自己紹介と自己障害
無事に?とは言えないが、とにかく入学式も終わり、10人は生生生生先生の指示通り、教室へと向かっていった。
教室は、新築と書いてあった通り新築で、きれいだった。まるで新居に初めてきた夫婦のような感覚で・・・・。
ふと同級生を見てみると、4人が女子で、俺を合わせて6人が男子だった。名前は知らない。だって初めて会ったからな。
たぶんみんな初めて会ったのだろう。どこかみんなよそよそしい。それは女子も同じなわけで・・・。
ガラッ!
いきなり先生が入ってきた。みんなビクッとして席に着いた。
そして、先生はしゃべり始めた。
「あ~っとね、え~入学式ご苦労。まぁ~緊張したとは思うけどね。まぁよく頑張ってくれました~っと・・・。」
どこからどう見てもやる気がない。あ~、学校間違えたんだろうか…?
「え~っと、これからまぁ自己紹介といきたいんだけど、そんなんオーソドックスすぎてつまんねぇだろ?」
いや、普通でいいよ。
「え?なにするんですか?」
女子の中の一人が質問した。
「・・・。?。は?いやいや、決まってんだろ。」
「えっ!なにがですかっ!?」
「アレ、特技発表的な?うん。」
特技発表?なに?今から?何考えてんだこのおやじは。つうか何歳?
「特技発表って何すればいいんですか?」
「あ~?・・・。うん。」
男子の中で一番肥っている奴が言った。
「じゃ、じゃぁ、先生がお手本をしてくださいよ!お願いしますよ!たのんますよぉう!」
「しょーがねーなー。やっちゃるよ。いくぞ?見てろよコラ。」
「はい。」
10人が声を合わした。
「え~、おれの名前は生生生生。好きなことはまぁ・・・・、寝ること?うん。あ~嫌いなことは教科を教えること。嫌いなものは子供。」
すると、俺以外の9人が口々に言った。
「先生子供嫌いなんですか!?」
「ヒドーイ!!!!」
「先生失格だぁい!」
「ワーイワーイ!」
「殺すぞ?」
妙な威圧感だった。まるでティラノサウルスがコウモリを仕留めるかのような…。
「おいてめぇら。俺は手めーら見てーなのが嫌いっつったんだよ。あ?コラ?文句あんのか?オイコラ。」
いやいや。文句あるだろ…。なに子供の目の前で嫌いのものは子供とか言っちゃってんだよ。ダメだろ。
「こんなかで言ってねえと正直に言える奴ぁ手ぇ上げろ。うそついたら殺すから。」
また俺か・・・。まったくめんどくさい。なんでこんな学校に入っちゃったんだろう?事のはったんは俺がみんなと違う学校に行きたいとか言っ
「いねーなら全員掃除にするけど。」
まじか!あげるしかない。
「ハイ。」
入学式と同じ目つきで俺のことを見て、
「ま~~~たテメェか。まぁいいや。このチキン野郎(小声)。じゃあ生徒会長以外全員掃除な。あぁ。」
「え~!それはないですよぉ!」
「殺すぞ?」
「・・・・ハイ。」
9人が沈黙に浸る。黙っていればいいのに。
「あ~、じゃあこれで自己紹介終わり。めんどくさい。」
は?
「先生!。みんなの名前を知らないんですけど!。」
すると
「ショーガネーナー。じゃあ言うぞ。聞きもらしたら最後だ。」
一回しかいわねーきか!
「井口正子 漆間昭三 小倉優斗 木村優奈 佐藤咲 庄司海斗 田村葉月 鶴屋正人 富樫健人 渡部航大以上だ」
10人って、今思うと少ないな・・・・。
「はい、つーわけで、次の時間から授業やっから。」
「え~っ!」
「しょーがねーだろ?範囲追わんねーよ。俺一人じゃ。」
なるほど。ちゃんと考えているわけか。
「つーわけで、あと10分後、理科やっから、準備しとけ。いいな?」
「はーい。」
「おい生徒会長。」
俺?なんだろう?
「はい。」
すると、先生はちょっと眼がきりっとした感じになって
「みんなをまとめとけよ。」
この時、この先生に対してちょっとだけ、ほんのちょっとだけかっこいいなと思った。
しかし、不安要素もある。
理科って何やんだ…?
そんな不安の中、クラスの俺を除く9人は、早速ペチャクチャとおしゃべりしていた。