援) 味方又は自分を強化する、又は敵を弱体化させる
おまけ
No001 スライム ランダム属性
Mucus mucus
魔綱粘体目粘体科粘体属
スライム。単為生殖で増える。土から栄養を吸い上げたり、逆に放出したりして見た目を変えられる。大福タイプとドロドロタイプがいる。
生息地:ほぼ全て
No001+ 大福タイプ ランダム属性
Mucus mucus pila
魔綱粘体目粘体科粘体属
形がちょっとだけ定まっているスライム。生息地は広い。
生息地:草原、水辺、森林
No016 ゴブリン 無属性
Daemonicae goblini
哺乳綱霊長目鬼科ゴブリン属
オークの幼体。だが幼体でも性欲が強い。
生息地:水辺を除くほぼ全て
次回:フィルストの森




