表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/53

35話「森でのモンスター退治と薬草探し。アリアベルタ、王太子の勇敢な姿に見惚れる」



「せいやぁっ!」


王太子殿下が剣を振るうと、モンスターが断末魔を上げて、倒れました。


ドゥンクラー・ヴァルトには、話に聞いていたよりモンスターが多いです。


ですが、襲い来るモンスターは殿下があっという間に倒してくれます。


剣を振る彼の姿を初めて見ました。


精悍な顔でモンスターを睨みつけ、モンスターを蹴散らしていく彼は、凛々しくて勇ましくて……。


見ていると胸がドキドキします。


「アリアベルタ、怪我はないか?」


「はい、殿下が守ってくださいましたから」


彼に見つめられると、変な気持ちになります。


「僕も王太子の体力と素早さが上がる魔法をかけたのだ!」


フェルが、腰に手を当てて自慢気に言いました。


「そうね、フェルのお陰ね。

 ありがとう」


私がフェルの頭を撫で撫ですると、彼は嬉しそうに目を細めていました。


「俺には……」


「はい?」


「俺も頑張ったのだが、頭を撫でてはくれないのだろうか?」


王太子殿下が、照れくさそうに言いました。


「王太子殿下は、大人ですから」


「そうなのだ〜〜! 

 アリーのよしよしは僕だけの特権なのだ〜〜!」


「頭を撫でて」とか、可愛いことをおっしゃる方だとは思いませんでした。


「そうか……大人は駄目なのか」


殿下は肩を落とししゅんとしていました。


こんなに気落ちするなら、頭ぐらい撫でてあげれば良かったでしょうか?


「殿下、あの……」


「ならばせめて……『レオニス』と、名前を呼んでほしい……!」


彼は私の手を握り、じっと見つめてきました。


彼の真紅の瞳で見つめられ、心臓がドクンと音を立てます。


「お名前でお呼びしても、宜しいのでしょうか……?」


「ぜひ、名前で呼んでほしい。出来れば『レオ』と愛称で呼んでほしい」


い、いきなり愛称で呼ぶのはちょっと……。


「愛称でお呼びするのは少しためらってしまいます。

 レオニス様とお呼びするのでは駄目ですか?」


「いや、駄目ではない。嬉しい」


彼は目を細め、口角を上げ、優しく微笑みました。


ドクン……! とまた心臓が音を立てました。


こんなに優しい表情の出来る方だったのですね。


「君のことを、『アリー』と呼んでもいいだろうか?」


「えっ……?」


お母様とフェル以外の人に愛称で呼ばれたことはありません。


「えーっと……それは……」


彼に「アリー」と呼ばれるところを想像すると、こそばゆい気持ちになります。


「駄目なのだ!

 アリーのことを、『アリー』って呼んでいいのは僕だけなのだ!!」


フェルが背後から私に抱きついてきました。


声から察するに彼はとても怒っているようです。


「ごめんなさい。

 フェルが嫉妬してしまうのでそれはちょっと……」


「そうか……ならば今まで通り、『アリアベルタ』と呼ぼう」


彼は眉を下げ残念そうに言いました。


「そうしてください」


レオニス様に、毎回「アリー」と呼ばれるのは心臓によくありません。


彼に愛称で呼ばれなくてホッとしたような……どこか残念なような……不思議な気持ちでした。



 ◇◇◇◇◇



「フェル、この草はどうかしら?」


「凄いのだ、アリー!

 よもぎに似ているこの草は、ハイレンデス・クラウトというのだ。

 ハイレンデス・クラウトには、怪我を治す効果があるのだ。

 回復ポーションの材料になるのだ!」


「まぁ、よかった」


私は採取した薬草をポーチに入れました。


薬草がたくさん生えている場所まで来ました。


薬草を集めフェルに鑑定してもらっています。


この国は魔物がとても多いです。


回復ポーションがあれば、兵士や旅の行商人なども助かるでしょう。


たくさん作って一般の人まで流通させたいです。


他国に売ればいいお金稼ぎができるかもしれません。


「妖精殿、こっちの草と木の実はどうだろう?」


レオニス様が赤い木の実とオレンジの草を、フェルに見せました。


「どちらも毒があるのだ。

 早く捨てるのだ。

 それから、毒草を触った手でアリーに触れないでほしいのだ。

 さっさと手を洗うのだ」


「そうか……」


フェルに辛口の判定を受け、レオニス様はしょんぼりしていました。


この地には毒草も多く生息しているようです。


誤って持ち帰らないように、気をつけなくてはいけません。


「フェル、この植物はどうかしら?

 キャベツに似ていて美味しそうなんだけど」


私は採取した植物をフェルに見せました。


「アリー、凄いのだ。

 それはグレンツェンダー・コールというキャベツの一種なのだ。 

 貧しい土地や痩せた土地でも育ち、成長も早いのだ」


「そのような植物なら、国中に植えれば民が飢えから救われるわね」


とてもいい植物を発見しました。


「グレンツェンダー・コールは食べるとお肌がつやつやになるのだ」


観光客向けに食堂で出してもいいかもしれません。


グレンツェンダー・コールを食べてお肌ピチピチになるツアーなども組めるかもしれません。


夢が広がります。


「僕の妖精の加護は国中に伝わるまでにしばらく時間がかかるのだ。

 その間、国民にはグレンツェンダー・コールを食べて過ごして欲しいのだ」


「フェルの加護って、庭の野菜に直接与える以外にもあったの?」


フェルが魔法をかけると、野菜は一日で、りんごなどの木の実は種から育てても半年で収穫できます。


そういえばこの国に嫁いで来た時、ノーブルグラント国では二十年ほど豊作が続いてると聞いたわ。


大寒波の年も、日照りの年も、害虫が大量発生した年も、ノーブルグラント国ではずっと豊作だったと……。


それは全部フェルの加護の影響だったのね。


フェルは私と一緒にヴォルフハート王国に移動したわ。


なのでこれからは、妖精の加護をヴォルフハート王国が受けることになるのね。


そうなると、妖精の加護を失ったノーブルグラント王国はどうなるのかしら?


それよりも今は、国王陛下の解毒するエントギフテンデス・グラースを探すのが先決よね。


「妖精殿、この植物はどうだろうか?」


レオニス様の手には、毒々しい紫色と黄色のストライプの植物と、赤と黄色の水玉模様の植物が握られていました。


「王太子が手にしているのは毒草なのだ。ばっちいのでポイするのだ」


フェルは、レオニス様の持っている薬草を見て顔をしかめました。


自分が手にしていた植物が毒草だと分かり、レオニス様はショックを受けているようでした。


「フェル、もう少しオブラートに包んで言ってあげないと……」


馬は一頭しかおらず、レオニス様しか馬に乗れません。


彼が落ち込んでしまうと、帰りが心配です。


「はっきり言わないとわからないのだ。

 それに、毒草を持って帰ったら大変なのだ」


「妖精殿の言う通りだ。毒草を城に持ち帰るわけにはいかない」


レオニス様はキリッとした表情で言いました。


「城に帰ったら、毒草の特徴を兵士に伝える。

 後日、城の兵士を山に派遣し、毒草を焼却処分する。

 近隣の村人にも、毒草の特徴を伝え、毒草を口にしないよう注意を促す」


毒草の特徴を伝え、食べないように注意するのは大事なことです。




読んで下さりありがとうございます。

少しでも、面白い、続きが気になる、思っていただけたら、広告の下にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると嬉しいです。執筆の励みになります。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

「妹に全てを奪われた元最高聖女は隣国の皇太子に溺愛される」

著者:まほりろ

▶ WEB小説版はこちら

コミカライズ配信決定
配信日:2026年2月6日
配信先:コミックシーモア様先行配信

「嫌われ者の公爵令嬢は神の愛し子でした。 愛し子を追放したら国が傾いた!? 今更助けてと言われても知りません」

著者:まほりろ

▶ 小説家になろう版

神様×美少女×旅グルメ
追放された公爵令嬢と水竜が幸せを取り戻す物語。
ハッピーエンド/完結済み

「捨てられた悪役令嬢ですが、美貌の王弟殿下から溺愛されています・完結」

著者:まほりろ

▶ 小説家になろう版

恋に鈍い令嬢と、彼女だけを見つめる王弟殿下。
ゆっくり育つ、一途で優しい恋の物語。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ