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『一番星はだあれ?』

 みなさんはお空に一番に輝く星を知っていますか?

そう、それは「一番星」といって夕方最初に見え始める星のことを言います。


 実はお星さまの世界ではその「一番星」になるためにお星さまのみんながある()()をして決めていることを知らない子が多いのではないでしょうか。

 お星さまたちはいつも「一番星」になることを夢見て頑張っているんですよ。


 では、そんなある日のお星さまの世界をのぞいてみましょうか……。



「今日の『一番星』を決める時間がやって来たぞ!」

「わーい」

「今日はわたしがなるのよ!」

「いーやぼくだね」


 ざわざわと色んな色と大きさのお星さまたちが声を上げています。

星の広場、たくさんのお星さまたちが集まっていて今か今かとその時を待っています。

 「一番星」に選ばれるのはたった一つのお星さまだけです。

いつもお星さまたちはかくれんぼしたり、どれだけぴかぴか輝けるかなど競争をして決めるのです。

 さて、今日の競争の内容は……?


 審判役のお星さまが広場の真ん中に進み出ます。


「えっへん。今日の『一番星』を決める競争の内容は」


 お星さまたちは何だろうと身構えます。


「駆けっこ! お昼のお空をどれだけ早く駆けっこ出来るかみんなで競争です!」


 お星さまたちは「わー!」と拍手しました。

みんなやる気満々です。

 昼間のお星さまたちの駆けっこ。

残念ながら人間には見れませんね。


さあ、今日の「一番星」を目指すお星さまたちがスタートラインに並びました。


 一番コーナーは赤色のお星さま。何だか少し恥ずかしいのかいつもより赤く光っています。

二番コーナーは黄色のお星さま。とっても元気に跳ねています。

三番コーナーはピンク色のお星さま。可愛らしいお星さまです。

四番コーナーは緑のお星さま。余裕があるのかみんなに手を振っています。

五番コーナーは紫色のお星さま。ちょっと顔色が悪いけれどだいじょうぶかしら。


 審判役のお星さまが「ぴっぴっぴぴー」と笛を鳴らしました。

ざわざわとしていた他のお星さまたちがピタリと静まり返りました。


「位置について」


「よーい」


「どん!」


 ダッと一斉にお星さまたちが走り出しました。

すごいスピードです。

 一体ゴールはどこかしら。


「負けないもんね」

「わたしも負けないわよ」

「勝つのはぼくさ」

「ぼくだって」

「いっくぞー」


 五つのお星さまは横並びに走っています。

一つのお星さまが前に出たり、下がったり。

みんな良い勝負です。


 お昼のお空をどこまで走るのかと言うと、何と地球を三周すること! ですって。

お星さまの競争はすごいのですね。


 五つのお星さまたちが最後の一周に入りました。

今の一番は……赤色のお星さまです。

 あっ、緑色のお星さまが抜いた!

今度はピンクのお星さまが前に出ました!

紫のお星さまも頑張っています。

一番最後は黄色のお星さま。


「負けないぞ、あきらめないぞ!」


 黄色のお星さまは言いました。


 ゴールは目の前です!

ダッとお星さまたちが一斉にゴールテープに飛び込みました


「ゴール! 今日の『一番星』は……」


 みんなどきどきしながら結果を待ちます。


「黄色のお星さまだー!」


「やったー!」


 今日の一番星は黄色のお星さま。

最後まであきらめなかった心が勝てたんですね。




そして夕方。


「今日の一番星はぴかぴかね」

「ほんとだねー、僕もそう思う」


 きっと人間の世界ではこんな会話がされているのではと思うくらい、一番星のお星さまが自慢げに輝いているのでしょう。

ぴかぴかのお星さま。

 一番星のお星さまの競争はまた明日も繰り広げられるのかもね。




~おしまい~

 





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― 新着の感想 ―
拝読させていただきました。 とても可愛らしいですね。
童話・・・。 一番難しいジャンルやん・・・。 柴犬が心が折れたジャンル。
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